※Batgirl (2011-2016)の各巻感想へのリンクはこちら。
Batgirl (2011-2016) Vol. 3を読みました。バットガールとしてのBarbara Gordon (バーバラ・ゴードン)の姿を描く、New52期Batgirlの3冊目です。この本は読んでいてしんどかったです。
【基本情報】
Writers: Scott Snyder, Ray Fawkes, Gail Simone
Artists: Ed Benes, Admira Wijayadi, Vicente Cifuentes, Mark Irwin, Jonathan Glapion, Julius Gopez, Greg Capullo, Daniel Sampere
Cover by: Ed Benes
発行年 2013年
公式サイトはこちら。
収録されているのは、
・Court of Owlが出てくる話の続き。恐らく他誌との共催イベントなので、Batgirl誌だけではちょっと良く分かりません。
・Jokerと戦う話(これも多分他誌とのイベント)
・James Gordon Jr. (バーバラの弟)がバーバラの前に現れる話
の3つです。
なにがしんどいかと言って、ジョーカーと戦う話です。バットマンは「バットガールはバットマンの足を引っ張っているから」という理由で彼女を排除するために、バーバラの母を誘拐しバットガールを脅迫します。
ジョーカーのセリフの中に「手足を切り落とす」的なセリフが何度も出てくるのが本当に読んでいてしんどかったです。具体的に絵で描かれるわけではないのですが(そこまでいったら途中で読むのをやめていたかも)、セリフで読むだけでも想像してしまって気持ち悪くなっていました。
おそらく他誌との共通イベントということで、最終的には他誌の話と合流していくため"Batgirl"を読んでいるだけでは経緯が良く分からないうちに終わるのですが、これを読んでいるときほど「お願い、ハーレイ出てきてこの雰囲気を全部ぶち壊してコメディにして!」と思ったことはありません(※ハーレイ・クインは出ません)。
ジョーカーはバーバラの巨大なトラウマの原因となっている人物でもあり、ジョーカーと戦うことでそれを乗り越えるといった展開があるかと思ったのですが他誌との共催イベントということもありそうはなりませんでした。
興味深かったのは3つ目、James Gordon Jr.の話です。以下、ネタバレを含む感想になります。この巻の最後の展開までネタバレしています。
***ここからネタバレ***
上に書いたジョーカーの話でもちょろちょろしていたジェームズ・ゴードン・ジュニアですが、彼はシリアルキラーです。なぜそんなことに、と思って読んでいたら「子供のころからずっとバーバラばかり両親に注目され、バーバラだけが愛されているのが許せなかった」からだそうです。
……だからって殺人犯にならなくてもいいでしょうが……と思ったものの。他の家に生まれていたら、あるいはバーバラが姉でなかったら、彼は別の人生を歩めたのでしょうか。どんな家に生まれていても結局は殺人犯になってしまったのでは、と思うのは筆者がバーバラのファンだからでしょうか。
ともあれ、脱獄したジェームズは母を殺そうと母を呼び出します。バーバラはそれを止めに向かいます。
バーバラはジョーカー編からずっと、ジョーカーやジェームズのことを「殺すしかない」と思っています。読者としてはその気持ちも、非常によく理解できます。しかし、バットマンが掲げている不殺のポリシーとの兼ね合いはどうなっていくのか気になるところです。
姉と弟の戦いはバットガールがジェームズと戦い、彼を海に突き落としたところで幕となります。そして、そこを父親であるゴードン本部長に見られ、バットガールが殺人犯であると確信を抱かせてしまうところでVol. 3は終わります。
ジェームズ・ゴードン・ジュニアの設定を知ったとき、何であのゴードン本部長からサイコパスの殺人犯が生まれるのだろうかと思いました。この巻で彼がずっと抱いていた不満を口にしてくれたことで気持ちは何となくわかったのですけれど、それにしても殺人犯になるかなあ……とは、思ってしまいます。そこがサイコパスたる所以だと言われれば、確かにそうなのですが。
お父さんが最も嫌う存在(=殺人犯)になろうとしたのかな、とは思いました。
あるいは、姉とは別の領域で自分が輝こうとしたらもう犯罪しか残っていなかった、とか。
その能力をジョーカーと戦うといった方面に使ってほしいものです。
もしかすると、優等生の姉が自分を殺して殺人犯になり、それを父が追うという展開は彼にとっては理想的な復讐だったのかもしれないと思いました。