2019年5月11日土曜日

Batgirl (2011-2016) Vol. 5: Deadline感想

※Batgirl (2011-2016)の各巻感想へのリンクはこちら

※このシリーズの各巻感想は以下です。

Gail Simone氏がライターを務めるNew52期Batgirlの最終巻、Vol. 5を読みました。

【基本情報】
Writers: Marguerite Bennett, Gail Simone
Artists: Jonathan Glapion, Fernando Pasarin, Robert Gill
Cover by: Alex Garner
発行年 2015年

公式サイトはこちら。


一読した最初の印象は、「"Birds of Prey"を読んだみたい」でした。

この巻はこれまでの巻とは少し違った雰囲気の作品が収録されています。最初に収録されているのは、ゴッサム市が一見ユートピアになったディストピアものですし、"I, Vampire"とのイベントだったのかな? と思われる、吸血鬼のAndrew Bennettが登場する話も収録されています。Andrew BennettはNew52期Justice League Darkでは「コンスタンティンにいいように利用されているちょっと可哀そうな人」という印象でしたが、吸血鬼の世界では名の知れた人だということが分かるエピソードでした。

ほかにもオカルト系の短編もあります。このオカルト系短編 (issue #30)は、ゴッサム市に都市伝説的に伝わる怪物とバットガールが対決するというもので、オチも含めてとても印象的です。この一話でドラマにしたら面白そうです。都市伝説の内容をうかつに実行してはいけませんね。

それに加えて、New52期Birds of Preyの後日談的にPoison Ivyと共闘する話も出てきます。


以下、この本のメインストーリーについてネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ***

話の本筋と思われるストーリーでは、Vol. 2に登場し何かとRicky(バーバラといい雰囲気になっているボーイフレンド)を付け狙う敵との最終決戦に至るのですが、ここでバットガールはまずBlack Canary (ブラックキャナリー、ダイナ・ランス)を訪ねます。彼女はVol. 2にも出てきましたし、信頼しているということをその時も言っていたのでいいとして。
そこになぜか「別の町からやってきた」というHuntress (ハントレス)がチームに加わります。

この3人がチームを組んで戦うって、それはもうBirds of Preyです。なぜあえてこの3人を組ませたのでしょうか。New52期Birds of Preyにはハントレスが登場していないみたいなので、寂しいという読者の声に答えたとかそういった事情があったのでしょうか。
いろいろ調べていると、ここで登場するハントレスはBatgirl and the Birds of Prey (感想はこちら)などに登場するHelena Bertinelliではなく、Helena Wayneだそうです。Helena Wayneは、アース2という別世界でのブルース・ウェイン(バットマン)とセリーナ・カイル(キャットウーマン)の娘です。
……うむ。ややこしいですね。二人のハントレスですが、見た目はほとんど同じで区別がつきません。言葉遣いが違っていて見分けがつくようになっているなんてこともあるのかもしれませんが筆者には良く分からないです。ちなみに、New52期に出ているソロ誌"Huntress"も、Helena Wayneを主人公にした作品だそうです。

というわけで、この作品でバットガールはハントレスとは初対面ということで勘違いしていきなり殴りかかっていきます。防御はしても反撃はしないハントレスは大人です。偉い。Helena WayneのハントレスはHelena Bertinelliのハントレスと比較してだいぶ攻撃性が低いかもしれません。

そしてそんな様子を見て二人をとりなすブラックキャナリー。さすが人格者です。同じ目的に向けて戦うよう2人を促します。やはり3人そろってこそのチームで……って、本当にBirds of Preyですね。

最終決戦ということで敵側もかなり大掛かりな作戦に出ますので、バットガール側もこれまでの5巻で積み上げた、および今回初めて出てきた人脈を駆使して対抗します。結果として、DC社のヒーローのうちたぶん10人以上がこの話には登場します。ザターナも出てます! 一コマだけですけど!

……と、そんなこんなで事態を収拾してバットガール、ブラックキャナリ―、ハントレスの3人で「良かった! 頑張った!」という感じで事件は幕――というのを読むと「ああ面白いBirds of Preyだった」という感想になってしまうのも致し方のないところです。Birds of Prey、筆者は好きなのでいいのですが、Batgirl誌としてこれで良かったのかなという気持ちは少しあります。



なお、この本の最後にはイベント"Future's End"のエピソードが収録されています。Batwoman Vol. 6 (感想はこちら)ではかなり後味の悪いオチになってしまっていたFuture's Endのエピソードですが、こちらではそこまでではなかったです。

数年後の未来、とある悲劇がきっかけでバーバラはバットガールをやめ、ステファニー・ブラウン、カサンドラ・ケイン、ティファニー・フォックスからなるバットガールチームを率いていた。ある日、宿敵と対決することとなりバーバラは一人戦いの地に赴くのだが――というのがあらすじです。

バーバラがずいぶんと逞しくなっていますが、仲の良いバットガールたちが印象的なほのぼのとできる一編でした。