1999年~2009年まで連載されていたBirds of PreyのVol. 3を読みました。このシリーズで単行本が電子版で購入できるのはこのVol. 3までになります。Vol. 1を読んで感想を書いたとき、「ということで、Vol. 1~Vol. 3までを読んでいこうかなと思います」と書きました。これは、
・VOl. 3まで読めばBirds of Preyの基本的なチーム設定は大体分かるだろう
・単行本は大体きりのいいところまで収録しているはず
という読みがあったのです。が。実際にVol. 3まで読んでみたところ。
・Vol. 3になっても、チームとしてはまだオラクル (Oracle, Barbara Gordon)とブラックキャナリー (Black Canary, Dinah Lance)のチームで、ハントレスは登場しない
(これは、Birds of Preyは別に3人体制で構想されていたわけではないということかなと思います。)
・Vol. 3は話が最高潮に盛り上がり続きが気になるところで終わる
という巻でした。チームの体制については、まあいいとしても。話が盛り上がって面白くなったところで終わるのはひどい! 続きも収録して! という気持ちになりました。
単行本ではなくて1話ずつの購入という形で続きが読めると思いますので、そのうちに読んでいきたいと思います。
【基本情報】
Writer: Chuck Dixon
Artists: Dick Giordano, Butch Guice, Greg Land, Various
Cover by: Greg Land, Brian Stelfreeze
発行年 2016年 (※単行本の発行年)
公式サイトはこちら。
収録されているエピソードは、
・Vol. 2のエピソードを引き継いでブラックキャナリーが異世界Apocalypseに行ってしまう話
・Jokerがニューヨークに発射されるよう手配した核ミサイルを止める話
・オラクルが犯罪組織に狙われてピンチになる話
の3つです。はじめの2つにはパワーガール (Power Girl)も登場します。パワーガールは以前オラクルとコンビを組んでいたことがあるらしく(その時のミッションはあまりうまくいかなかったようです)、今回も「どうしても」という頼みに応えて出てきてくれます。
読んでいて思ったのですが、オラクルが基地からあれこれ指示を出すという構図からすると現場担当者は二人くらいいたほうが読みやすいですね。
ピンチに陥っているブラックキャナリ―にオラクルが紅茶を飲みながら指示を出しているのを見て「いや、この緊迫した現場にそんな指示言っても対応しきれないよ……」と思ったことも何度かありますが、現場チームが2人以上いるとどちらかが何とかしてくれるだろう、と思って落ち着いて読めます。
この巻に収録されている最初のエピソードでは、ブラックキャナリーがオラクルと一緒に活動するようになった理由も何となくわかる気がしました。
この巻に至るまで、オラクル(バーバラ・ゴードン)はブラックキャナリ―と会っていません。本名も明かしていません。まったく素性の分からない相手からの情報を信用して命を預けるような行動が良くできるなと思っていました。
しかし、この巻の最初のエピソード、ブラックキャナリーがApocalypseに行ってしまう話ではオラクルと全く連絡が取れなくなります。この時のブラックキャナリ―の行動を見ていて、彼女はオラクルに命を預けたつもりは全くないのだろうなと思いました。
おそらく、ブラックキャナリーはピンチになれば自力でどうにかできると考えている気がします。オラクルからの情報は「犯罪者がどこにいるかの情報を与えてくれる」という点が最も重要で、潜入した地点からの脱出法などはそこまで重視していなかった(少なくとも最初は)のではないかと思いました。ただ、オラクルからの情報がかなり正確なのでそれを信じるようになったというところかなと思います。
そんな二人の関係性が少し変化するのが最終エピソードです。以下、ネタバレを含む感想になります。
***ここからネタバレ***
最終エピソードは、オラクルが犯罪者組織から狙われる話です。オラクルはかなりのお金を使って大規模なコンピュータールームを作っているのですが、その資金はJustice League of Americaからの支援と犯罪者の裏口座をハッキングして得たお金により賄われているそうです。
……ジャスティスリーグの支援はともかく、犯罪者の口座のお金は被害者に戻すべきでは? と思いましたが、被害者が分かりにくいタイプのお金なのかもしれません。正義のヒーローはどういった倫理観を持つべきなのか、難しいですね。
それはともかく、そんなこんなで犯罪組織は血眼になって「オラクル」を見つけ出そうとします。そりゃそうだ。
オラクルが使用している様々な情報網を逆にたどる形で彼らはオラクルの拠点に迫り、身柄を確保しようとします。ブラックキャナリー、それにナイトウィング (Nightwing, Dick Grayson)はオラクルを助けるべく奮闘しますがもう間に合わない――となったぎりぎりのタイミングでブラックキャナリーが到着。オラクルを助け、さらに迫りくる犯罪者組織に対して「自分がオラクルだ」と名乗ってブラックキャナリ―が囚われる展開になります。熱いですね。これは熱い。
しかも、ブラックキャナリーとオラクルはこの時が初対面になります。つまり、初めて出会ったのはオラクルの大ピンチを助けるときということになるわけで――これも熱い。
と、こういうわけで。囚われの身になったブラックキャナリーが心配なところでVol. 3は終わります。やっぱりもうちょっときりのいいところまで収録してほしかったです。