2019年10月6日日曜日

Raven: Daughter of Darkness (2018-2019) Vol. 1-2 感想

 悪魔Trigonの娘であり、DCの魔法ユーザーの一員として、またTeen Titansのメンバーとしても活躍するというレイブン (Raven, Rachel Roth)を主役にしたシリーズが出ているので、読んでみました。
 このシリーズ、Vol. 2からはザターナの従弟のZachary Zatara(ザッカリー・ザターラ)君も出てきます。

【基本情報】
Writer: Marv Wolfman
Artist: Pop Mhan
Cover by: Yanick Paquette, Philip Tan
発行年 2018-2019年

公式サイトはこちら (Vol. 1)。



 レイブンは悪魔の父と人間の母 (Angela)の間に生まれましたが、Angelaと共にカルト教団(?)の中で育ったらしく、人間の世界のことをよく知らないので母の姉妹(レイブンからするとおばさんですね)の家にやってきてそこの家族と一緒に住むようになっています。また高校にも通っているらしく、友達もできているようです。
 そこで大きな事件が起き、不思議な力を持つ仲間と共に奮闘する――という展開なのですが。
 
 戦いの行方よりも、レイブンが普通の人間の家族や人間の友達と馴染んでいけるのか、そちらの方がはらはらする物語でした。レイブンは人の感情や記憶を操作できるようなのですが、おばさん一家の記憶を操作してうっかり自分のことを全部忘れさせてしまうということもあるものだから読んでいてとても心配になります。
 
 人間と悪魔の子というレイブンの設定自体はファンタジーなのですけれども、「社会から隔絶された場所で育てられたために社会のことが良く分からず、それを取り戻すために必死な高校生(でもいろいろな事件が起きてなかなか普通の生活を営めない)」と思って読むととても現実的、かつ重い話として読むことができます。

 レイブンの母アンジェラについても、親兄弟と仲が悪く家出をしていたらたまたま出会った男がとんでもなかった(=文字通りの悪魔だった)という話になっています。悪魔はともかく、出会った男がとんでもなかったというところまではいかにもありそうな話です。ファンタジーに現実感をもたせる設定が絶妙だなと思いました。
 
 おばさん一家が本当に良い人たちなので、重くなりがちな話に光を当ててくれます。
 
 
 なお、この話でのザッカリー君はあまり格好良くありません。どちらかというとギャグ要員として登場している気がします。マジシャンの舞台衣装ということでタキシードを着ていることもあって、「能力はあるけど要領の悪いお坊ちゃん」という雰囲気のキャラクターになっています。"Zatanna"誌(感想はこちら)に登場した格好いいザッカリー君はどこへ。