2019年9月16日月曜日

Batgirl: Stephanie Brown Vol. 1 感想

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。

Batgirl: Stephanie BrownのVol. 1を読みました。Spoilerというヒーローとして活躍していたStephanie Brown (ステファニー・ブラウン)がCassandra Cain(カサンドラ・ケイン)からバットガールのコスチュームを受け継ぎ、バットガールとしての活躍を始める短編集になっています。

【基本情報】
Writers: Various, Pere Perez, Trevor Scott, Bryan Q. Miller, Various
Artists: Lee Garbett
Cover by: Stanley "Artgerm" Lau
発行年 2017年 (連載されていたのは2009年-2011年)

公式サイトはこちら。


まず大前提として、このVol. 1に収録されている頃の話ではBruce Wayne(ブルース・ウェイン)がいないようです。彼の代わりにバットマンを務めているのがDick Grayson(ディック・グレイソン、初代ロビン)です。
「バットガール」は、長いことBarbara Gordon(バーバラ・ゴードン)がヒーローとして活動するときの姿でした。しかし彼女が銃撃されて下半身が麻痺してから、バットガールという存在はいなくなってしまっていました。

Batoman: No man's land(感想はこちら)の際に、バットマン(ブルース・ウェイン)はバットガールのコスチュームをカサンドラ・ケインに受け継がせ、それ以降カサンドラが新しいバットガールとして活動していました。
そして本作において、カサンドラからステファニーにバットガールのコスチュームが受け継がれたことになります。

ステファニーはもともと自分の父の犯罪行為を止めるため、ヒーロー、Spoilerとして活動を開始していました。カサンドラのバットガールと共闘することもありました。

その結果なのか、この巻に描かれているエピソードを見る限り、「ステファニーにバットガールを受け継がせる」というのはカサンドラの独断で決めたことのようです。ブルース・ウェインはもちろん、他のバットファミリーの誰もその決断には関与していません。

そしてどうなるかというと。

ステファニーがバットガールになることを受け入れられないという反応がバットマン(この頃はディック・グレイソン)やロビン(この頃はダミアン・ウェイン)から出てきます。というわけで、ステファニーの仕事はまず自分がバットガールとしてふさわしいことをバットマンたちに認めさせるというところから始まることになります。

なお、バーバラ・ゴードンは早々に彼女のことをバットガールとして認め、自らはOracle(オラクル)という情報の分析・提供に特化したヒーローとして彼女をサポートします。

この頃のバットファミリーは、ディック・グレイソンがバットマンを務めている結果、ディックとバーバラのツートップにより率いられているという感じがしますね。バットファミリーの長男長女。


この話の見どころは、何を言われてもそれほどへたこれずにバットガールとしての活動を続けるステファニーの姿だと思います。
もともと前任者のカサンドラの身体能力は高く、おそらくその点での比較ではステファニーはカサンドラにかないません。また、「バットマンにバットガールとして選ばれた」という正統性も彼女にはありません。というわけで、ロビンには結構散々なことを言われもします。また、ステファニーの母親も彼女がヒーローとして活動するのはやめるよう釘を刺し、ゴッサム大学の新入生として「普通の生活」を営むように望みます。お母さんの気持ちは良く分かります。
状況からみると、ステファニーはいつヒーローとしての活動を辞めてもおかしくないように見えます。

それでもバットガールとして活動を続ける彼女の姿は明るく、読んでいて楽しいです。

またこの作品ではステファニーと同じくらいにバーバラ・ゴードンにもスポットが当たります。やはりバットガールの先輩だからでしょうか。
彼女の宿敵ともいえる情報技術の天才、Calculatorの娘であるWendy Harrisのエピソードが大変印象的だったのですが、これは以下のネタバレを含む感想として書きたいと思います。


 

Wendy Harrisは物語のかなりはじめの方から登場し、バーバラと同じように下半身が動かせず車いすに乗った状態で出てきます。ステファニーの物語と並行して、バーバラと彼女の物語も描かれていきます。彼女は兄弟と一緒にヒーローチーム、ティーン・タイタンズの活動を補佐していたらしいのですがある事件によって兄弟は死に、彼女も下半身を動かせなくなったようです。

そしてCalculatorが父親として彼らの前に現れようとしたところで、バーバラがCalculatorとWendyを別離させた(?)模様です。


Wendyがずっと怒りを抱えてリハビリをするのを、バーバラが見守っていたのが印象的でした。恐らくWendyの足はリハビリで動く状態ではないのですが、それでも何かせずにはいられない彼女の気持ちを一番理解しているのはバーバラでしょう。バーバラも銃撃されてからずっと怒りを抱えていた(抱えている)ので。

また彼女は犯罪者のCalculatorの娘であり、同じく犯罪者の父を持つステファニーとも共通点を持っています。ということもあり、ある事件の末に彼女がバットガールとオラクルを助けるようになるのですが、この3人のチームがVol. 2でどうなっていくのか期待したいです。