2019年5月6日月曜日

Batgirl (2011-2016) Vol. 1: The Darkest Reflection 感想

※Batgirl (2011-2016)の各巻感想へのリンクはこちら

※このシリーズの各巻感想は以下です。

Batgirl (2011-2016) Vol. 1を読みました。New52期バットガールの最初の一冊です。

【基本情報】
Writer: Gail Simone
Artists: Vicente Cifuentes, Ardian Syaf
Cover by: Adam Hughes
発行年 2013年

公式サイトはこちら。



Killing Joke 事件(感想はこちら)以降、脚を動かせなくなりバットガールとしての活動をやめていたバーバラ・ゴードン (Barbara Gordon)が再び歩けるようになり、バットガールになる話です。
歩けるようになった理由についてはずっと"Miracle"と表現されているので、「もしや奇跡だったでずっと押し通すつもりでは……」と思いながら読んでいたら後のほうで説明されていました。南アフリカで治療したようです。
この作品のバーバラは、家を出て暮らしています。ルームメイトのAlysiaにこれまでのことを説明する形で読者に設定を説明してくれる形式です。

収録されているのは、

・Mirrorと呼ばれる殺人犯を止める話
・人を操る能力を得てしまった人を止める話

の2つのエピソードです。

いずれも、「Jokerに撃たれた被害者」としてのバーバラの姿をクローズアップする物語になっています。バーバラがバットガールに復帰する第一作として、被害者としての彼女に向き合う作品になっているのは非常に真面目なつくりだと感じました。

以下、ネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ***

今回の2つのエピソードの犯人が二人とも、思わぬ形で人生が暗転してしまった人たちだというのが印象的でした。Mirrorは自動車の火災で妻子を失い、Survivor's Guilt (事故等で生き残ってしまった人が抱く罪悪感)を抱えていますし、2つ目のエピソードの犯人は犯罪の被害で脳に銃弾を受けた結果特殊能力を得たという設定になっています。

バットガール自身も、Jokerに撃たれたのと同じ場所を銃で狙われると足がすくんで動かなくなるというトラウマを抱えていることが明らかになります。

2つのエピソードに共通して、バットガールが犯人に与えたかったものは救いであろうと思います。2人の犯人が犯したことは殺人ですから簡単に許されるものではありませんが、一方で不幸な出来事により2人の人生が変えられてしまったのは間違いがないのです。
人間の人生には「偶然」とか「運」とかいったものが大きなファクターになっていて、人はそれに翻弄されざるを得ない。ということを強く感じさせる巻でした。