2019年2月17日日曜日

Crime Bible: The Five Lessons of Blood 感想

 Renee Montoyaが主役ということで、Crime Bible: The five lessons of Blood #1-#5を読んでみました。時系列としては52(感想はこちら)の後、Final Crisis Revelations (感想はこちら)の前日譚ですね。

【基本情報】
Writers: Greg Rucka
Penciller: Steve Lieber, Jesús Saíz, Matt Clark, Diego Olmos, Manuel Garcia
Inkers: Steve Lieber, Jesús Saíz, Matt Clark, Diego Olmos, Manuel Garcia, Jimmy Palmiotti
Colorists: John Van Fleet, David Baron, Javier Mena Guerrero, Santiago Arcas
Cover by: John Van Fleet
発行年 2007年

公式サイトはこちら (#1)。



"52"の後も、レニーはカルト集団Religion of Crimeと彼らが聖書とするCrime Bibleを追いかけていた。レニーは現存するCrime Bibleをすべて集め、彼らが企むことを解き明かそうとする。一方、Religion of Crimeには時が来ればFacelessがリーダーとなるという信仰があり――、というのがあらすじです。

Crime Bibleは"52"でも登場し、バットウーマン(ケイト・ケイン)がその内容に沿って殺されそうになりました。Final Crisis RevelationsでずいぶんレニーがCrime Bibleの内容に詳しいなと思っていたら、このエピソードで集めては調べていたんですね。
この作品でも、バットウーマンは#3に登場します。このレニーとケイトの関係がとても興味深いので、以下、ネタバレを含む感想で詳しく書きます。

***ここからネタバレ***

この話の前にレニーはまたケイトに何も言わずゴッサム市を出ていたようです。Crime Bibleを追ってゴッサム市に戻ってきたレニーでしたが(この時ゴッサム市警を訪ねて、Maggie Sawyerやゴードン本部長, Stacyに会っているのが嬉しいです)、ケイトに会ってCrime Bibleを手に入れるための手伝いを依頼します。当然ケイトはレニーが何も言わずに去っていったことをとても怒っていて不機嫌ですが、手伝うことには了承します。

ケイトがレニーの手伝いをすることにしたのは、レニーの危うさも大きかったのだろうと思います。レニーがCrime Bibleに固執するのは、犯罪を止めるというだけではなくレニー自身がCrime Bibleに魅入られているきらいもありますから。
バットウーマンはCrime Bibleの一部を手に入れたものの、それをレニーに渡すことを拒否しレニーと戦います。レニーを一旦倒したバットウーマンは噛みつくようにレニーに聞きます。

"WHY? WHAT'S DO DAMN IMPORTANT YOU'RE WILLING TO FIGHT OVER ME THIS?!? WHY ARE YOU DOING THIS?!?"
"I HAVE TO FIGHT THEM! I'M TRYING TO SAVE YOU!"


「どうして? 何が大事で私とこの本のために戦うの!? なんでこんなことするの!?」
「彼らと戦わないといけないから! あなたを助けようとしているの!」

確かにReligion of Crimeは一度ケイトの命を狙ったことがあるだけに、また彼らがケイトを狙うのではないかとレニーが思うのも尤もです。先回りして対策を立てておきたいと思うのも。それを聞いて、ケイトはこう答えます。

"MAYBE YOU SHOLD HAVE ASKED WHAT I WANT. BUT THAT'S NEVER BEEN A QUESTION, HAS IT?"


「私が何を望んでいるか、あなたは聞くべきだったわ。でもそれは疑問に思ったこともないんでしょう?」

そしてケイトは本をその場に投げ捨てて去ります。

ケイトが何を望んでいるか。Religion of Crime対策を練るにしても、二人でしたかったのではないかなと思います。そもそもレニーが黙ってゴッサム市を去ったことも許せなかったのでしょうし。本当に気持ちがすれ違う二人というか、切ない気持ちになりました。

ケイトとレニーが出会ったとき、ケイトは学生でレニーは警官だったという立場からか、レニーはケイトに対して保護者然としてふるまっていることが多いように感じます。ケイトはそれに反発もしますし、私の気持ちを分かっていない、ともなります。初対面の時から10年以上の時間が経っているのですからもう少しケイトのことを認めてあげてほしいものです。


エピソードとしてはこの後にFinal Crisisを迎えるのですが、ケイトとレニーはまともに会話をしているのでしょうか。スピンオフに当たるRevelationsではろくに会話がありませんでした。もし、この後も特に会話がなかったのであれば、Batwoman(感想はこちら)でケイトがレニーに執着していた気持ちもなんとなくわかるような気がします。