2011年-2015年、New52世界でのBatwoman誌最終巻にあたるVol. 6を読みました。手放しで「面白い!」とは言いにくいけれど、見どころもあるという巻でした。
【基本情報】
Writer: Marc Andreyko
Artists: Various, Juan Jose Ryp, Karl Story, Georges Jeanty
Cover: Rafael Albuquerque
発行年 2015年
公式サイトはこちら。
この巻の感想が微妙になってしまったのは、作品の収録の順番にも原因があります。
この巻では、
・バットウーマン(ケイト・ケイン)のsecret origin
・Vol. 5に引き続き、吸血鬼との対決のエピソード
・イベント"Futures End"内のエピソード
が収録されています。
巻の最後、かつNew52世界での"Batwoman"の最後を飾るのはFutures Endのエピソードです。おそらくイベントのコンセプトに沿ったストーリー展開のエピソードだと思うのですが、結果的には、
「え? このシリーズのオチがこれ???」
と、ぽかんとしてしまうのは否めません。
シリーズの中央付近でこの話が出てくるなら、たまにはこういう話もあるよねと読めたと思うのですが。Futures Endの直前の話(=通常の"Batwoman"誌のラストの話)は大団円といっていい終わり方なのですけどね。
そして、細かいことになりますがレニー・モントーヤのファンとしては最初に収録されているバットウーマンのSecret Origin (ケイトの過去の重大エピソードのまとめ)にも一言言わずにはいられません。
ケイトは過去、ガールフレンドのレニー・モントーヤと喧嘩し、その後レニーに電話をかけているときに暴漢に襲われ、その時に見たバットマンの姿を見てバットウーマンになることを志したということになっていました(このエピソードは Batwoman by Greg Rucka and and J.H. Williams (感想はこちら)に収録されています)。
しかし、この巻のSecret Originではこの時の電話の相手がSophie(ケイトが軍隊にいた頃のガールフレンド)ということに変更されていて、がっかりしたのでした。
New52世界でレニーはほぼ登場しませんが、Batwoman Vol. 1ではレニーの写真を見たケイトが「私が昔付き合っていた……」というシーンがあるので、いなかったことになっているわけではないんですよね。
ここであえてSophieに変更することに何の意味があるのか良く分かりません。ここでSophieに電話をしていたことが本筋に影響を与えているわけでもありませんし。
電話の相手をレニーからSophieに変更しないと本編のストーリーに矛盾点が出るなら「(本音は嫌だけど)辻褄合わせのために仕方ないね」と思えたと思いますが。
――とまあ、気になる点がいろいろあるこのVol. 6ですが、Vol. 5に続く吸血鬼との対決エピソードではケイトと妹のベスの共闘や、エトリガンたちとの共闘が見られたのが楽しかったです。
以下、ネタバレを含む感想です。
***ここからネタバレ***
治療のためゴッサム市を離れていたベスですが、一時的(?)にゴッサム市に戻り、レッドアリスとしてケイトと共に戦います。吸血鬼に完全に騙されているケイトを救えたのは、やはりケイトのベスへの思いがそれだけ強いからでしょうか。
Rebirth期のバットウーマン(感想はこちら)でもそうでしたが、ケイトの中で「ベスを守ること」は絶対的な最優先事項になっています。それは子供時代に父からベスを守るように言われていたからかもしれませんし、ベスのことを一度失っているからかもしれません。
逆にベスはケイトのことをどう思っているの? というのはまだあまり描かれていないように思います。
この本の最後に収録されている"Futures End"のエピソードを読み始めた時、ベスのケイトへの思いが描かれるのかなと期待したのですが、そういう話ではありませんでした。
その際、いろいろあってエトリガンやクレイフェイスとも共闘する展開になっていきます。敵の様子を探るときのケイトとクレイフェイスがとてもかわいいことになっています。バットウーマンはRebirth期のDetective Comics (感想はこちら)でもクレイフェイスとチームを組んでいましたが、先にこちらでチームになっていたんですね。実は仲良しなのでしょうか。