今順番に読んでいっている2005年から2011年の"Supergirl"誌 (感想はこちら)ですが、調べてみるとこの作品の主役を務めるSupergirl (スーパーガール、カーラ・ゾー・エル)はかなり久しぶりの登場だったようなのですね。
カーラは1959年にコミックに初登場したようなのですが、1985年に一旦退場したようです。退場した経緯が描かれているのがこのCrisis on Infinite Earthsという作品なので、読んでみました。
なお、1985年にカーラが退場したのちも、"Supergirl"というキャラクター自体は設定を変えて登場していたようです。
Written by: Marv Wolfman
Finisher: George Pérez, Jerry Ordway, Dick Giordano, Mike DeCarlo
Inker: George Pérez, Dick Giordano, Mike DeCarlo
Layout: George Pérez
Penciller: George Pérez
発行年 2003年(連載されていたのは1985年頃)
公式サイトはこちら。
Earth-1, Earth-2……と呼ばれる様々な世界が存在し、それぞれに多数のヒーローやヴィランが存在する世界。しかし、そこに危機が迫っていた。Anti-Monitorと呼ばれる存在がすべての世界を消滅させ、自らの支配する反物質の世界へと作り変えようとしていのだ。Anti-Monitorに対抗できる唯一の存在であるMonitorはヒーローたちの力を結集させ世界を残す計画を立てるのだったが……というのがあらすじです。
単行本の最初の前書きで、この作品が書かれた理由が説明されていました。そもそもは、コミックス内の登場人物が増えすぎ、設定が多くなりすぎ、一度整理しなければ……ということで、様々なキャラクターや設定を一気に減らすという目的で作られた作品だったようです。
この辺り、今(2020年)のコミックの登場人物の設定や人間関係が複雑に絡まっていることを考えると納得できるものがあります。新規の読者を獲得することを考えると、複雑になりすぎた設定は適当なところでどうにかしないとついていけないのですよね。
そういう事情は分かりつつも、キャラクターがばたばた死ぬところを見ると「よくこの企画を実行したものだ……」という気持ちになる作品でした。
なお、この作品で初めて登場するヒーローもいます。Dr. Light (ドクター・ライト、キミヨ・ホシ)です。Anti-Monitorに対抗するために必要な力を持つヒーローを、ということでMonitorが日本人科学者のキミヨ・ホシさんに力を与えて産み出したヒーローです。
DC Comics: Bombshells(感想はこちら)や、2005年からのSupergirl誌(感想はこちら)にも顔を出している彼女ですが、登場当時はこんなに性格のきついキャラクターだったとは思いもよりませんでした。割と気を遣うタイプかと……と思っていたら、この作中でも大事件を経験したことから性格が丸くなっていっていました。人は変わっていきますね。
以下、ネタバレを含む感想です。
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この作品でカーラも死にます。
ただし、カーラの死は作中でかなり大きなインパクトを持って描かれています。カーラの死後、いとこのスーパーマンは怒り狂いますし、スーパーマンを助けることで未来に希望をつないだカーラの行動はスーパーヒーローの象徴として扱われます。
同じように作中で死が重大な意味を持っているのがFlash(フラッシュ、バリー・アレン)で、この当時この二人を殺すことにはファンからの反発も予想されたのかな……と思わせました。
この作品で死んだカーラがコミックの世界に戻ってくるのは2004年です。約20年の時を経て復活するとはこの時だれも予想できなかったでしょうから、当時のファンはさぞショックだったろうと想像できます。現在のファンは、キャラクターが死んだとしてもがまたいずれ戻ってくるだろうと思える分当時よりはましですが、とはいえ好きなキャラクターが何年後に復活するかは分からないわけで。
設定が複雑になりすぎ・キャラクターが多すぎ、という問題はもちろん分かるのですが、適当に整理しながらキャラクターを殺さずにコミックを展開していく方法はないものか、と思います。