2019年2月3日日曜日

Detective Comics (2016-) Vol. 5: A Lonely Place of Living 感想

※Rebirth世界のDetective Comics各巻の感想はこちらをご覧ください。


Renee Montoyaが少し出るということで、Detective Comics (2016-) Vol. 5を読みました。これまでずっと死んだと思われていた(読者には生存が明らかになっていました)Red Robin (レッドロビン、本名: Tim Drake、ティム・ドレイク)が帰還する物語です。

【基本情報】
Writer: James T Tynion IV
Artists: Various, Alvaro Martinez, Eddy Barrows
Cover by: Eddy Barrows, Eber Ferreira
発行年 2018年

公式サイトはこちら。



レニーは今回、ごくわずかな登場です。しかし、今後レニーというキャラクターがどのように発展していくか、それを想像するうえで中々示唆的な登場の仕方をしています。
今回の敵役は未来からやってきていて、未来の情景の一部をティムに見せるのですが、その中でレニーはゴッサム市警の本部長 (Commissioner)として登場します。アメリカの警察の役職には詳しくないのですが、日本の警察で本部長といえば県警のトップです。また、アメコミの中でのゴードン本部長 (Commissioner Gordon)の描写もゴッサム市警のリーダーのようですし、おそらくゴッサム市警のトップの地位だと思われます。

レニー・モントーヤが本部長。

"Gotham Central" (感想はこちら)でのレニー・モントーヤの様子を見る限り、管理職に向いているタイプとは思えないのですが、Rebirth世界での彼女は以前より性格が丸くなっている気がするので本部長になっても大丈夫……なのでしょうか。

以下、この巻の本題についてネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ***

最善を尽くしたはずでも誤ってしまった大人を、若者はどこまで思いやれるのだろうかと思って読みました。

この話で敵役となるのは未来から来たティム・ドレイクです。彼は若きティム(現在のティム)にブルース・ウェインが死んだ世界でバットマンを務めていると言います。そして、バットマンという役割を引き受けたことを後悔していると。そこで、バットマンという重すぎる荷物を背負わなくてもすむよう、そうなってしまうきっかけを作ったバットウーマンを殺すべきだと宣言します。若きティムは当然反発しバットウーマンを守ります。

物語としてはこれでめでたしめでたしでいいのですが、彼が行わなければならない行為が「バットウーマンを殺す」ではなく、もっと受け入れやすい行為だったら果たして彼はどうしたのかなと思いました。

未来のティムが言う
"YOU WILL BE FREE."
という言葉は切実です。未来のティムは何度も何度も"FREE"という言葉を口にします。
おそらく、未来のティムもその時々で最善と思える手を打ってきたはずなのです。それでもどうにもならなくなって、重荷でがんじがらめになってしまった上で取った手段が、「過去に戻ってバットウーマンを殺す」だったのだろうと思います。

現在のティムがそれを否定するのは当然なのですが、それでは君はその轍を踏まない自信があるのかい? 晩年になってあの時未来の自分が言っていた通りにすれば良かったと後悔しないかい? と意地悪なことを思いました。