2020年2月16日日曜日

DC Special: The Return of Donna Troy #1-#4 感想

 初代Wonder Girlとして活動した、アマゾン族の力を使って戦うヒーローDonna Troy(ドナ・トロイ)のオリジン(ヒーローの生い立ちやヒーローになる経緯の設定)について描かれているということで、DC Special: The Return of Donna Troyという作品を読んでみました。ここで語られている設定はかなり壮大なものでした。


【基本情報】
Writer: Phil Jimenez, Chuck Kim
Penciller: Jose Luis Garcia-Lopez
Inker: George Perez
Colorists: Martin Breccia, Lee Loughridge
Cover by: Phil Jimenez
発行年 2005年

公式サイトはこちら。


前提として、このエピソードの少し前でドナ・トロイは死んでいるようです。彼女と一緒にTitansというチームを組んで活動していた仲間たちは、彼女の死を嘆いています。

しかし彼女の魂はTitans of Mythに救い上げられ、Troiaというあたらしい人格を与えられていたのだった――というところから物語は始まります。

Titans of Mythとは、直訳すると「神話の巨人たち」ということになりますが、ギリシア神話でいうところのティーターン族です。天空神ウーラノスと大地の神ガイアの子供たちです。

……簡単に説明しますと、ギリシア神話で有名な大神ゼウスの祖父が、天空神ウーラノスです。彼はガイアとの間にたくさんの子供たちをもうけ、その子供たちはティーターン族と呼ばれます。
子供たちの中の一人がゼウスの父にあたるクロノスで、クロノスは父ウーラノスを追い落としガイアとの間に子供をもうけました。
クロノスの子供たちの中の一人がゼウスで、彼もまた父を追放しオリュンポスの主神となりました。

したがって、ウーラノスとガイアの子のティーターン族はゼウスのおじさんやおばさんにあたる神々です。ギリシア神話の世界では、ゼウスが主神の地位についたのちティーターン族との戦いが起こり、最終的にゼウスたちが勝利しティーターン族はタルタロスと呼ばれる地獄へと落とされたことになっています。

この作品では、ゼウスに敗れた後逃げ出したティーターン族 (Titans of Myth) が新天地を求めていた、という設定です。
そして彼らが別の世界に逃げるためにはある惑星を侵略することと、Troia(ドナ・トロイ)の力がどうしても必要だったということになっています。


さて、この作品で語られる「ドナ・トロイとは何者か?」という問題ですが。


  • Earth-1, Earth-2……といった様々な世界で、ドナ・トロイという人物はいろいろな生い立ちでそれぞれの人生を送っていた(こちらで感想を書いた、ドナ・トロイのオリジナル設定はEarth-1のドナ・トロイなのだそうです)。
  • しかしCrisisが起きたことで各世界の間の壁が壊れ、様々な世界の記憶を持つ一人のドナ・トロイが誕生した。
  • 様々な記憶を持つドナ・トロイがこの作品の時点でのドナ・トロイ。


ということらしいです。さらにこの作品で、「Titans of Mythにより育てられたTroia」というアイデンティティも持つことになります。

……うむ。ややこしいですね。しかし、これまでに出てきたドナ・トロイの諸々の設定を統合してどうにかしようという意欲は大変感じます。

こうした設定部分とは別に、この作品の見どころはWonder Woman(ワンダーウーマン、ダイアナ)とドナ・トロイや、この時点でのWonder GirlであるCassie Sandsmark(キャシー・サンズマーク)とドナ・トロイの間の絆が描かれているところです。
常々、「バットファミリーと比べてワンダーウーマンとワンダーガール達の関係を描いたエピソードが少ない」と思っていたのですがやっと少し読めました。