2019年3月31日日曜日

Batgirl and the Birds of Prey (2016-) Vol. 1: Who is Oracle? 感想

※このシリーズの各巻感想は以下です。

Detective Comics (2016-) Vol. 7 (感想はこちら)を読んでバットガールについて気になってきたので、Batgirl and the Birds of Preyを読みました。素直に"Batgirl"を読めばいいのですが、女性ヒーロー数人でわいわいやっている作品のほうがとっつきやすいかな……と思ったのです。

【基本情報】
Writers: Shawna Benson, Julie Benson
Artists: Roge Antonio, Claire Roe
Cover: Yanick Paquette
発行年 2017年

公式サイトはこちら


バットガール、ブラックキャナリー、ハントレスの三人がチームを組む Birds of Preyの活躍を描いた作品です。Birds of Preyというのは猛禽類のことだそうです(蝙蝠とカナリアと女性ハンターのチームでなぜ猛禽類……)。

これまでにこの三人が登場する作品もそれぞれ読んだことがあるため、各キャラクターの設定を何となくわかっていたつもりになっていたのですが、1巻ということもあり改めて整理してくれているのがありがたいです。以下、簡単にこの作品での設定をまとめます。

バットガール (Batgirl) 本名: バーバラ・ゴードン (Barbara Gordon)

 
ゴッサム市警本部長、ジム・ゴードンの娘。父に憧れて警官を志すが、父に反対されて断念する。そこでバットマンに倣い、バットガールとなる。ある事件でジョーカーに銃撃され、下半身麻痺となる。そのためバットガールとしての活躍は諦め、情報収集および分析のスペシャリスト、オラクル (Oracle)となる。
オラクルとして活動していた時代にブラックキャナリーと組み、オラクルが集めた情報をもとにブラックキャナリーが動いて事態を解決するチーム、バーズ・オブ・プレイ (Birds of Prey)を結成する。
その後、手術により再び下半身を動かせるようになりバットガールに復帰する。バーズ・オブ・プレイも解散した。


ブラックキャナリー (Black Canary) 本名: ダイナ・ランス (Dinah Lance)

 
バンドの傍ら、ブラックキャナリーとしてヒーロー活動を行っている。格闘と、超音波(?)により衝撃を与えるキャナリー・クライが武器。幼少期に母がいなくなり、母を追って格闘術を学んできた。

ハントレス (Huntress) 本名: ヘレナ・ベルティネリ (Helena Bertinelli)

 
クロスボウを主な武器として戦う。マフィアの一家に生まれ、幼少期に対立するマフィアにより家族を殺された。長じて、家族の仇をとるためにハントレスとなり活動を始めた。




バットガールの設定を改めて知って、"Gotham Girls" (感想はこちら)でバットガールがレニーに警官になった理由を聞いた気持ちがわかるような気がしました。確かに、お父さんに憧れて警官を志した(でも反対されて断念)というのはありそうなことですね。

この話は、バットガールがマフィアの暴漢を倒したところ、彼らがオラクルを騙る誰かから情報を得ていたというところから始まります。オラクルを騙っているのは誰で、何のためにそんなことをするのか。バットガールはブラックキャナリーにチームの再結成を持ち掛け、ともにオラクルを探します。
一方、家族の復讐のためにハントレスが追っていたマフィアはオラクルから情報を得ていたため、三人は合流し反目しながらもチームを組んで同じ敵を追いかけていきます。

シリアスな場面もありつつ、コミカルな場面も多く、深刻になりすぎないように演出されているため楽しく読める作品です。


以下、ネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ*** 

お話としてはチームが結成され、そしてハントレスの家族殺しの真相が明らかになるお話でした。

中盤で明かされた偽オラクルの正体が意外というかなんというか。かつてのオラクルとバットガールの熱狂的ファンで、オラクルを名乗って活動していた人でした。バットガールのぬいぐるみ(かわいい)やバットガールのお弁当箱(かわいい)まで保管している始末。
……スーパーヒーローにのめりこむあまり性質の悪いヴィランになるよりはましだとは思いますが……。
バットガールは彼(Gus)のことをそれなりに信じ、情報収集・分析担当として協力を依頼します。

ハントレスの家族殺しについては、予想外の真相でした。この作品はヒーローものなので真相はあっさり描かれているのですが、ホームドラマであればかなりどろどろの展開として描かれるのでは……と感じさせるものでした。果たして真相を知ってハントレスは満足したのか。かえって傷ついているんじゃないかという気がします。知らなかったほうが良かったと思っていないでしょうか。


ブラックキャナリーが、「私はバットガールを守っているんじゃなくてほかの人を守っている」と言ったり、現オラクルのGusが他のだれかからの指示を受けて行動しているようだったりと気になる伏線を張りながらVol. 2に続きます。