2021年2月14日日曜日

キャラクター紹介:ドナ・トロイ(ワンダーガール)

  ドナ・トロイはTeen TitansやTitansなどの若手チームで活躍するヒーローの一人です。登場初期はWonder Girl (ワンダーガール)と名乗っていた時期もありました。おおむねWonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)と縁の深いヒーローの一人です。

 他のヒーローたちと比較して、とにかくオリジン(ヒーローの出生や、ヒーローになったきっかけの設定)がたくさんあるというのが特徴です。

 

 DCコミックス社の作品は、2011年と2016年に大規模な設定の更新があったために

 ・New52期以前 (2011年以前)
 ・New52期 (2011-2016年頃)
 ・Rebirth期 (2016年以降)

 に大きく分かれます。またここでは略しますが、New52期以前も大規模な事件により設定が変わったことがあるようです。

 

 こうした、DCコミックス界全体を揺るがす大事件によりオリジンが変わることはよくあることですが、ドナの場合こうした大事件とは関わりのないところでもオリジンの変更が起きています。以下でオリジンについても簡単にまとめますが、実際にドナ・トロイが登場するコミックを読む場合には「この作品はどんなオリジンの時期だったかな?」とは深く考えず、「ワンダーウーマンと関係の深いヒーローだよね」というくらいのスタンスで読み始めるのをおすすめします。コミックが書かれた当時のオリジンが物語に深く関わってくる場合、作中でそれなりに説明があるはずです。


【本名】

Donna Troy (ドナ・トロイ)

最近はもっぱらドナ・トロイという名前のままヒーローとして活躍しているが、かつてはWonder Girl (ワンダーガール)、Darkstar、Troiaなどの名前を名乗っていた。



【オリジンいろいろ】

※リンクはこのブログ内の感想ページです。

・火事から助けられた赤ちゃん

 Teen Titans (1966-1978) #22 で語られたオリジン。

 アメリカに来ていたワンダーウーマン(ダイアナ)が火事になっていたアパートから女の子の赤ちゃんを救出したもののその子の身元も両親の行方も分からなかった。そのため困った末にアマゾン族の故郷セミッシラ島に連れて帰り母である女王ヒッポリタに預けたのだが、その子がドナ・トロイというもの。普通の人間の子であるためアマゾン族の戦士としての訓練についていくのは大変だったが、アマゾン族の不思議な技術の力を借りて体質を変え、ダイアナと同じような力を使えるようになる。若手ヒーローチームTeen Titansの創設メンバーとなり、ヒーローとして活躍するようになる。 

・Titansに育てられた子

 The New Titans (1984-1996) #50-#54 で語られたオリジン。

 古代ギリシアの神々であるTitans (ティターン族)が自らの後継者を育てるため、様々な星から命の危機に瀕していた赤ちゃんたちを集めた。その一人が、火事になったアパートで泣いていたドナ・トロイだった。子供たちはティターン族のもとで伸び伸びと育ち不思議な力を得たが、ある時点でティターン族たちは「人間のことをよく知るように」と子供たちの記憶を消し、それぞれの故郷の星へと帰す。ドナは第一のオリジンの記憶を与えられ、若手ヒーローチームTeen Titansの一員として活躍するようになった。ティターン族が危機に陥りドナに真実を告げたことから真相を知るが、事態が解決したのち神々はドナに故郷である地球に戻り友達や家族と共にいるよう促した。地球に帰還したのち、ドナはTroiaという新しいヒーロー名を名乗るようになる。

・ダイアナの鏡像

 Wonder Woman by John Byrne Vol. 3 で語られたオリジン。アマゾン族の故郷セミッシラ島で唯一の子供だったダイアナに友達をつくるため、アマゾン族の魔術師が鏡に映ったダイアナの像に生命を与えたのがドナ・トロイであるというもの。しばらくは仲良く過ごしていた二人だったが、ヒッポリタ女王に恨みを抱くDark Angelが復讐のため女王の娘であるダイアナを酷い目に遭わせようと間違って影の方を誘拐するという事件が起きた。Dark Angelは間違いに気づかないまま、鏡像に不幸な人生を体験させては生き返らせ何度も何度も不幸のどん底に叩き落した。いくつのもの人生の内、比較的良い人生でワンダーガールとして活動するようになったのだが、そこにも様々な不幸が襲い掛かる。そのことを知ったダイアナによりDark Angelは倒され、ドナは安定した人生を送れるようになった。

 ヒッポリタ女王の養女となり、ダイアナの妹となる。

 しかし、ドナは後に戦いの中で死ぬ。その魂はTitans of Myth (ティターン族のこと)に救われTroiaという新しい名前を与えられた――ということがDC Special: The Return of Donna Troyで描かれている。

 

・第3のオリジンのマイナーチェンジ

 Wonder Woman (2006-2011): Annual #1 で語られたオリジン。ダイアナの双子として生命を与えられた鏡像だったが、Dark Angelに誘拐され仮死状態に陥る。その後ダイアナに救出され、アマゾン族とTitans of Mythに育てられる。そしてダイアナを追って人間界に向かい、ヒーローとして活躍するようになる。

・ダイアナを倒すための存在

 New52期Wonder Woman Vol. 7 で語られたオリジン。New52期からワンダーウーマン(ダイアナ)の設定は「女王ヒッポリタが土塊から作り上げたものに神が魔法の力で生命を与えた」というものから「女王ヒッポリタとギリシア神話の大神ゼウスの娘」に変化した。一方でドナの設定は、「ダイアナをヒッポリタの娘とは認めないアマゾン族の魔術師が土塊から作り上げた、ダイアナを倒すための存在」へと変化している。ダイアナに戦いを挑むが敗れ、その後はヒーローとして活動するようになる。


【スタイル】

 ワンダーガール時代は赤いコスチュームに星のマークがトレードマークだったが、最近の作品では黒いコスチュームを身に纏っていることが多い(下図)。

 

Titans (2016-) Vol. 4 より、Donna Troy (手前). 奥はArsenal (Roy Harper). (Writer: Dan Abnett, Artists: Andrew Hennessy, Paul Pelletier, Minkyu Jung, Cover by: Andrew Hennessy, Paul Pelletierm. DC Comics)


【能力】

アマゾン族やギリシアの神由来の力を使うことができ、空を飛ぶ、怪力を操るなどの能力がある。剣を使って戦うことも多い。


【家族・親戚関係】

※時期により異なるため、代表的なものをあげている。

Diana:

ヒーロー、ワンダーウーマンである。アマゾン族の女王ヒッポリタの娘。オリジンによってはドナの姉である。おおむねどの時期でも、ドナが尊敬する対象として描かれている。

Hippolyta:

アマゾン族の女王。オリジンによってはドナを養女として迎え入れている。

Terry Long:

大学教授。1980年代-1990年代までのドナの結婚相手だった。幸せな結婚生活を送っていたが、後に離婚。自動車事故により死亡する。

Jeniffer Long, Robert Long:

JenifferはTerry Longとの先妻との間の子。RobertはドナとTerry Longの間の子である。Terryとドナが離婚したのちはTerryに引き取られた。自動車事故により死亡する。


【恋人・友人関係】

Teen TitansやTitansでのチームメイトとは基本的に友人である。

Roy Harper:

ヒーロー、Arsenalとして活躍する。かつてはヒーローGreen Arrowの指導を受けており、弓を使った戦いが得意。ドナとは恋人として描かれることが多い。

Dick Grayson:

かつてはバットマンの相棒Robinとして活動し、後に独り立ちしてNightwingという名前で活動するようになる。ドナと同様、Teen Titansの創設メンバーであり、ドナとは付き合いも長く、信頼関係も深い。

Cassie Sandsmark:

ドナの次にワンダーガールとなった。New52期以前にはドナを慕い、憧れている姿が描かれていた。New52期以降はほぼ関係がなくなってしまっているようだったが、Rebirth期終盤に関係性が復活し、2021年~のInfinite Frontier期では昔のような信頼関係が描かれている。


【主な登場作品】

 ドナ・トロイが登場する作品はたくさんありますが、筆者が読んだ中で主な登場作品を簡単にまとめます。なお、各タイトルからリンクを張っている場合、リンク先はこのブログ内の感想ページです。

 

1965年 The Brave and the Bold #60に初登場。→ Wonder Girl: Adventures of a Teen Titan  収録

以降、Teen Titansのメンバーとして活動を続ける。

1969年 Teen Titans #22  ()で最初のオリジンが語られる。

2003年 Titans/Young Justice: Graduation Dayにおいて死亡する。→ The Outsiders by Judd Winick Book One  収録

2005年 DC Special: The Return of Donna Troy  において蘇る。

2006年 Wonder Woman誌において、ダイアナ不在の時期にWonder Womanとして活躍する姿が描かれる。

2011年 DC世界の大規模リランチ。以後、New52という世界観で物語が語られるようになる。

2015年 Wonder Woman誌 にNew52期開始以来初めてドナが登場。新しいオリジンが語られる。

2016年 DC世界の大規模リランチ。以後、Rebirthという世界観で物語が語られるようになる。

2016年 Titans誌 で、Rebirth世界のTitansに加入して活躍するドナの姿が描かれる。


【何を読めばいいの?】

 ドナが参加している若手ヒーローチームTitansはドラマ化されているようです。日本語でも観られるようになっているようですので、日本語でドナの活躍を見たい方はそちらを観てみる方法があります。

 コミックの方では、邦訳が出版されているものでドナが活躍している作品はあまりないように思います。原書で読むなら以下の作品がお勧めです。

 

"Titans (2016-2019)" Vol. 1- Vol. 6   

Rebirth期のTitans誌。Vol. 2以降、話の中心にドナがいることが多いです。この時期のオリジンについても作中で説明が入ります。


Wonder Woman by John Byrne Vol. 3 

お話自体はVol. 1から続いているのでVol. 1から読んだ方がいいのですが、ドナが活躍するのは主にVol. 3です。後輩ワンダーガールとなるキャシー・サンズマークたちと協力しながらダイアナを助けるドナの姿が見られます。


 この記事からリンクを張っている記事以外にも、ドナの登場作品の感想を書いています。Donna Troyのラベルがついている作品をご覧ください。