2021年1月から始まったSensational Wonder Womanは、デジタル版の先行販売でWonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)を主役にした物語を描いています。まだ始まったばかりで何とも言えないところはありますが、大体2-3話程度で完結する短編主体で行くらしく、Wonder Woman誌などの他の雑誌のストーリーとも特に絡まない――ということで、気になった作品を手に取りやすい形になっています。
#1-2話ではHawkgirl(ホークガール)がゲスト出演でした。今回感想を書く#3-4ではアマゾン族の戦士の一人、Artemis(アルテミス)がゲストで登場しています。
Written by: Andrea Shea
Art by: Bruno Redondo
発行年 2021年
ダイアナのもとにアルテミスから緊急コールが入る。アルテミスはMongulが支配するWarworldという星で、闘技場の戦士として死ぬまで戦うことを強制されているのだった。すぐ急行するダイアナだったが、ダイアナの母であるヒッポリタ女王はアルテミスが粗暴なBana-Mighdallのアマゾン族の出身であることから、ダイアナに気をつけるよう警告するのだった。
Warworldの闘技場で戦うアルテミスの目の前に降り立ったダイアナは、Mongulを倒すため共に戦おうという。しかしアルテミスは、ダイアナと戦いたいがためにおびき寄せたのだと言ってダイアナにその武器を向けるのだった――というのがあらすじです。
果たしてアルテミスの真意は何だったのか? ダイアナとアルテミスの戦いはどう決着するのか? というのが見どころになっています。
舞台がWarworldということもあり、ダイナミックなアクションシーンと、ダイアナとアルテミスの関係性を楽しめる一作です。
以下、ネタバレを含む感想です。話の核心部分までネタバレしています。
***ここからネタバレ***
アルテミスの計画は、ダイアナと戦って負け、ダイアナが自分(アルテミス)を殺すのを拒否する→Mongulが双方を殺すため闘技場に降りてくる→Mongulを倒して逃げる、というものでした。
ここでポイントになるのは、
「ダイアナはアルテミスが本気で戦いを挑んできていると信じて全力でアルテミスを倒しにいく」という流れにならなければ作戦が成功しないことです。
そのために効果的に働いているのが、エピソードの冒頭でヒッポリタ女王がBana-Mighdallのアマゾン族のことについて「乱暴で血に飢えていて傲慢で」とくどくど言っている悪口です。それを嫌な気持ちで聞いていたダイアナですが、この悪口があったからこそアルテミスが自分に斧を向けた時「本気かもしれない」と思うことになったわけで。
ヒッポリタさんの真意はともかく、結果的にファインプレーになってしまったという面白い展開でした。
また、Mongulを倒してWarworldを脱出したアルテミスに計画を全部聞いたダイアナが、アルテミスのことを信じられなくてごめんなさいと謝るシーンがあるのですが。アルテミスの方は、ダイアナは絶対に自分を殺すことを拒否するだろうと、ある種信じていたわけで。
ダイアナがどう動くかを、読み切っていたアルテミス(これは「ワンダーウーマン」としての活動が世界中で報道されているからというのもあるでしょう)と、アルテミスの行動を読み切れなかったダイアナ、というのも意外性がある対比で面白く読めました。