2019年9月23日月曜日

Green Arrow (2016-2019) Vol. 3: Emerald Outlaw 感想

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。

Rebirth期Green Arrow誌の第3巻を読みました。Vol. 2に引き続いてのお話になります。この巻でもGreen Arrow (グリーンアロー、オリバー・クィーン)を主人公としながらもBlack Canary (ブラックキャナリー、ダイナ・ランス)などの仲間たちが活躍します。


【基本情報】
Writer: Benjamin Percy
Artists: Carlos Alberto Rodriguez Vazquez, Gus Vazquez, Eleanora Carlini, Otto Schmidt, Juan Ferreyra
Cover by: Juan Ferreyra
発行年 2017年

公式サイトはこちら。




Vol. 1でのNinth Circleとの戦いの結果無人島に漂着していたオリバーだったが、ともに漂着していたダイナと力を合わせシアトルに帰り着く。しかし、オリバー・クィーンに殺人の容疑がかかっていること、父から受けついたクィーン・インダストリーが乗っ取られてしまっているという事実に変わりはない。また、グリーンアローの評判も地に落ちている。オリバーは失ったものを取り戻すためグリーンアローとしての戦いを始めるのだった――というのがあらすじです。

この巻でオリバーを悩ませるものがいくつも出てきます。

・Vice Squad: 元警官で、町の汚いもの(犯罪者、ホームレスなど)を殺して町をきれいにしようとする人に率いられた集団
・市長候補Nathan Domini: シアトルの町によるホームレスや難民、薬物中毒者などへの援助を減らし、経済を回そうという政策を訴えている
・謎のArcher: 矢で次々にグリーンアロー擁護派の人々を殺し、もしくは重傷を負わせる。その罪をグリーンアローに着せようとする。

バットマンがゴッサム市を守ろうとするように、グリーンアローはシアトルの町を守ろうとしています。守ろう、というのは決してホームレスなどを排除することではなく彼らに支援をして共に生きていく社会を実現しようとしています。そんな彼にとって、Vice Squadや市長候補Dominiの存在は頭を悩ませることになります。

このあたりの描写は、現在のアメリカの社会で例えば難民の排除が声高に唱えられていることを意識しているのかな――と思いました。アメリカのみならず、世界中で、といった方が正確かもしれません。


そして、グリーンアローにとって最大の脅威となるのが謎のArcherです。彼が弓矢で犯罪を起こす結果、グリーンアローは警察に追われる展開になります。


そんな状況の中でもオリバー(グリーンアロー)にとって信頼できる相手が生まれてきている――というのがこの巻のポイントだと思います。

まず、言うまでもなくブラックキャナリーです。オリバーに協力し、叱咤激励します。彼女の能力のおかげで事態を打開できた場面は多く、とにかく格好いいです。オリバーよりも事件の全体像が見えている感じがします。

次に挙げられるのが、警察のChief Westbergとの友情だと思います。謎のArcherの捜査の過程で彼と信頼関係が生まれました。オリバーはVol. 1の頃、警察官にお金を渡すことでグリーンアローの活動に協力してもらっていたのですがそれとはまったく違う関係だと言えます。

そして、オリバーの異母妹、Emiko Queen(エミコ・クィーン)の帰還です。Vol. 1の戦いの後母であるShadoと共に日本に帰っていた彼女でしたが、そこで彼女のルーツにまつわる野暮用(?)を済ませて再びシアトルに帰ってきます。彼女の登場シーンはとても格好いいので、ぜひ読んでみることをおすすめします。

グリーンアローチームが何となくできてきたところで、話は次巻に続いていきます。