ザターナが出ているアメコミを探しているうちに、「DC Comics: Bombshells (Marguerite Bennett, 2015-2017)」というシリーズにたどり着きました。
このシリーズは第二次世界大戦を舞台に、DC社の女性キャラクター(ワンダーウーマン、スーパーガール、キャットウーマン、ハーレイ・クインなどなど……)多数の活躍を描いたお話です。
【基本情報】
Written by: Marguerite Bennett
Art by: Various, Ming Doyle, Laura Braga, Marguerite Sauvage, Elizabeth Torque, Mirka Andolfo, Richard Ortiz, Matias Bergara, Pasquale Qualano, Sandy Jarrell, Elsa Charretier, Carmen Carnero, Aneke
Cover by: Ant Lucia, Mirka Andolfo
1巻の表紙はこちらです。他のアメコミ作品と比較して絵柄が全体的に可愛く、コスチュームも独特だと思います。Art: Ant Lucia.
公式サイト(1巻)はこちら。
このシリーズは他のコミックからの独立性が多分高く、このシリーズ独自の人間関係設定が多々あるような気がします。筆者も、これまで読んだアメコミはわずかなのでネット検索であれこれ調べた結論ですが。
主要登場キャラクターの大半が女性なので、女性間恋愛も多いです。男女間恋愛もあります。
その描写ももちろんですが、更にキャラクターたちが織り成す疑似家族的な関係であったり、友情であったり、そういった描写が大変良かったです。スーパーガールとスターガールの関係性には泣けました。
「自分のストーリーは自分で作る」
「どこに属するかは自分で決める」
というメッセージが高らかに、様々なキャラクターから繰り返し発せられるのも良かったです。
強いて言うなら、長い&筆者のようなアメコミ初心者が読むと知らないキャラクターが一杯出てくるので、新しいキャラクターが出てくるたびにスマホでとりあえず基本的な設定や性格を調べてからでないと読み進められないという問題があるのですが。それと、このシリーズのザターナとコンスタンティンは、ちょっと毒気が足りない気がします。諸々の人間関係上、やむを得ないのですが。
強い女性ヒーロー好きにはお勧めの作品だと思います。日本語訳がないのが惜しいです。
以下、ネタバレ込みの感想です。
主要登場キャラクターの大半が女性なので、女性間恋愛も多いです。男女間恋愛もあります。
その描写ももちろんですが、更にキャラクターたちが織り成す疑似家族的な関係であったり、友情であったり、そういった描写が大変良かったです。スーパーガールとスターガールの関係性には泣けました。
「自分のストーリーは自分で作る」
「どこに属するかは自分で決める」
というメッセージが高らかに、様々なキャラクターから繰り返し発せられるのも良かったです。
強いて言うなら、長い&筆者のようなアメコミ初心者が読むと知らないキャラクターが一杯出てくるので、新しいキャラクターが出てくるたびにスマホでとりあえず基本的な設定や性格を調べてからでないと読み進められないという問題があるのですが。それと、このシリーズのザターナとコンスタンティンは、ちょっと毒気が足りない気がします。諸々の人間関係上、やむを得ないのですが。
強い女性ヒーロー好きにはお勧めの作品だと思います。日本語訳がないのが惜しいです。
以下、ネタバレ込みの感想です。
***ここからネタバレ***
上にも書きましたが、このシリーズは人間関係の描写がとても素晴らしいので筆者が好きな二人組と好きなポイントを並べていきます。ネタバレもあります。
その後数年たって再会した時の会話はまず、
から始まります。さらに会話は、
と続きます(すべて筆者なりの訳)。……数年ぶりの再会で最初の会話なんですからもっと穏当な世間話から始められないものなんでしょうか。二人とも強気で、似た者同士なんでしょうね。
二人は共闘していく中で信頼関係を取り戻し、最終的には共にスペインに戻って一緒に戦うという決断をします。とはいっても、恋人としてよりを戻すことはないんだろうなと思わせます。
その中でレイブンが小さな字で(=小さな声で)言っているのが、
です。この初々しさの描写が非常にいいです。大人の中で育った子供という雰囲気もありますね。ロイスが社会人だからか、お姉さん感があってとても良いです。レイブンが今後も多くの人と関係を築けていけそうな、そんな安心感を抱かせる二人組だと思います。
行き違いがあったり、ザターナがレイブンのことを探し回ったりといい関係です。が、もっと描写してほしい! と思わせる関係でした。ザターナ大好きなので偏った判断になっているのは否めませんが。疑似親子としての感情の交流をもうちょっと……! とはいえ、各キャラクターについてそんな風にしているとただでさえ長い話がますます長くなってしまうというのも分かります。
もう一つ、コンスタンティンが善良なお父さんになってしまっているのもどうかなあ、とは思います。レイブンの疑似的な父親なのであまり非道なことをされても困るのですが、あんたそんな善良なだけの人じゃないだろう! と、読んでいて思います。とはいっても、コンスタンティン周りのエピソードを付けると長い話がますます長く(以下略)。
総じて、読んでいてとても面白い話だったので切実に日本語訳が出てほしいです。続編にあたるBombshells: Unitedも読みたいなと思っています。
※この記事は前のブログに載せていたものを大幅に加筆・修正したものです。
上にも書きましたが、このシリーズは人間関係の描写がとても素晴らしいので筆者が好きな二人組と好きなポイントを並べていきます。ネタバレもあります。
【Wonder Woman (Diana) & Aquawoman (Mera)】
この話でのメラは、アトランティスの王女という設定になっています。セミッシラ島のアマゾン族のワンダーウーマンとは幼馴染の親友同士という設定です。シリーズ序盤、この二人の仲良さそうな様子にはほのぼのとした気持ちになることができます。話が進むにつれて二人が一緒にいることが少なくなる(喧嘩したわけではなく、物語の流れでそうなる)のですが、しばらく会わなくても再会したらまたすぐ楽しいひと時を過ごせるんだろうなと思わせる二人です。【Supergirl (Kara Starikov) & Stargirl (Kortni Duginovna)】
上でも書きましたが、この二人の関係はとてもいいです。スーパーガールはスーパーマン同様クリプトン星出身で、それゆえにスーパーパワーを持っています。一方のスターガールは人間ですが、スターロッドというアイテムによりスーパーパワーを得ています。二人は姉妹として育ち、お互いにお互いを大事に思っていますが、同時に互いにコンプレックスと憧れも抱いています。この二人それぞれの気持ちは丁寧に描写され、その分、この二人が物語の中盤で迎える大きな出来事は衝撃的な印象を与えます。このエピソードがこのシリーズの核になっていると思いますし、このエピソードがなければこのシリーズは全く別の話になっていたのではないかと思います。【Batwoman (Kate Kane) & Renee Montoya 】
1巻が始まって早々にバットウーマンには女性の恋人がいることが明らかになります。彼女との関係もいいのですが、印象が強いのは元・恋人であるレニーとの関係です。二人は1936年~のスペイン内戦を共に戦いますが、色々あって別れます。その後数年たって再会した時の会話はまず、
「レニー」
「ハッ、キスでもするつもり?」
から始まります。さらに会話は、
「私は……もう他の人がいるから」
「私があなたに片思いしているとでも思っているの、ケイト・ケイン? あなたには恋人がいる。私にもいるわ」
と続きます(すべて筆者なりの訳)。……数年ぶりの再会で最初の会話なんですからもっと穏当な世間話から始められないものなんでしょうか。二人とも強気で、似た者同士なんでしょうね。
二人は共闘していく中で信頼関係を取り戻し、最終的には共にスペインに戻って一緒に戦うという決断をします。とはいっても、恋人としてよりを戻すことはないんだろうなと思わせます。
【Raven (Rachel Roth) & Lois Lane】
この二人の絡みはほとんどないのですが、印象が強いものでした。父が悪魔、母が人間という複雑な出自を持つレイブンは、その出自ゆえに人間関係には恵まれない人生を送ってきていました。物語の中でレイブンは一人旅立ち、その過程で出会った人たちと関係を作っていきます。ロイスにもその中で出会い、少し落ち着いたタイミングで二人は会話を交わします。その中でレイブンが小さな字で(=小さな声で)言っているのが、
「ごめん、ロイス、私ちゃんとできてる? 若い人ってこんな風に話すの? 私友達いたことないから……」
です。この初々しさの描写が非常にいいです。大人の中で育った子供という雰囲気もありますね。ロイスが社会人だからか、お姉さん感があってとても良いです。レイブンが今後も多くの人と関係を築けていけそうな、そんな安心感を抱かせる二人組だと思います。
【Raven (Rachel Roth) & Zatanna Zatara】
管理人が大好きなザターナとレイブンです。父が悪魔なのでレイブンは魔法が使えるのですが、その制御の仕方を分かっていないので、ザターナとコンスタンティンがレイブンに魔法を教えます。その過程でレイブンは二人のことを両親のように慕うようになります。行き違いがあったり、ザターナがレイブンのことを探し回ったりといい関係です。が、もっと描写してほしい! と思わせる関係でした。ザターナ大好きなので偏った判断になっているのは否めませんが。疑似親子としての感情の交流をもうちょっと……! とはいえ、各キャラクターについてそんな風にしているとただでさえ長い話がますます長くなってしまうというのも分かります。
もう一つ、コンスタンティンが善良なお父さんになってしまっているのもどうかなあ、とは思います。レイブンの疑似的な父親なのであまり非道なことをされても困るのですが、あんたそんな善良なだけの人じゃないだろう! と、読んでいて思います。とはいっても、コンスタンティン周りのエピソードを付けると長い話がますます長く(以下略)。
総じて、読んでいてとても面白い話だったので切実に日本語訳が出てほしいです。続編にあたるBombshells: Unitedも読みたいなと思っています。
※この記事は前のブログに載せていたものを大幅に加筆・修正したものです。