※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
このイベントはLex Luthor (レックス・ルーサー)が様々な敵役たちに「より効果的にヒーローを倒したり、より効率よく利益を得たりする方法」を伝授してくれるというものらしく、筆者が現在連載を読んでいるJustice League Darkでも魔女キルケさんがルーサーの話に乗っています。
この本では、ゴッサム市マフィアの大ボスであるBlack Maskがルーサーの提案に乗ります。
【基本情報】
Writer: Tom Taylor
Artist: Cully Hamner
発行年 2019年
公式サイトはこちら。
ゴッサム市マフィアを率いるBlack Maskはレックスルーサーの提案に乗り、アトランタに赴きあるタイプの犯罪に手を染める。一方アトランタには、バットマンの目を逃れてバットウーマンが暮らしていた。バットウーマンの恋人にしてゴッサム市警刑事のレニー・モントーヤはBlack Maskの手がアトランタに及んでいることを察知し――というのがあらすじです。
まず、なんといっても絵柄に目が向きます。アートを担当しているCully Hamnerは一目見ただけで分かるくらい特徴のある絵柄の人です。以前レニー・モントーヤが主役を務めたPipeline(感想はこちら)やConvergence: The Question(感想はこちら)のアートを手掛けていたということもあり、懐かしい気持ちにさせられます。
お話としては、あくまでも主役はBlack Maskです。冒頭に描かれる彼の幼少期が印象的でした。一緒に楽しいことをして遊んでくれる兄弟が彼にいたら、彼は犯罪者にならなくて済んだかもしれない――と思います。幼少期の環境はある意味で恐ろしいですね。
一方、バットウーマン(ケイト)はバットマンの目を避けてアトランタに一時的に移っているようなのですが、Detective Comics (2016-) Vol. 7 (感想はこちら)やBatwoman (2016-2018) (感想はこちら)を読んだ後だと、
・バットウーマンはバットマンに怒られた後和解したんじゃないの?
・ケイトは妹のベスと離れて暮らしていて大丈夫なの?
……と、いくつか疑問は浮かんできます。とはいっても、慣れない街でケイトとレニーの二人だけでBlack Maskの陰謀と対峙する姿を見れただけで十分嬉しいかなと思える作品でした。
ちなみにこの作中で筆者が一番好きなケイトとレニーの会話はこちらです。
"KATE. WE NEED TO TALK."
"ONE OF MY LEAST FAVORITE SENTENCES."
「ケイト。話があるんだけど」
「その言葉好きじゃない」
……「話がある」と言われた時の話って、大体怒られるとか困ったことを打ち明けられるとかであまりいい話ではないですよね。またこのセリフを言っているときのレニーの表情が静かに怒っていそうですし。改まって「話がある」と言われると、言われる側はどうしても構えてしまいますね。