Vol. 1の続きです。
【基本情報】
Writers: Shawna Benson, Julie Benson
Artists: Roge Antonio, Claire Roe
Cover: Yanick Paquette
発行年 2017年
公式サイトはこちら。
この巻では、
・悪の不動産屋を出し抜く話
・Blackbirdと戦う話
・新しいオラクル(Gus)の真実が明らかになり、彼を救うために戦う話
が収録されています。キャットウーマンとポイズンアイビーが三番目の話に登場してきます。
冒頭に収録されている、悪の不動産屋を出し抜く話は完全にコメディーで面白いです。「ヴィランが住んでいた家」とか「殺人事件のあった家」とかそんな家ばかり取り扱っていて果たして経営は成り立つのか。と突っ込む暇を与えない展開でした。
以下、ネタバレを含む感想です。
***ここからネタバレ***
この巻のBlackbirdと戦う話、Gusを救うための話はエピソード盛りだくさんの冒険活劇といった様相を呈しています。
Metahuman(メタヒューマン、超人。通常の人間にはない能力を持つ人)の力を強化するBlackbird (ブラックバード)が、メタヒューマンたちを強化して殺人をさせているのではないかという疑いが浮上する。メタヒューマンの一人であるブラックキャナリーがブラックバードの学校に潜入して真相を暴こうとするが、ブラックバードは人を操る能力を身に着けていて――というのがあらすじです。
ブラックバードというキャラクターはこの話にしか出てこないオリジナルのヴィランのようなのですが、強いし血も涙もないし、良いヴィランだと思います。仲間が操られたとき、Birds of Preyはどう対処しようとするのか。ベタと言えばベタなのですが、読んでいて燃える展開だったと思います。
Vol. 1で晴れて新しいオラクルとなり、Birds of Preyの仲間になったGusですが、バットガールの熱狂的なファンというだけあって何しろ鬱陶しい。
何もかもが見事に鬱陶しいシーンもあります。バットガールが誰かとデートする、と聞いた時にバットガールに言ったセリフがこちら。
……うわー、鬱陶しい……。「キス」をわざわざ一文字空けで言っているところが本当にもう。もうチームから外してもいいのではというくらいの鬱陶しさ。ちなみにこの時のデートの相手はお父さんです。
こんな彼ですが、問い詰められて自分はCalculatorに言われてBirds of Preyに近づいたと告白します。さらに、双極性障害を患っていると明かします。この時のバットガールとの会話が印象的でした。
「このこと(訳注:双極性障害のこと)を言わなかったのは、狂ってるって思われたくなかったからなんだ。本当は狂ってるとしても」
「そんな風に言わないで。あなたは狂ってなんかいない。あなたは障害があるだけ、ガス」
「本当の障害じゃない。あなたは車椅子に乗ってた。それとは違う」
「本当の障害よ。身体の痛みがないからと言って、苦しんでいないということにはならないわ」
日本と比べてアメリカでは精神疾患への理解が進んでいて、精神科やカウンセラーにかかることへの偏見も少ない――とどこかで聞いたような気がしますが、それでも身体障碍と比べて精神障碍は本物ではないといった発想もあるのだなと思いました。そして、バットガールはこういうセリフを必ず言う人なのでしょうね。
お話としてはGusをCalculatorの支配から逃がそうとしたところCalculatorの家族が事件に巻き込まれたことが分かり、その事件にはキャットウーマンとポイズン・アイビーが関わっていて……という展開になります。キャットウーマンとポイズン・アイビーはGotham City Sirens (感想はこちら)以来、友人関係という設定のようです。そして、最終的にはこの二人もBirds of Preyと友好的な関係になりVol. 2が終わります。
バットガールが割と穏やかな性格だからか、仲間がだんだん増えていく感じなのは読んでいて気持ちがいいですね。
……ところで本筋とずれますが、今回ハントレスもブラックバードから自分たちの素性にかかわる記憶を消していますし、バットガールも「以前Calculatorがオラクルについて正体を知ってしまったので彼の記憶を消した」みたいなことを言っています。
あの、JLA #115-119 (感想はこちら)でザターナが犯罪者の記憶を消去したことをあれだけ悩んでいた意味とはいったい……。作品が異なるので倫理観が違っていてもおかしくはないのですが。しかしアメコミの場合いろいろな作品の世界観がつながっているので、倫理観がずれていると違和感を覚えてしまうなと思いました。
この巻のBlackbirdと戦う話、Gusを救うための話はエピソード盛りだくさんの冒険活劇といった様相を呈しています。
Blackbirdと戦う話
Metahuman(メタヒューマン、超人。通常の人間にはない能力を持つ人)の力を強化するBlackbird (ブラックバード)が、メタヒューマンたちを強化して殺人をさせているのではないかという疑いが浮上する。メタヒューマンの一人であるブラックキャナリーがブラックバードの学校に潜入して真相を暴こうとするが、ブラックバードは人を操る能力を身に着けていて――というのがあらすじです。
ブラックバードというキャラクターはこの話にしか出てこないオリジナルのヴィランのようなのですが、強いし血も涙もないし、良いヴィランだと思います。仲間が操られたとき、Birds of Preyはどう対処しようとするのか。ベタと言えばベタなのですが、読んでいて燃える展開だったと思います。
新しいオラクル(Gus)の真実が明らかになり、彼を救うために戦う話
Vol. 1で晴れて新しいオラクルとなり、Birds of Preyの仲間になったGusですが、バットガールの熱狂的なファンというだけあって何しろ鬱陶しい。
何もかもが見事に鬱陶しいシーンもあります。バットガールが誰かとデートする、と聞いた時にバットガールに言ったセリフがこちら。
「関係のことだよ。君とナイトウィングがブランコの上で キ ス するみたいなさ」"AS IN, RELATIONSHIP. AS IN YOU AND KNIGHTWING K I S S I N G ON A TRAPEZE."
……うわー、鬱陶しい……。「キス」をわざわざ一文字空けで言っているところが本当にもう。もうチームから外してもいいのではというくらいの鬱陶しさ。ちなみにこの時のデートの相手はお父さんです。
こんな彼ですが、問い詰められて自分はCalculatorに言われてBirds of Preyに近づいたと告白します。さらに、双極性障害を患っていると明かします。この時のバットガールとの会話が印象的でした。
"I DIDN'T TELL YOU BECAUSE I DIDN'T WANT YOU THINK I WAS CRAZY, EVEN THOUGH I AM."
"DON'T SAY THAT. YOU'RE NOT CRAZY. YOU HAVE A DISABILITY, GUS."
"NOT A REAL ONE. YOU WERE IN A WHEELCHAIR. IT'S NOT THE SAME."
"IT'S VERY REAL. JUST BECAUSE YOU DON'T HAVE PHISICAL PAIN, DOESN'T MEAN YOU AREN'T SUFFERING."
「このこと(訳注:双極性障害のこと)を言わなかったのは、狂ってるって思われたくなかったからなんだ。本当は狂ってるとしても」
「そんな風に言わないで。あなたは狂ってなんかいない。あなたは障害があるだけ、ガス」
「本当の障害じゃない。あなたは車椅子に乗ってた。それとは違う」
「本当の障害よ。身体の痛みがないからと言って、苦しんでいないということにはならないわ」
日本と比べてアメリカでは精神疾患への理解が進んでいて、精神科やカウンセラーにかかることへの偏見も少ない――とどこかで聞いたような気がしますが、それでも身体障碍と比べて精神障碍は本物ではないといった発想もあるのだなと思いました。そして、バットガールはこういうセリフを必ず言う人なのでしょうね。
お話としてはGusをCalculatorの支配から逃がそうとしたところCalculatorの家族が事件に巻き込まれたことが分かり、その事件にはキャットウーマンとポイズン・アイビーが関わっていて……という展開になります。キャットウーマンとポイズン・アイビーはGotham City Sirens (感想はこちら)以来、友人関係という設定のようです。そして、最終的にはこの二人もBirds of Preyと友好的な関係になりVol. 2が終わります。
バットガールが割と穏やかな性格だからか、仲間がだんだん増えていく感じなのは読んでいて気持ちがいいですね。
……ところで本筋とずれますが、今回ハントレスもブラックバードから自分たちの素性にかかわる記憶を消していますし、バットガールも「以前Calculatorがオラクルについて正体を知ってしまったので彼の記憶を消した」みたいなことを言っています。
あの、JLA #115-119 (感想はこちら)でザターナが犯罪者の記憶を消去したことをあれだけ悩んでいた意味とはいったい……。作品が異なるので倫理観が違っていてもおかしくはないのですが。しかしアメコミの場合いろいろな作品の世界観がつながっているので、倫理観がずれていると違和感を覚えてしまうなと思いました。