2019年1月3日木曜日

Convergence: The Question 感想

 Convergenceは、New52での設定大幅変更により消えてしまった設定やキャラクターをもう一度昔の世界で楽しもうというコンセプトにより出版されたシリーズのようです。Convergenceというシリーズ名で何作も出版され、作品すべてにまたがる共通点もある模様。DCコミックスの世界の世界観にかかわる作品群として製作されたらしいのですが、筆者はクエスチョン(レニー・モントーヤ)の活躍を読みたくてConvergence: The Question #1と#2を読みました。2話完結です。


【基本情報】
Writer: Greg Rucka
Artists: Cully Hamner
Cover: Cully Hamner

発行年 2015年

公式サイト (#1)はこちら。



主な登場人物は、Question (Renee Montoya), Huntress (Helena Bertinelli), Batwoman (Kate Kane), Two-faceです。
この話の中でのレニーは顔を隠した探偵、Questionとして活動しています。またTwo-faceはレニーの人生を大いに狂わせて転落する原因を作った人物です。

この物語は、キャラクターたちが色々喋ってはいますが主役はレニーのモノローグだと思います。この作品の中のゴッサム市はいつにも増して荒んでいるのですが、そこに淡々としたモノローグが重なります。

「死がこのひどい世界からの唯一の逃げ場であるのなら、どうして死を望んではいけないのだろう」
ということがテーマになっている物語だと思います。キャラクターたちのセリフをBGMに、レニーのモノローグに静かに耳を傾ける。そんな作品です。

以下、ネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ***

終わりの世界の物語だと思います。ゴッサムシティで地震かなにかあったらしく、他の世界から切り離されて人々はドブネズミのように暮らしている中での話です。
そんな中、Two-faceは自殺を望みつつも踏ん切りがつかないでいます。一方、レニーの父は病気で死期が近づいているという状態です。
レニーはTwo-faceの自殺を止めようとします。モノローグではこの世界で生きることの価値に疑問を呈しながらも。

生きていることそのものの価値が疑われるような閉塞感に包まれた世界にいても、どうして人は生きようとするのか。どうして人は他の誰かに生きていてほしいと願うのか。そんなことを考えさせられるお話でした。


……というこの作品のテーマとは別に、もう一つ印象に残るのがバットウーマンの面倒くささなんですが、これは作者の意図したところなんでしょうか。
この作品ではバットウーマンとレニーは元恋人という関係で、レニーはハントレスと同居しています。ハントレスはレニーと恋人関係ではないようなのですが、バットウーマンがジェラシーを炎のように燃やすという大変厄介な事態に。ちょこちょこハントレスに嫌味を言っているのですが、最終的には

 "YOU ARE SLEEPING WITH MY EX, I DON'T HAVE TO BE POLITE TO YOU."


「私の元恋人と寝てる人に礼儀正しくする必要なんてない」

と言い出す始末。ああ面倒くさい。ハントレスはレニーの恋人ではないんだってば。周りの人に迷惑なのでバットウーマンとレニーはおとなしく付き合っててください、という気持ちにもさせられた作品でした。