※Detective Comics (1937-2011)の各話感想はこちらをご覧ください。
【基本情報】
Writer: Paul Dini
Colorists: Simone Bianchi, John Kalisz
Inker: Wayne Faucher
Penciller: Don Kramer
Cover Color by: Guy Major
発行年 2007年
公式サイトはこちら (#833)。
"Trust"というサブタイトルのついている話だけあって、ザターナとバットマンの間の信頼関係をメインに据えた話です。
ザターナの元アシスタントが、あるマジシャンのアシスタントとしてゴッサムシティの舞台に立ったところ事故で死んでしまい、その真相をザターナとバットマンで明らかにするというあらすじです。
このエピソードの少し前にザターナはバットマンを裏切る行為をしていたということで (JLA #115-119で描かれたCrisis of Conscienceのことかと思います、感想はこちら)、お互いやや気まずい再会となります。
とはいっても、なんだかんだと協力し合う話なのでザターナとバットマンの共闘が楽しめます。
以下、ネタバレを含む感想です。
***ここからネタバレ***
子供時代のザターナとブルース(バットマン)の様子が回想で描かれます。ちょっとおませに見えるザターナがとても可愛いです。
ザターナがバットマンを裏切った事件の後の話なので色々と複雑な思いを抱くバットマンが、ピンチのザターナを見た時にふっと子供時代の彼女の顔を思い出すのがリアルでした。付き合いの長い相手は、ふとした拍子に昔の面影を重ねてしまうことがありますね。ブルースにとってザターナは幼馴染で、大人になっても老人になってもその意識は変わらないんだろうなと思わせる話でした。
最終的に二人は和解して別れます。以前に何があったにしても、もともとの信頼関係が強い二人なので、時間をおいて再会するともう一度信頼関係を作り直すことができるんだろうなと思わせる話でした。共通の経験があるというのは強いですね。
この作品の中では、ブルースにザターナがいうこのセリフが一番印象に残りました。
"YOUR CITY, YOUR ENEMY, YOUR RULES, BRUCE. ALL I ASK IS THAT YOU LET ME HELP YOU BRING HIM DOWN."
「あなたの町であなたの敵だから、あなたのルールに従うわ、ブルース。私は、彼を倒すのを手伝わせてほしいだけ」
という感じでしょうか。彼 = ザターナの元アシスタントを殺した犯人です。本当はザターナが一番復讐したいところですが、一歩引いているところがいいと思います。状況からくるバットマンへの遠慮もあって、人の領域には踏み込まないことにしたのかな……と思います。
ある意味、バットマンに対する「幼馴染だから」という甘えを捨てた話のようにも読めました。