この巻にはRenee Montoyaが登場しません。が、この後のVol. 7に登場するのでVol. 6も読んでおいた方がストーリーも分かって楽しめるだろうと思い読んでみました。異色な存在ながらバットファミリーとして活躍していたClayface (クレイフェイス、本名: Basil Karlo)に焦点を当てたお話です。
【基本情報】
Writer: James T Tynion IV
Artists: Various, Eddy Barrows, Miguel Mendonça, Joe Bennett
Cover by: Guillem March
発行年 2018年
公式サイトはこちら。
ゴッサム市に帰還したロビンは、バットファミリーが使用する設備の改善を進め、自らの求める理想へと進んでいた。一方、Vol. 2で登場したVictim Syndicate (バットマン被害者の会)はバットファミリーに属するクレイフェイスを暴走させ、市民に甚大な被害を与えることを目論む。クレイフェイスの暴走を止めるための手段がすべて失われたかに見えた時、バットウーマンの取った行動とは――というのがあらすじです。
この話を読むときには、「カサンドラ・ケインがバットファミリーの中で最も親しく接していたのがクレイフェイスだった」ということを認識しておく必要があります。Vol. 2(感想はこちら)でスポイラーがバットファミリーを離脱してから、彼女と最も接していたのはクレイフェイスでした。Vol. 4 (感想はこちら)でシェークスピアの戯曲を使いながら話し方を教えていたのはクレイフェイスでした。ということを頭の片隅に置いて読むと、より感慨深くなるお話です。
以下、ネタバレを含む感想です。
***ここからネタバレ***
ティム・ドレイクの語る理想のバットファミリーのあり方がこちらです。
「僕はちょうど……新しいアイディアを思いついて興奮していたんだ……2、3日のうちにバットガールに会って、彼女のしている基本的な作業をクロックタワーからベルフライに移すことを相談するつもりだ。(中略)彼女の能力とアクセス権があれば、ゴッサム市警の警官の派遣の仕方だってコントロールできるかもしれない。僕たちが危険な敵を相手にしている間、警官は小さな事件と治安の維持に回すんだ(後略)」
これはないわーと思いました。理想に燃えている若者の言っていることだとしても。警察組織は一応知事の管理下にあって、国民がコントロールできている(ことになっている)わけですが、バットファミリーは誰のコントロールを受けることもないわけです。もしバットファミリーが間違ったことをした場合、どこに苦情を持っていけばいいのですか。
……今回の敵のバットマン被害者の会の首謀者は"First Victim"という、バットマンの活動により最初に被害を受けた人だとされているわけですが、"First Victim"の行動は法で裁かれることが事実上ないバットマンの行動に異議申し立てをしたものだとも言えます。やり方がまずいのはともかくとして。
すなわち、ティムのこうした考えに基づいて行動すると、First Victim的な人を次々に生むことになるような気がします。
物語の終盤、暴走するクレイフェイスを止めるために殺したバットウーマンのことをティムは「一線を越えた」と批判するのですが、行政の一組織をコントロールしようという考えも十分一線を越えていると思いました。
一方、クレイフェイスの暴走を止めるため彼を殺したバットウーマンですがこちらは
「クレイフェイスの暴走を止めるための作戦は失敗したのだから殺すしかない」
という考えに基づいています。カサンドラ・カインがクレイフェイスを止めるべくかなり頑張ったのですけれども、一旦止まったに見えたクレイフェイスがまた動き出したのを見て躊躇なくクレイフェイスを殺しました。それがコロニー(バットウーマンの父、ジェイコブ・ケインの作った組織)の武器だったこともありバットマンをはじめとするバットファミリーの怒りを買います。
特にこれまでクレイフェイスと親しくしていたカサンドラ・カインの怒りは凄まじいです。言葉をしゃべるのがうまくないカサンドラがクレイフェイスを説得する場面で長いセリフを言うのですが、これは以前教えてもらったシェイクスピアのセリフに何か関係しているのかな、なんて思いました。
カサンドラが一番戦闘を習いたいと思っていたのはバットウーマンで、でも言葉がうまく話せないから伝えられなくて、言葉を教えてもらっていたクレイフェイスがバットウーマンに殺されてしまったというのは残酷な展開にするなあ、と思います。
ティム・ドレイクの語る理想のバットファミリーのあり方がこちらです。
"I JUST...I GOT EXCITED BY A FEW NEW IDEAS...I'M GOING TO TALK TO BATGIRL, IN THE NEXT FEW DAYS ABOUT FOLDING HER BASIC OPERATION OUT OF THE CLOCKTOWER INTO THE BELFRY. (中略) I THINK WE MIGHT BE ABLE TO TAKE CONTROL OF THE GPCD DISPATCH WITHE HER EXPERTISE AND ACCESS. REDIRECT THE COPS TO SMALLER CASES AND PEACEKEEPING, WHILE WE FACE THE DANGEROUS STUFF. (後略)"
「僕はちょうど……新しいアイディアを思いついて興奮していたんだ……2、3日のうちにバットガールに会って、彼女のしている基本的な作業をクロックタワーからベルフライに移すことを相談するつもりだ。(中略)彼女の能力とアクセス権があれば、ゴッサム市警の警官の派遣の仕方だってコントロールできるかもしれない。僕たちが危険な敵を相手にしている間、警官は小さな事件と治安の維持に回すんだ(後略)」
これはないわーと思いました。理想に燃えている若者の言っていることだとしても。警察組織は一応知事の管理下にあって、国民がコントロールできている(ことになっている)わけですが、バットファミリーは誰のコントロールを受けることもないわけです。もしバットファミリーが間違ったことをした場合、どこに苦情を持っていけばいいのですか。
……今回の敵のバットマン被害者の会の首謀者は"First Victim"という、バットマンの活動により最初に被害を受けた人だとされているわけですが、"First Victim"の行動は法で裁かれることが事実上ないバットマンの行動に異議申し立てをしたものだとも言えます。やり方がまずいのはともかくとして。
すなわち、ティムのこうした考えに基づいて行動すると、First Victim的な人を次々に生むことになるような気がします。
物語の終盤、暴走するクレイフェイスを止めるために殺したバットウーマンのことをティムは「一線を越えた」と批判するのですが、行政の一組織をコントロールしようという考えも十分一線を越えていると思いました。
一方、クレイフェイスの暴走を止めるため彼を殺したバットウーマンですがこちらは
「クレイフェイスの暴走を止めるための作戦は失敗したのだから殺すしかない」
という考えに基づいています。カサンドラ・カインがクレイフェイスを止めるべくかなり頑張ったのですけれども、一旦止まったに見えたクレイフェイスがまた動き出したのを見て躊躇なくクレイフェイスを殺しました。それがコロニー(バットウーマンの父、ジェイコブ・ケインの作った組織)の武器だったこともありバットマンをはじめとするバットファミリーの怒りを買います。
特にこれまでクレイフェイスと親しくしていたカサンドラ・カインの怒りは凄まじいです。言葉をしゃべるのがうまくないカサンドラがクレイフェイスを説得する場面で長いセリフを言うのですが、これは以前教えてもらったシェイクスピアのセリフに何か関係しているのかな、なんて思いました。
カサンドラが一番戦闘を習いたいと思っていたのはバットウーマンで、でも言葉がうまく話せないから伝えられなくて、言葉を教えてもらっていたクレイフェイスがバットウーマンに殺されてしまったというのは残酷な展開にするなあ、と思います。