2019年4月18日木曜日

The Brave and The Bold (2007-2010) #33 感想

 Batman: The Killing Jokeで起きた事件 (感想はこちら) の前後のバーバラ・ゴードンが描かれているのでThe Brave and The Bold #33を読みました。バーバラ・ゴードンが話の中心ではあるのですが、話を動かしているのはザターナとワンダーウーマンです。
 
【基本情報】
Writers: J. Michael Straczynski
Penciller: Cliff Chiang
Inker: Cliff Chiang
Letterer: Rob Leigh
Colorists: Jesús Saíz, Patricia Mulvihill
Cover by: Jesús Saíz
発行年 2010年


 公式サイトはこちら。


  ある夜、悪夢を見たザターナはそれが予知夢であることに気づきワンダーウーマンに連絡を取る。二人はゴッサム市を訪れ、バットガールとして活動するバーバラ・ゴードンを強引に誘ってクラブへと繰り出しダンスを楽しむ。そして三人はいくつものクラブをはしごしてめったにない楽しい一夜を過ごすのだった。ザターナがそんなことをした理由は何か、そしてザターナの見た予知夢とは――というのがあらすじです。
 
 とにかく、主役三人が可愛い作品だと思います。相当強引にバーバラをクラブへと連れ出すザターナから、三人で一緒に踊る姿から。別に予知夢を見なくても、普段からこうして息抜きをしてもいいのではないかなと思える姿でした。
 
 そしてバーバラ・ゴードンに寄せるザターナとワンダーウーマンの気持ちは文句なしに美しいです。恐らくはそれを素直に受け取ったバーバラの姿も、切なくも美しいと思える作品でした。
 
 以下、ネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ*** 
 
 運命の前に人は何ができるのか、と思える物語でした。
 今回ザターナはある悲劇の予知夢を見ますが、だからといってそれを防ぐような対策がとれるわけではありません。ギリシア神話の昔から、神の神託(オラクル)に表された悲劇を避けようとすればよりひどいことになるものと決まっています。
 
 そこでザターナはワンダーウーマンに協力してもらってせめてもの対策をとります。読者にはバーバラに起きるべき悲劇とは何か薄々分かっているので、ザターナのとった行動の意味はよく分かります。その行動の意味が分かっていないのはバーバラ・ゴードン本人だけです。
 
 ザターナとワンダーウーマンの行動は純粋に善意からのもので、それゆえに美しく、悲しく見えます。悲劇が起きてしまった後、おそらくすべてを理解したバーバラは何を思ったのか。"End"のコマまで気が抜けず、"End"のコマを見た瞬間に泣きたくなるような作品でした。