2019年4月29日月曜日

The Question: Pipeline (Detective Comics #854-865) 感想

※Detective Comics (1937-2011)の各話感想はこちらをご覧ください。

 PipelineはDetective Comics誌などで連載されていたレニー・モントーヤが主役のエピソードです。10ページ弱くらいのペースで連載されていたようです。

 話をまとめた単行本も出版されていたようなのですが、電子書籍化されていないので連載されていたDetective Comics #854-865をまとめ買いして読んでみました。なお、この話のその後の顛末はDetective Comics Annual #12に描かれています。

【基本情報】
Writers: Greg Rucka, Brad Desnoyer
Artist: Cully Hamner,
Penciller: Lee Ferguson
Inker: Ryan Winn
Colorists: Laura Martin, Dave McCaig, Jose Villarrubia
Letterers: Jared K. Fletcher, Trauis Lanham
発行年 2009-2010年

公式サイトはこちら(単行本です)。




 時系列としてはFinal Crisis Revelations (感想はこちら)の後、New52の大規模リランチの前の話です。

 レニー・モントーヤは顔のない探偵・クエスチョンとして人々から持ち込まれた依頼を解決する日々を送っていた。ある時、他国からアメリカへ呼び寄せた妹がいなくなったので探してほしいと依頼を受ける。事件を追っていたレニーは、背後に大きな組織が存在していることに気づきハントレス(Huntress, Helena Bertinelli)の助けを借りてより深い調査へと乗り出すのだった――というのがあらすじです。

 レニーがクエスチョンとして活躍する話は割と重苦しい雰囲気のものが多かった中、ハントレスが一緒に行動してくれるということでぱっと明るくなったイメージがあります。ハントレスも昔、初代クエスチョン(チャーリー、Vic Sage)に助けられたことがあったそうで、昔話に花が咲くのも読んでいて楽しいです。事件を追っていく二人の動きにもワクワクしますし、この二人が協力する話をもっと読みたいという気持ちになりました。

 話の中で、コンピューターに詳しい人を頼る必要が生まれた時にハントレスが「私の知り合いに」とバーバラ・ゴードン(この頃はコンピューター技術を駆使して戦うオラクルとして活躍)のところに行くのも面白い展開でした。

 レニーからするとバーバラは「ゴッサム市警のゴードン本部長のお嬢さん」であって、「ゴードン本部長のお嬢さんでしょ?」と信じられない様子で何度も繰り返すのが楽しいです。

以下、ネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ***

 途中まで本当に楽しめた作品なのですが――最後にそれを出すか、という気持ちになりました。

 レニーにしろ、ハントレスにしろ、鍛え上げた普通の人間であり、超人的な力を持っているわけではありません。ですから彼女たちが対峙する相手も、あくまで腕力なり卓越した技術なりで武装した普通の人間のほうが筆者は楽しめます。
 ラストまで、人間の犯罪組織との戦いという線で突っ走ってほしかったです。


 ライターのGreg Rucka氏はもしかするとFinal Crisis: Revelationsの積み残しを片付けておきたい気持ちだったのかもしれませんが(そもそも片付けなければならない積み残しだったのか疑問です、放っておいても良かったのでは)、終盤、人ならざるものと対決することになってしまったのがとても残念です。