2019年1月26日土曜日

Wonder Woman (2016-) Vol. 1- Vol. 4 感想

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。


Wonder Woman (2016-) Vol. 1-4を読みました。2018年から連載しているJustice League Darkのリーダーがワンダーウーマンということもあって少し彼女の話を読みたいなと思っていたのです。しかし、既に出版されている作品の量の膨大さに圧倒され、とりあえずRebirthのWonder Woman誌でVol. 1から切りの良いところまで……と思った結果、Vol. 1-4までを読むことになりました。各巻のサブタイトルはVol. 1から順にThe Lies, Year One, The Truth, Godwatchとなっています。

【基本情報】
Writer: Greg Rucka
Artists: Matt Clark, Liam Sharp, Bilquis Evely, Nicola Scott, Mirka Andolfo, Bilquis Evely
Cover: Liam Sharp, Nicola Scott, Bilquis Evely

発行年 2005年

公式サイトはこちら (Vol. 1)。



Vol. 1から4まで、Greg Ruckaが作者としてストーリーを手掛けています。ワンダーウーマンが誰かに騙されているらしいということが明らかになる衝撃的な冒頭から、セミッシラ島を出て人間界に来たばかりの頃の過去の話を挟み、

・ワンダーウーマンは誰に/何を欺かれているのか
・(このエピソードの中で)敵は誰なのか
ということが、ゆっくりと解き明かされていきます。

第一の感想としては、ワンダーウーマン、とても優しい人ですね……。

筆者が原書で最初にワンダーウーマンを読んだのは、New52のJustice League Vol. 1-3でした。この時の印象では、考える前に即行動と言うか、脳筋というか、とにかく行動に移す人でしかも怖い人と言う印象でした。けれども、この作品の印象では慈愛に満ちていました。敵に対してさえも。そういえばBombshells (感想はこちら)でのワンダーウーマンも優しい描写でしたね。

以下、ネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ***

これは神話だと思いました。ジャンル:ヒーローものというより、ジャンル:神話です。もともとアマゾン族は神話の中に存在しているだけに、ワンダーウーマンと神話とは相性のいいものだろうと思いますが、徹底して神話でした。

どこを読んで神話だと思ったかと言うと、神々の思惑で人間たちが翻弄され、人間が頑張ってもあまり報われないところです。結果、理不尽な目に遭う人たちが何人も登場します。Vol. 1-4で可哀想だった人ランキングを作ってみると、

1位: Barbara Ann Minerva
2位: Dr. Cale
3位: Isadore Cale
4位: Adrianna

とあっさり作れてしまうほどです。順位については議論の分かれるところだと思いますが、この人たちが可哀想ということについてはこの作品の読者の8割くらいが同意するような気がします。神々に翻弄されすぎです。

この作品の中では、ワンダーウーマンは人と神の中間にいる存在です。人よりはずっと強い力を持ち、神と対峙することもできますが、神によって翻弄される一人にすぎません。神と向き合い、事態の解決を図りながらも理不尽な目に遭った人たちに寄り添って行こうとします。

この作品を読む前の、敵をばったばったとなぎ倒していくスーパーヒーローのイメージが良い意味でかなり変わりました。しつこいようですが、Bombshellsの中でワンダーウーマンが失意のスーパーガールにずっと寄り添っていたのも、別にBombshells独自の展開というわけではなくワンダーウーマンはそういう行動をとってもおかしくないキャラクターだったんだなと気づかされました。

それにしても、ワンダーウーマンはどうやって生計を立てているのでしょう……米軍持ち?