Renee Montoyaが出ているということで、Detective Comics Vol. 1を読んでみました。Rebirth設定でReneeが初めて出たのはこの本に収録されている作品らしいです。
【基本情報】
Writer: James T Tynion IV
Artists: Eber Ferreira, Eddy Barrows, Al Barrionuevo, Raúl Fernández, Alvaro Martinez
Cover by: Eber Ferreira, Eddy Barrows
発行年 2017年
公式サイトはこちら。
チームをテーマにした作品だと思います。
強大な敵の襲来を前に、バットマン(ブルース・ウェイン)はバットウーマン(ケイト・ケイン)に若いヒーローたちの育成を依頼する。そこには従姉妹のバットウーマンへの信頼があった――果たして強大な敵の正体とは何なのか!?
といったあらすじです。このテーマに関係した感想はネタバレを大いに含むので下に書きます。
以前このシリーズのVol. 4の感想を書いた時(感想はこちら)、登場するバットファミリーの人たちの設定をあれこれ調べたのですが、この本でかなりの部分分かりやすく説明が入っていました。Vol. 1では未登場のため説明のない人もいますが、やはり初心者にはVol. 1というのはありがたいものですねというのが再確認できました。
さて、レニー・モントーヤはバットウーマン(ケイト・ケイン)に呼び出されて話を聞く、という役どころでの登場です。果たして自分の育成法は正しいのか、悩みを抱えるケイトの愚痴を聞くために呼び出されているのですが、なんだかとても穏やかです。愛想はありませんが、顔を合わせると喧嘩をするというかつての雰囲気ではありません。そんな関係だったらそもそもケイトもわざわざレニーを呼び出して愚痴を言わないでしょうしね。
一度付き合って、別れている状態の二人ではあるらしいのですがそこそこ和やかな関係を保っているという設定のようです。それと、レニーは警察を辞めていないようなので、もしかすると"Gotham Central"(感想はこちら)や"52"(感想はこちら)のエピソードは完全になかったことになっているかもしれません。
あれだけのエピソードをなかったことにするのは勿体ないと思いますが、やむを得ないのでしょうか。もっとも、色々あって辞めた後に再就職している可能性もありますね。
以下、ネタバレを含む感想です。
***ここからネタバレ***
この本を読んでいて筆者が引っ掛かったのは、家族とは何だろうという点でした。
序盤、バットウーマン(ケイト・ケイン)にバットファミリーへの加入と若手ヒーローの育成を依頼するバットマン(ブルース・ウェイン)の殺し文句が
「そして私はこの仕事のことで君を信用できる」
「なぜ?」
「私たちは家族だからだ、ケイト。私はケイン家の一員ではないが、私の母はそうだった」
です。最初にこれを読んだとき、この言い方は好きではないなと正直思いました。信用しているのならこれまでバットウーマンと一緒に戦った時の経験を持ち出せばいいのであって(何かしらあるでしょうし)、血筋を持ち出すのはどうもなあと思いました。
当たり前のことですが、血がつながっていても信用できない人はいますし血がつながっていなくても信用できる人はいます。家族だから信用できる、というのは一見いい話のようで単なる縁故主義に過ぎません。バットマンが元々血縁関係を重んじるタイプならともかく、今まで血縁とは関係ない人たちを集めて仲間にしてきたのに今さらこの発言は何ですか。……と思ったので、何だかなと思って読み進めていたのですが、
まさかの、黒幕がケイトのお父さんという展開に。
Batwoman by Greg Rucka and J. H. Williams III (感想はこちら)ではケイトの「バットマンのような存在になる」という夢を応援し、バットウーマンスーツを作るための研究まで一緒にしたお父さんが黒幕に。そもそも娘の夢に協力したのも、自分のプロジェクトに活かすためだったということまで明らかに。
お父さんも話す順番を間違えなければケイトとここまで対立しなくても済んだ気はするのですがとにかくケイトはお父さんと袂を分かつことになります。
戦いが一旦終わった後のケイトとブルースの会話がこちらです。
「ただ……私にはもう家族はいない気がする」
「いるよ、ケイト」
お父さんと対立したことで家族を失った(ケイトの家族は父のみです)と感じたケイトに「家族はまだいる」ということを示すためにわざわざ冒頭の会話で「家族だから信用する」と言っていたのか、と気づかされました。それと同時に、最初の会話の評価ががらっと変わりました。
ブルースはケイトのお父さんが黒幕であることにほぼ確信を持っていました。ブルースから見てケイトの父は伯父にあたります。ケイトがブルースのFamilyであるなら、ケイトの伯父も間違いなくFamilyです。
ケイトの伯父のことは信用できないと思っていながら、ケイトのことは信用できるというのは、その信用が血縁ではなくケイト個人に対してなされた評価であることを示します。 すなわち、冒頭の会話でブルースは実際にはケイト個人を評価して若手の育成を依頼していたわけです。そして、いずれ訪れるケイトの落胆を見越して"Family"という言葉を使ったのであり……見事な流れでした。
この本を読んでいて筆者が引っ掛かったのは、家族とは何だろうという点でした。
序盤、バットウーマン(ケイト・ケイン)にバットファミリーへの加入と若手ヒーローの育成を依頼するバットマン(ブルース・ウェイン)の殺し文句が
"...AND I KNOW I CAN TRUST YOU WITH THE JOB"
"WHY?"
"BECAUSE WE ARE FAMILY, KATE. I MAY NOT BE A KANE, BUT MY MOTHER WAS."
「そして私はこの仕事のことで君を信用できる」
「なぜ?」
「私たちは家族だからだ、ケイト。私はケイン家の一員ではないが、私の母はそうだった」
です。最初にこれを読んだとき、この言い方は好きではないなと正直思いました。信用しているのならこれまでバットウーマンと一緒に戦った時の経験を持ち出せばいいのであって(何かしらあるでしょうし)、血筋を持ち出すのはどうもなあと思いました。
当たり前のことですが、血がつながっていても信用できない人はいますし血がつながっていなくても信用できる人はいます。家族だから信用できる、というのは一見いい話のようで単なる縁故主義に過ぎません。バットマンが元々血縁関係を重んじるタイプならともかく、今まで血縁とは関係ない人たちを集めて仲間にしてきたのに今さらこの発言は何ですか。……と思ったので、何だかなと思って読み進めていたのですが、
まさかの、黒幕がケイトのお父さんという展開に。
Batwoman by Greg Rucka and J. H. Williams III (感想はこちら)ではケイトの「バットマンのような存在になる」という夢を応援し、バットウーマンスーツを作るための研究まで一緒にしたお父さんが黒幕に。そもそも娘の夢に協力したのも、自分のプロジェクトに活かすためだったということまで明らかに。
お父さんも話す順番を間違えなければケイトとここまで対立しなくても済んだ気はするのですがとにかくケイトはお父さんと袂を分かつことになります。
戦いが一旦終わった後のケイトとブルースの会話がこちらです。
"IT JUST FEELS... IT FEELS LIKE I HAVE NO FAMILY LEFT."
"YOU DO, KATE."
「ただ……私にはもう家族はいない気がする」
「いるよ、ケイト」
お父さんと対立したことで家族を失った(ケイトの家族は父のみです)と感じたケイトに「家族はまだいる」ということを示すためにわざわざ冒頭の会話で「家族だから信用する」と言っていたのか、と気づかされました。それと同時に、最初の会話の評価ががらっと変わりました。
ブルースはケイトのお父さんが黒幕であることにほぼ確信を持っていました。ブルースから見てケイトの父は伯父にあたります。ケイトがブルースのFamilyであるなら、ケイトの伯父も間違いなくFamilyです。
ケイトの伯父のことは信用できないと思っていながら、ケイトのことは信用できるというのは、その信用が血縁ではなくケイト個人に対してなされた評価であることを示します。 すなわち、冒頭の会話でブルースは実際にはケイト個人を評価して若手の育成を依頼していたわけです。そして、いずれ訪れるケイトの落胆を見越して"Family"という言葉を使ったのであり……見事な流れでした。