Rebirth期Green ArrowのVol. 7を読みました。Vol. 6までメインライターを務めていたBenjamin Parcy氏から、Julie Benson氏とShawna Benson氏にライターが変更しています。
この巻はタイトルこそGreen Arrowですが、Black Canary (ブラックキャナリー)はほぼ全編にわたる大活躍ですし、かつてGreen Arrow (グリーンアロー、オリバー・クィーン)のもとで弟子として活動していたArsenal (アーセナル、ロイ・ハーパー)とオリバーとの関係も語られています。
Written by: Julie Benson, Shawna Benson
Art by: Carmen Carnero, Javier Fernandez, German Peralta
発行年 2019年
Amazonのページはこちら。購入及び数ページ分の試し読みができます。
主なエピソードは、サブタイトルにもなっている"Citizen"との戦いです。Citizenと名乗る存在が、シアトル市の「1%の裕福で不正をしている者たち」の犯罪を糾弾し、ネットで投票を募り、死刑にせよという声が多ければ死刑にしそれをネットで中継する――という劇場型犯罪を巻き起こしていたのでそれにオリバーとダイナが対峙します。
この巻でのダイナは、アクションシーンも格好いいですし何かにつけてBirds of Preyのメンバー(バットガールとハントレス)のことに触れるのがいいですね。Batgirl and the Birds of Prey(感想はこちら)ではゴッサム市で活躍していたダイナですが、オリバーのいるシアトルに移り住むことになってもチームの関係は変わらないんだなと思わせます。
なお、この巻ではJustice League of America(感想はこちら)にダイナが所属していることにも触れているのですが、正直時系列は良く分かりません。Birds of PreyとJustice League of Americaを同時に掛け持ちするのは無理っぽい……と思いますが、そんなこと言ったらバットマンなんて同時進行でいくつのコミックに登場しているのか、ということになりそうですし。ダイナは人気者なんだということで納得しておくことにします。
さて、そのエピソードの合間を縫うように、
・Justice League: No Justiceで多くのヒーローたちが宇宙に旅立ったのち、バックアップメンバーとして地上の異変に対処するグリーンアロー
・Heroes in Crisisの事件でロイを失ったオリバーの思い
が語られます。Justice Lague: No Justiceに絡むエピソードでは、オリバーのもとに「いざJustice Leagueが暴走した時に使うべき」という、Justice Leagueを止めるパワーを持つ謎の箱が来ることになります。これはVol. 8で何か使うのかもしれません。
そして作中で最も印象的だったのはロイを失ったオリバーの思いでした。以下、ネタバレを含む感想です。
***ここからネタバレ***
ロイは弓を扱うヒーローとしてはオリバーの弟子にあたりますが、二人の関係は決して良くはないということが過去のGreen Arrow誌でも語られていました。オリバーはやや頭が堅く、ロイの提案を柔軟に受け入れられなかったのがその原因です。そしてこれは、オリバーがロイのことをあくまで弟子として見ていて、パートナーとしては見ていなかったことも大きいと思います。
筆者が読んでいるいくつかの作品、Red Hood and the Outlaws (感想はこちら)や、Titans (感想はこちら)にロイが登場しています。出てくるロイは、とても「いい奴」です。友達が困っているときには必ず助けてくれますし、友達に重荷を背負わせないようにおどけることもありますし。
そんないい奴なロイですが、自分自身はアルコールや薬物の依存症を抱えていて、自分だけでそれを克服しようともがき続けていました。
彼がやっと外に助けを求めようとして訪れたサンクチュアリという施設でHeroes in Crisisの事件に巻き込まれ死亡してしまうことになるのですが、なぜこんな頑張っている人が死ぬのか(アメコミのヒーローはたいてい頑張っているわけですが)――と思うと、哀しい気持ちにならざるを得ません。
誰かの突然の死、というものは周りの人(読者も含め)の心にぽっかりと穴を開けてしまうものだなと思うのでした。