2019年8月10日土曜日

Justice League of America (1960-1987) #75感想 -ダイナ・ランス初登場?-

※Justice League of America (1960-1987)の各話感想は以下をご覧ください。

 Black Canary (ブラックキャナリー、ダイナ・ランス)は海外ファンサイト等によると1969年のJustice League of America #75で初登場したことになっています。電子書籍で購入できるので、購入して読んでみました。
(※2021/10/10追記 Comixologyからは電子書籍で購入できるのですが、現時点でAmazonからは発売していないようです。)
 
【基本情報】
Writer: Dennis O'Neil
Penciller: Dick Dillin
Inker: Joe Giella
Cover by: Carmine Infantino
発行年 1969年

表紙はこんな感じです。ブラックキャナリー、こういうキャラクターではないのですがなぜこんな表紙になっているのかは謎です。




 別世界であるアース2での活躍から、Black CanaryはJustice League of Americaへの加入を希望するがホークマンはそれに難色を示す。そんな中、突然ブラックキャナリーの特殊能力、キャナリークライが目覚めるのだった。一方そのころ、ヒーローたちが秘めていた邪悪な心が外に漏れだして悪事を働き始める。ヒーローたちは邪悪な自分自身に立ち向かわなければならないのだったが――というのがあらすじです。
 
 一読して分かるのですが、ブラックキャナリーは全く初登場のキャラクターとしては描かれていません。みなさんおなじみの、あのブラックキャナリーですよという雰囲気で登場します。

 これにはかなり複雑な事情があるようです。
 ファンサイトの情報によると、ブラックキャナリーというキャラクターは1947年に初登場しています。この初代ブラックキャナリーの娘が、この本で登場するブラックキャナリーになります。
 しかしもともと娘という設定ではなく、初代ブラックキャナリーが再登場――という設定だったようです。ところが後にチームメンバーのGreen Arrowとのロマンスを描くにあたって初代ブラックキャナリ―では年齢差がありすぎるということから、
 「実はこのブラックキャナリーは初代ブラックキャナリーの記憶をすべて受け継いだ娘だったのだ」という設定にしたらしいです。
 
 というわけで、1969年にこのJustice League of Americaを読んだ読者は、初代のブラックキャナリーのことだと思って読んでいたと思われます。読んでいても本当に「良く分からないけどこのブラックキャナリーというキャラクターは何かの作品に出ていたんだな、きっと」としか思えません。
 
 お話としては、邪悪な自分自身にヒーローたちを立ち向かわせるためスーパーマンが一芝居打つ、という展開が面白かったです。スーパーマンの邪悪な自分はなぜか出現しないのですが(スーパーマンには邪悪な心がない?)邪悪な自分のことを攻撃できるのは本人だけらしく、どうしたって本人たちに戦わせなければならない――ということでスーパーマンが小芝居をします。意外と器用なんですねスーパーマン。
 
 なお、上でも書いたように表紙のイメージからするとブラックキャナリーが他のヒーローたちを足蹴にしているように見えますが、中のストーリーではそんなことはありません。誰だこんな表紙デザインに決定したのは。