※Wonder Woman (1987-2006)の各シリーズの感想はこちらをご覧ください。
Cheetah (チーター)といえば、Wonder Womanの悪役として知られています。……が、筆者の場合チーターの登場する話を最初に読んだのがGreg Rucka氏のRebirth期Wonder Woman (感想はこちら)だったことで「チーター = 可哀想な人」という図式が頭の中にできあがってしまい、悪役というのが今一つピンときていませんでした。ということをTwitterで呟いていたところ、フォロワーさんからGeorge Perezの描いたチーター登場譚をおすすめしてもらったので読んでみました。
Written by: George Perez, Len Wein
Pencils: George Perez
Inks: Bruce Patterson
Cover by: George Perez
発行年 1987年
この#7-#9単体では、現時点 (2021年9月 ※Comixologyが閉鎖される予定であることが発表されたためリンク貼り直し作業中)で公式サイトにもAmazonにも見当たりません。一連のエピソードはこちらのWonder Woman by George Perez Vol. 1に収録されています。
#6までの戦神アレスとの戦いで死の淵にあったWonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)だったが、ギリシアの神々たちは彼女を助けることを決断する。蘇ったダイアナは再び人の世界に戻ることを決めるが、母である女王ヒッポリタはいい顔をしないのだった。
母を説得してアメリカに戻ったダイアナは、Promotionを手掛ける会社の社長と契約して有名になっていく。考古学者のBarbara Minerva (バーバラ・ミネルバ)は真実の投げ縄の存在を知り、投げ縄を手に入れるため策を弄してダイアナに近づこうとするのだったが――というのがあらすじです。
この作品でのバーバラ・ミネルバはダイアナとは関係なく植物の神様との儀式によってCheetahという猛獣の力を得た存在に変身できるようになっていました。というわけで、様々な事情に翻弄された結果Cheetahになるという選択をしてしまったRebirth期Wonder Woman誌と比べて、ストレートに悪役として描かれていました。
なるほど、もともとこういうイメージのキャラクターだったのなら悪役として扱われているのも納得です。むしろGreg Ruckaがチーターに「可哀想な人」というイメージを与えてきた理由が気になります。Rebirth期でのRuckaのWonder Woman誌は、神以外の悪役は大体可哀想な人でしたが、神々に翻弄される人間たちという構図をどこまでも強調したかったのか何なのか……。
お話としては、今後の展開のための伏線がちりばめられているワクワク感に満ちたエピソードになっていました。ギリシアの神々のダイアナへの気持ちも、神々それぞれによって違っていそうでそれがまた今後の混乱を産みそうですし。今回のエピソードでダイアナのよき友人であったKapatelis母娘も今後大きく動きそうな気もしますし、今回撃退されたチーターもそうそう諦めはしないのでしょうし……、と、物語の始まりという印象の強いエピソードでした。