2021年2月13日土曜日

The New Titans (1984-1996) #55 感想

  先日感想を書いたThe New Titans (1984-1996) #50-#54 (感想はこちら)はDonna Troy (ドナ・トロイ)の生まれにスポットライトを当てていました。そして続く#55は表紙の通り自分の過去を知ったドナが新しいヒーローとして華々しい第一歩を歩む話……と思いきや、印象に残るのはかつてBatman (バットマン、ブルース・ウェイン)の相棒RobinだったDick Grayson (ディック・グレイソン)、それにディックの後を継いでロビンになったJason Todd (ジェイソン・トッド)でした。

 

【基本情報】
Written by: Marv Wolfman
Pencils: George Perez
Inks: Romeo Tanghal
Colored by: Adrienne Roy
Cover by: George Perez
発行年 1989年

筆者はComixologyで購入したのですが、Amazonに見当たりません。

こちらが表紙です。これを見たら誰でも、ニューヒーローTroiaがメインのお話だと思いますよねえ。



 前回までの長い異星への旅から戻った若手ヒーローチームTitansのメンバーが次なる戦いに向けてそれぞれ仕切り直しをするというお話になっています。そのため、この作品では戦いはありません。前回までの激しい戦いの結果傷ついた身体を治したり、家族と再会したり――という場面が描かれます。

 

 もちろんドナ・トロイは前回の戦いの中で出会ったティターン族の神々から贈られた力をもとに、今後はニューヒーロー、Troia (トロイア)として活動していくということが描かれています。今まで長かった髪をばっさりショートカットにするシーンでのStarfire (スターファイヤー、コリアンダー)との会話が普通の女性同士の会話のようで良かったです。

 

 さて、そんなメンバーたちの中にあって一番深刻だったのがディックでした。Titansメンバーが異世界に行っている間、地球ではディックの後継ロビンになっていたジェイソンが殺されるという事件が起きていました。自体を知り、ブルースの元を訪れるディック。ブルースも当然ジェイソンを失ったことにショックを受けていて、やって来たディックを責めます。

 大切なものを失ったときに、怒りの感情が沸いてしまうのはごく自然なことです。また、思い返せば「ああすれば良かった」「こうすれば良かった」と後悔するポイントが出てくるのも自然です。後から考えれば悲劇を避けられたかもしれないポイントはいくつも見えてしまいます。

 とはいえ、その結果ついついお互いを責めてしまうという二人の姿が悲しく見える一作でした。