2019年1月20日日曜日

MERA: Queen of Atlantis #1-#6 感想

 今回は映画「アクアマン」公開が近いので"MERA: Queen of Atlantis #1-#6"の感想です。筆者はセール時に一話ずつ購入したものを読みましたが、単行本 (TPB)も出ています。単行本はこちらから購入できます。

【基本情報】
Writer: Dan Abnett
Artist: Lan Medina, Norm Rapmund
Cover: Nicola Scott

発行年 2018年

公式サイトはこちら (#1)。



この作品は、「アクアマン」誌のスピンオフです。アクアマン誌での展開を踏まえつつ、メラの活躍を中心に描いたもののようです。
しかし、何しろ親切設計です。メラの出自から、アクアマンへの思いから、現在の状況から、初めて読んだ人にも分かりやすい説明がつけられています。むしろこの本を入り口にアクアマン誌に入っていく人もいるのでは? と思わせます。

お話としては、アクアマンがアトランティスの王座を追われ、メラも敵にその力を弱体化されて地上に逃げてきたものの、アトランティスの女王として頑張る話です。

アトランティスと地上の国々が戦争にならないよう外交交渉を繰り広げたり、戦いを避けることを第一に考えながらも友達のために敵に決闘を申し込むメラが最高に格好いいです。
メラの頭の良さと強さを堪能できる作品になっていますので、強い女性ヒーロー好きの方におすすめです。

……それと個人的に、Half-brotherとHalf-Sister (片親が同じ兄弟姉妹)が二組出てきて少し混乱したので整理しておきます。

・アクアマンとOcean MasterはHalf-brother (母親が同じ)
・Tula (メラの友達)はOcean MasterのHalf-Siter (父親が同じ)

なので、アクアマンとTulaには血のつながりがないのですね。しばらくアクアマンとTulaも兄弟なのかと思っていました。

Tulaはこの本で初めて知ったキャラクターですが、地上に住んでいるメラの面倒を見てくれるし、大人同士の話し合いの時に子供と遊んでいてくれているし、何かと親切だし大変バランス感覚の良いまともな人だと思います。友達になるならこの人ですね。

以下、ネタバレを含む感想です。



旧弊を打破する話です。

この作品では、かなりわかりやすくメラが打ち破りたい思想が示されています。その思想を持つ相手を倒して終わり――ではなく、その相手に自分の要求を認めさせるにはどうすればいいか、ということまで考えて行動しているところがメラの強さでありしたたかさであると思います。

結局、何か新しいことをしようと思っていても古い考えの人たちを全員殺す、というわけにもいかないのです。古い考えを持つ人たちにも動いてもらわなければならない。そんなときには、どうすればいいか。――人を動かす方法を知っているメラはリーダー向きだなと思いました。まさに、Queenの名にふさわしい資質を持った人であると思います。
ヒーローとして、あるいは一個人として格好いいと思わせるキャラクターはアメコミを読んでいると何人もいるんですが、政治家として格好いいと思わせるキャラクターはこの本のメラが初めてでした。海中の国家を率いるポジションにいる「アクアマン」の世界のキャラクターならではなのかな、と思います。

ちなみに、この本の中ではちらっとダイアナ(ワンダーウーマン)が出てきます。メラがダイアナのことを常に「ダイアナ」と呼んで、「ワンダーウーマン」とは呼ばないのが、友達っぽくていいなと思いました。