2019年7月28日日曜日

Justice League Dark (2018-) #8-#13 感想

※このシリーズの各話感想はこちらをご覧ください。

Justice League Dark (2018-)では、これまでのところ原初の魔法の使い手であるOtherkindsが人間の世界に入り込み、魔法を壊す姿が描かれています。魔法を正常な状態に戻すために奮闘しているのがWonder Woman(ワンダーウーマン)、Zatanna(ザターナ)、Detective Chimp(ディテクティブチンプ)、Man-bat (マンバット)、Swamp Thing (スワンプシング)を中心メンバーとするJustice League Darkです。このほかに、ザターナの元恋人で魔術師のConstantine (コンスタンティン)らもちょくちょく協力しています。

そんな状況ですが、そもそもOtherkindsをこの世界に招き入れたのはDCコミックスの世界でも高い魔力を誇ることで知られるDr. Fateでした。
なぜDr. Fateはそんなことをしたのか? そして、彼の行為を止めることはできるのか? というDr. Fateとの戦いを描いたのが#8-#13の一連のエピソードになります。

【基本情報】
Writer: James T Tynion IV
Artists: Raúl Fernández, Alvaro Martinez, Daniel Sampere, Mark Buckingham
Cover by: Raúl Fernández, Alvaro Martinez, Yanick Paquette, Viktor Bogdanovic
発行年 2019年

公式サイトはこちら (#8)。

そもそもJustice League Darkのこのシリーズは、Justice League: No Justice (感想はこちら)のエピソードを引き継いでいます(※ No Justiceを読んでいなくてもJutice League Darkは楽しめます)。No Justiceで起きた出来事がきっかけになって、Otherkindsがこちらの世界に入り込んできたことになっています。では、No Justiceではワンダーウーマンやザターナと協力して事態に対応したはずのDr. Fateが、なぜOtherkindsをこちらの世界に招き入れるようなことをしたのか――というのが、#8-#13で描かれる大きなエピソードの一つです。

また、この#8-#13ではザターナファンにとってとても重要な、ザターナと父ザターラ、コンスタンティンの三人の関係が描かれます。こちらも必見です。

以下、ネタバレを含む感想です。#13のラストまでネタバレしています。

***ここからネタバレ***
 

Dr. Fateの行動について

No Justiceの戦いに参加したDr. Fateは、「Otherkindsは止められないので敢えてこちらの世界に引き込み、魔法を使う存在を含めすべての魔法を食らいつくさせ、餓死したところでDr. Fateの仲間たち (Lords of Order)が再び魔法の秩序を作る」というつもりで行動していたようです。そのため積極的にOtherkindsをこちらの世界に引き入れました。
しかし傍迷惑な作戦ですね。作戦に反対する魔法の使い手たちを次々に倒していくLords of Orderの姿には恐怖を感じます。一方、マンバットがかつて壺の中から助け出したDr. Fateの甥と、ザターナとワンダーウーマンが見つけ出したMordruがキーパーソンとなって、Judtice League DarkはDr. Fate率いるLords of Orderの撃退に成功します。
とはいっても、Lords of Orderの存在自体は必要らしく、これからひと悶着起きることが予想されます。


なお、このJustice League Dark (2018-)ではずっと「魔法を使うとOtherindsがこの世界に来てしまうから」という理由で魔法を使っていなかったザターナですが、魔法を使い始めました。これは事態が良くなったからではなく、「すでにOtherkinds はこの世界に入り込んでいるから」という理由です。Justice League Darkチームは勝利を重ねているはずなのですが、着実に追い詰められている気がしますね。


ザターナと父ザターラ、コンスタンティンの関係について

Dr. Fateの対策に追われる中で、ザターナは自分の行動が誰かに操られているように感じるようになります。操っているのはコンスタンティンであり、更には死んだはずの父ザターラである――という衝撃の事実が明らかになります。

ザターナの父、John Zatara (ジョン・ザターラ)は強力な魔術師であり、ザターナに魔法の使い方を教えた人でもあります。かつて、コンスタンティンが原始の闇を食い止めるためにスワンプシングをサポートする――という理由でザターラの助けを求めた時、ザターラは断りました。しかしザターナがコンスタンティンに協力すると言い始めたので、ザターラは一転その活動に加わります。その中で襲われたザターナをかばってザターラは死んだのでした――というのが、これまで語られていたザターラの死でした。これはSwamp Thing #49-#50 (感想はこちら)で語られています。

この事件はザターナの心にずっと影を落とし、また、コンスタンティンとザターナが大手を振って付き合えない理由ともなっていました。

しかし。

Justice League Dark (2018-)ではこのエピソードの解釈が全く変わり、すべての計画を立てていたのはザターラだったということになっています。コンスタンティンは若い時からザターラに依頼された汚れ仕事をこなしていて、Swamp Thingをサポートする話もその一環。ザターラは娘にはその真実を知らせず、コンスタンティンにもその秘密を守らせたまま死んだことになっています。

ええと。

読者としても、これまで思っていたストーリーが大きく変わってしまったわけで大混乱ですし、ザターナも話の中で大混乱して怒っています。自分だけが本当のことを知らされていなかったのですからそれは当然です。ただ、これはザターナとコンスタンティンが正々堂々とお付き合いする布石になっていくのでは、コンスタンティンのせいでザターナのお父さんが死んだということではなくなったわけだし……と思って読んでいたら、#13のラストでザターナが、父を地獄から助ける、コンスタンティンにもそれに協力してもらうといった後にさらに爆弾発言を。

"AND IF WE SURVIVE... ...I NEVER WANT TO SEE YOU AGAIN."
「もし生きて帰れたら……二度と顔を見たくない」

お、おう。ザターナの怒りは分かりますけれども……! コンスタンティンには確かにこれまでさんざん騙されてきましたけれども……! 今回のことも、ずっと真実を教えてもらえなかったわけですけれど……!
何とか二人にはくっついたり離れたりの関係を続けていってほしいなと、一ファンとしては思うのでした。