主にゴッサム市で活動するヴィランだったHarley Quinn (ハーレイ・クィン)とPoison Ivy (ポイズン・アイビー)がヒーローになるために頑張るお話、Harley Quinn & Poison Ivyを読みました。
時期としてはHeroes in Crisis (感想はこちら)のあとで、一度死んだアイビーがハーレイの愛の力で復活し、二人で新しい生活を始めようとするところから始まります。
Written by: Jody Houser
Art by: Adriana Melo
発行年 2020年
公式サイトはこちら。
ハーレイとアイビーは、Heroes in Crisis事件後郊外に移り住み、まだ体調の万全でないアイビーが回復するのを待っていた。ハーレイはこれまでヴィランとして生きていた半生を思い返してうんざりし、今後はヒーローとして生きようと決意するのだった。そんな二人のもとに、アイビーを食べて力を手に入れようとFloronic Man (フロロニックマン、ジェイソン・ウッドルー)が現れる。二人はフロロニックマンから逃げることができるのか、そして二人仲良くヒーローになれるのか――というのがあらすじです。
フロロニックマンはアイビーと同じく植物系のヴィランで、アイビーを食べることでパワーアップできるようです。ということでフロロニックマンの襲撃を逃れ、逃避行に出る二人。ハーレイはまだ完全ではないアイビーを気遣いながら、ヒーローになるという夢を語り続けます。
筆者の好きなBatwoman (バットウーマン、ケイト・ケイン)もちらりと登場します。ヒーローの先輩として、ハーレイとアイビーがヒーローになれるかどうか見極める――といった役どころです。なんだかんだと揉めつつ、元ヴィランにも柔軟に対応できるバットウーマンはいいですね。
ハーレイとアイビーが次々と降りかかるトラブルにどう対処するのか、そして二人はどこにたどり着くのか、というのが見どころになっています。
以下、ネタバレを含む感想です。話の核心部分までネタバレしています。
***ここからネタバレ***
この作品は、最後に大きなどんでん返しがあるタイプの作品です。
作品を読んでいて何度も感じた違和感(例:ハーレイとアイビーの家のセキュリティシステムが、不審者が来たら火をつけるというものでいいの? ハーレイは良くてもアイビーには危険すぎない?)が最終的にこのどんでん返しに繋がっていくので実によくできたお話です。
……アイビーのファンの筆者としては、ハーレイと二人仲良くヒーローになっていって欲しかったのでこの作品でそう進まなかったのは残念です。とはいってもこの作品は最初からこのゴールを目指して描かれたものだと思いますし、確かにハーレイの性格を考えるとそんなにうまくは行かないだろう……と思わせるので納得せざるを得ません。
結局のところハーレイは、「ヒーローになる」という目的に夢中になって、肝心の「今助けるべき存在」であるアイビーのことを見ていなかったわけです。
ヒーローに憧れを抱いた人が陥りやすそうな罠だという気はしますので、ここを踏まえていけばハーレイは良いヒーローになれるかもしれません。
アイビーについては今後どうとでも展開できるようなラストになっていました。ハーレイとの愛憎劇をこれだけ描いたので、じっくりとハーレイとの関係修復を描いていってほしいと思います。