2021年2月6日土曜日

Green Arrow (2016-2019) Vol. 8: The End of the Road 感想

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。

 Rebirth期Green Arrowの最終巻にあたるVol. 8を読みました。筆者はこのシリーズを、Black Canary (ブラックキャナリー、ダイナ・ランス)の活躍を読むために読んでいたのですが、この巻ではあまり登場しません――と思っていたら、終盤で意外な形での活躍を見せました。

 

【基本情報】
Written by: Collin Kelly, Jackson Lanzing, Mairghread Scott
Art by: Matthew Clark, Javi Fernandez, Sean Parsons, Marcio Takara
発行年 2020年

公式サイトはこちら。



 この巻には、

・Green Arrow (グリーンアロー、オリバー・クィーン)が単身で中東のある国に乗り込み、戦争に苦しめられた子供たちのレジスタンス活動を助ける話

・Arsenal (アーセナル、ロイ・ハーパー)を出せと迫る宿敵、Count Vertigoと対峙する話


 に加えて、最終盤に

・Vol. 7でグリーンアローに託された、Justice Leagueを倒す力を秘めた箱をめぐる争い

 

 が収録されています。ダイナが活躍するのは最終盤のストーリーですが、それは以下のネタバレを含む感想で書くとして、印象的だったのはCount Vertigoが登場する話でした。

 

 Count Vertigoはオリバーの前に現れるのですが、どうもロイに会いたいから? がその理由だったようです。ロイがかつて彼を倒すために活躍したらしく、その復讐――というより、ライバルに一目会いたいからという理由で現れたように見えました。

 ロイが死んだことを知って、オリバーとしんみりと語り合うCount Vertigoの姿はもの悲しいというか可笑しいというか……ヒーローたちの敵を見ていて「色々言っているけどヒーローのこと大好きでしょ」と思うことはしばしばありますが、ここまで素直に感情を表現するとは……と思ってしまいました。

 

 以下、ネタバレを含む感想です。主にダイナとオリバーについて。

 

 

 ***ここからネタバレ***

 

 2011年、大規模設定リセットがあってNew52期が始まってすぐ、ダイナはTeam 7という政府組織に所属していました。2016年のRebirth期に入ってからTeam 7にはほとんど触れられることがなかったので、もうなかったことになっているのかな……と思っていたら、ここに来て出てきました。

 

 オリバーが受け取った「Justice Leagueを倒すパワーを秘めた箱」の存在に政府組織が気づき、ダイナに接触します。オリバーにその箱を諦めるようダイナは説得するのですがオリバーはそれを受け入れず、ダイナの合図で工作員たちがオリバーに襲い掛かる流れになります。

 

 とはいえ、ダイナがオリバーのことを簡単に捨てられるはずもなく。

 オリバーを守るため、政府組織と対決することを選ぶダイナの後ろ姿は最高に格好いいものでした。

 

 しかしやはり、全体的な印象としてはどこか物寂しいラストでした。

 これまでオリバーはダイナに箱のことを話していなかったので、やはり「ダイナのことを信じていなかった」という印象になってしまいますし。オリバーを助けるため、ダイナとオリバーは当面別れるという展開になるわけで。

 

 作中でオリバーが言っていたのですが、ダイナは「どういうわけか」オリバーが好きですし、ダイナ自身も「別の人生が自分の中でこだましたように」オリバーのことが好きになったわけです。

 要するに、New52期以前のダイナとオリバーの関係のうっすらとした記憶がこの二人を結び付けていたわけです。

 Rebirth期も様々な経験を通して着々と関係を深めていったように見える二人ですが、New52期以前の二人に劣らないくらいの関係を深めていけるのか、どうか――なんとかうまく二人の関係を進めてほしいと思うのでした。

 

 もっともこの二人、喧嘩しているのも似合うので喧嘩と仲直りを繰り返してほしい気もするのですよね。

 

 

 なお、Vol. 6でもやもやしていた「オリバーの弁護士が正当防衛で殺し屋を返り討ちにし(ここまではいいとして)、その死体を埋めた件」についてはVol. 7, 8を通して触れられることはありませんでした。弁護士さん本人は登場しているのに。アメリカでは死体遺棄までひっくるめて正当防衛になるのでしょうか。そんな無茶な、と思うのですが。