2019年2月9日土曜日

JLA: Zatanna's Search 感想

これまでこのブログでは電子書籍で購入したアメコミを紹介してきました。アメコミはかなり電子書籍化されているので、日本からでも読みたいと思った時に購入してすぐに読むことができます。
けれども。少し前に出版された作品になると電子書籍化されていない作品もあり、そうした作品を読むためには紙の書籍を探す必要があります。
というわけで今回、ザターナが初登場したエピソードを一冊にまとめたTPB (単行本)、"Zatanna's Search"を紙の本で購入しました。なお、現在は出版されておりませんので古本です。注文してから2週間くらいで届きました。

【基本情報】
Writers: Gerry Conway, Gardner Fox
Inkers: Carmine Infantino, Murphy Anderson, Vince Colletta, Joe Giella
Pencillers: Murphy Anderson, Mike Sekowsky, Robert Kane, Gil Kane, Romeo Tanghal, Carmine Infantino
Introduction: Steve Utley
Cover by: Brian Bolland

発行年 2004年

公式サイトはこちら。



ザターナが初登場した後、お父さんのGiovani John Zataraを探して様々なヒーローたちとともに冒険をするのですが、その一連のエピソードをまとめたのがこの単行本になります。
単行本として発行されたのは2004年ですが、個々の作品が連載されていたのは1964年-1967年です。単行本の発行が2004年なら電子化してくれてもいいんじゃないかな。

このザターナのお父さん探しのエピソードはHAWKMAN誌、The ATOM誌など複数の雑誌にまたがって連載されたもので、要するにイベントなのですが、序文によると複数誌にまたがるイベントが行われたのはこの"Zatanna's Search"が初めてだったそうです。なんと。

お話はとても素直です。お父さんを探すザターナが、初めはホークマンとホークガールに、次はアトムに……とヒーローたちに協力してもらいながらお父さんの足跡を追っていきます。最後にお父さんに近づいたところで、これまで協力してもらったヒーローたち皆に来てもらって最終決戦――という形です。

ザターナの初登場エピソードということで、大変興味深く読みました。初期のザターナはまだまだ魔法の使い方も甘く、ヒーローたちのフォローがなければどうにもならなかっただろうなと思わせます。ピンチに陥った時のヒーローたちの逆転が見どころです。
Justice League of America #161 (感想はこちら)に出てくる敵も出てきます。あの敵との因縁はこの時から始まっていたのですね。 

ザターナの二つ名が"MAID OF MAGIC" (魔法のメイド)であり、現在の二つ名が"MISTRESS OF MAGIC" (魔法の女主人)であることを考えると随分パワーアップしたのだな……と思いましたが、このZatanna's Searchの中で"MISTRESS OF MAGIC"と呼ばれている箇所もありました。曖昧だった二つ名が一つに絞られていったのでしょうか。

話の感想としては、ザターナの一途さが印象に残る話でした。コンスタンティンがいないこともあって性格のきつさは影を潜め、お父さんを一心に探す様子がクローズアップされます。途中、自分の魔法のせいでヒーローたちに迷惑をかけたことを謝りながらも探索を続けていく姿は「一途」としか形容のしようがありません。

ジャスティスリーグなどのチームに入った時のザターナには何となく「妹分」という感じがあると思っていました。それは単に年齢設定のせいなのか、性格か――と思っていましたが、もともと「父を探す娘」としてヒーローたちに助けを求める形で登場したということが影響しているのかもしれません。 

一連のエピソード終了後にザターナとお父さんのオリジンが掲載されています。そこの描写ではザターナはお父さんの失踪後に自分が魔法を使えることを知ったことになっています。一方、最近の作品Detective Comics Vol. 4 (感想はこちら)やJustice League Dark #3 (感想はこちら)ではザターナは幼いころからお父さんに魔法を習っていたことになっていますから、どこかで設定が変わったのでしょうね。
バットマンに関しても、この本ではお父さんを探す過程で初めて出会ったことになっています。こちらも最近の作品では子供の頃に二人は出会っていたことになっていますから、どこかで設定が変わったと思われます。

お手軽に買えるとは言えませんが、ザターナファンにはお勧めの一冊です。