2019年8月6日火曜日

Green Arrow (2016-2019) Vol. 2: Island of Scars 感想

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。


Vol. 1(感想はこちら)に引き続きVol. 2の感想です。このBenjamin Percy氏の作品、タイトルはGreen Arrowですが実際にはGreen Arrow (グリーンアロー、オリバー・クィーン)とBlack Canary(ブラックキャナリー、ダイナ・ランス)とEmiko Queen(エミコ・クィーン、オリバーの異母妹)の3人の物語を描こうとしているのかもしれないと思いました。

【基本情報】
Writer: Benjamin Percy
Artists: Stephen Byrne, Juan Ferreyra, Otto Schmidt
Cover by: Otto Schmidt
発行年 2017年

公式サイトはこちら。




前巻でNinth Circleを壊滅させたものの、彼らのアジトが大爆発したことでオリバーは無人島らしき島に流れ着く。一方、エミコは母であるShadoに連れられてヘリコプターで日本に飛び、母が忠誠を誓うヤクザの親分に従うよう迫られるのだった。エミコが事態を打開しようとする中、オリバーは島でダイナ・ランスと再会する。オリバーはそのことに勇気づけられ、二人で島を脱出しようと決意するのだった――というのがあらすじです。


とても読みやすく、さくさく読むことができる巻です。最初の3分の1はエミコと母のShadoの話、残りの3分の2がオリバーとダイナの脱出譚になっています。

エミコと母の話は、エミコの家とヤクザとの関係を描きつつ、1年前からオリバーと暮らしているエミコがこれまでどんなことをしてきたかという回想を交えて描いていました。調べてみるとエミコ・クィーンというキャラクターはNew52期からの登場でまだまだ新しいキャラクターですので、こうしたエピソードの一つ一つが彼女のキャラクターを確立していくのだろうなと思います。

エミコとShadoの家の、ヤクザとの関係についてはGreen Arrow: The Longbow Hunters(感想はこちら)でのエピソードを踏襲したものになっています。Shadoの父(エミコの祖父)がヤクザに大変な損害を与えたためにShadoはヤクザに従わねばらず、エミコもその子供なのでそうしなければならないという理屈です。
実際にヤクザに関わってしまった時に孫の代まで影響するのだろうか……と思ってしまいますが、影響してしまうんでしょうかね、よく分かりません。エミコの場合、母のもとで育っているわけではないようなので、もし仮に母のもとで育っていたら親分に仕えるのが当たり前――と思って自由に生きるなどとは考えもしなかったかもしれませんが。 

母と自分の自由をエミコがどうやって取り戻すのかが見どころのエピソードになっています。回想で語られるオリバーとのエピソードも合わせ、エミコは目的のためには手段を選ばないところがあるので少々危なっかしいです。年齢もまだ若いですしね。

ちなみにこの回想シーンによると、オリバーは考えるより先に行動するタイプのようです。ダイナも割とそちらのタイプだと思うんですよね(だからこそバーバラ・ゴードンといいコンビになる)。この二人がカップルになって大丈夫なのでしょうか。

そんなオリバーとダイナのエピソードは……読んでいて「二人で仲良くしていればいいんじゃないかな」という気持ちになるエピソードでした。二人がたどり着いた島は実際には無人島ではないのですが、そこを所有する夫婦がいろいろと揉めている様子。そして夫の方から「妻と考えが違ってね……」なんて話を聞いている目の前でイチャイチャする二人。……君たち、もうちょっと周りの人の気持ちを考えてイチャイチャしようか、という気持ちになりました。まあ、無神経なオリバーの発言にダイナがくぎを刺すといったシーンもあるのですが。

この島はNinth Circleとも関係があるようなのでまたそのうちに登場するのかもしれません。


最終的に二人はシアトルに帰り着きます。しかし、Vol. 1で地に落ちたオリバーの名声はまだ地に落ちたままですので、これから名誉を回復するための様々な戦いが始まるのだろうなというところで幕となります。