2021年1月2日土曜日

The Oracle Code 感想

  Barbara Gordon (バーバラ・ゴードン)を主役にした子供向け作品、The Oracle Codeを読みました。子供向け作品としてこれまで読んだBlack Canary: Ignite (感想はこちら)やZatanna and the House of Secrets(感想はこちら)と比較して、対象年齢が高めという印象を持ちました。

 前の2作品は小学校低学年くらいを対象にしていそうでしたが、この作品は小学校高学年以上を対象にしていそうです。しれっと大人向けコミックに混ざっていても違和感はないかもしれません。

 

【基本情報】
Written by: Marieke Nijkamp
Illustrator: Manuel Preitano
発行年 2020年

公式サイトはこちら。


公式トレーラーもあります。



 バーバラ・ゴードンはハッキングとパズルを趣味にしていたが、ある日親友のBenjaminと屋根の上でハッキングを楽しんでいたところ突然の流れ弾により撃たれる。下半身が動かせなくなったバーバラはリハビリ施設Arkham Center for Independenceに入り、そこで生活しながらリハビリの日々を送る。しかしその施設には巨大な闇が隠されているのだった――というのがあらすじです。

 

 見どころとしては、

 ・下半身が動かせなくなったバーバラがその事実にどう折り合いをつけていくか

 ・要所要所に挿入されるホラー描写

 ・そのホラーが施設の闇とリンクしていく様子

 

 があげられます。

 

 作品全体のメッセージとしては、大きなものを失ったバーバラが周りの人たちと協力してその喪失を乗り越えていく姿を伝えているのだと思います。下半身を動かせなくなってしまったことに対するバーバラ自身の恐怖はもちろんですが、バーバラの父や親友のBenjaminもまた突然の事件でバーバラが変わってしまったことを恐れて直視できない――という姿が印象的でした。

 誰かが何かを喪失した時、その本人はもちろんですが、周りの人もどうしたらいいか分からず逃げだしたくなってしまうことがあるのですよね。とはいえ、一番つらいのは本人であると分かっているので逃げ出したい気持ちも認めづらい。そのことにもちゃんと目配せされていて、丁寧な作品だなと思いました。


 そして描かれる、施設の闇。真相が明らかになると――もちろん首謀者のしたことは許されないことですが――なんだか哀しい事件だなと思うのでした。