【基本情報】
Writers: Jimmy Palmiotti, Amanda Conner
Artists: John Timms, Amanda Conner, Simon Bisley, William Tucci, Joseph Michael Linser, Dave Johnson, Neal Adams, Mauricet
Cover by: Amanda Conner
発行年 2017年
公式サイトはこちら。
いくつかの短編が収録されているのですが、ワンダーウーマンが登場する話、ザターナが登場する話、DC Comics: Bombshellsの世界にタイムスリップする話が面白かったので、以下、各作品の感想を簡単に。ネタバレもしています。
***ここからネタバレ***
ワンダーウーマンと共闘する話
単行本全体の最初に配置されているので、読者に作品全体の方向性を教えてくれる作品でもあります。アメリカで仲間と楽しくやっているハーレイだったが、ひょんなことからロンドンにいるワンダーウーマンを倒そうという陰謀に気づいてしまう。子供のころからワンダーウーマンのファンだったハーレイは、彼女を救うためロンドンに渡るのだった――というのがあらすじです。
まず、子供のころハーレイがワンダーウーマンに憧れていたというのが意外でした。どうしてその憧れを素直に育てることができなかったんだハーレイ! いや、彼女なりに素直に育ててはいるんですが、その結果とんでもないことになっているぞハーレイ! という感想を持ちました。
「ワンダーウーマンが狙われていてピンチだから私がワンダーウーマンの身代わりになろう」というハーレイのアイディア自体は理解できるのですが、どうして本物と服を交換するんだハーレイ! どう考えても体形が違いすぎて無理だろうハーレイ! ……と、読者のツッコミが止まらない展開になります。
ラスト、一応事件を解決してワンダーウーマンおよびイギリスのヒーローたちとパブで飲むハーレイですが、学生の飲み会のようなノリになっているのがご愛敬でした。
ザターナと共闘する話
ザターナと共闘する話では、ぐっとオカルト路線になります。ハーレイの暮らす街で、三人の幽霊たちが安全な住居を探してさまよっていた。たまたま街を訪れていたザターナは、幽霊たちが静かに暮らせるよう、彼らを脅かす悪魔にハーレイと共に迫るのだった――というのがあらすじです。
まず、普通の人に幽霊は見えないのですがザターナとハーレイには見えるという設定になっています。魔法を操り、地獄にも行ったことのあるザターナはまあいいとして。ハーレイは「良く分からないけど見える」ということになっています。もはや何でもありだなハーレイ!
最終的には、幽霊たち三人を苦しめていた悪魔との取引という形で事態は決着します。ザターナは常識的な見地からその取引に反対するのですが、ハーレイは悪魔的なアイディアで悪魔をやりこめます。
この話の冒頭でザターナはハーレイの住む街に来た理由を
「コンスタンティンと一緒のこの前の戦いでかなり力に負担がかかったから、休んでリラックスしないと……」"THE LAST BATTLE ALONGSIDE CONSTANTINE OUT CONSIDERABLE STRAIN ON MY POWERS...I NEED REST AND RELAX... (後略)"
と表現しています。
コンスタンティンというトリックスターと組んで疲れて休みに出かけたら、またハーレイという別種のトリックスターと組む羽目になってしまったとも言えますね。
DC Comics: Bombshellsの世界に行く話
DC Comics: Bombshells (感想はこちら)は、第二次世界大戦を舞台にDC世界の女性ヒーローたちが活躍する姿を描くスピンオフ作品です。本作は、現代に生きるハーレイが第二次世界大戦中にタイムスリップし、Bombshellsの世界でバットウーマン (Batwoman, Kate Kane) やビッグ・バルダ (Bog Barda)らと共にナチスに対抗する作戦を遂行する――という、スピンオフ作品のスピンオフ作品になっています。元々のBombshellsにもハーレイは登場するのでうっかり二人が顔を合わせたらややこしいことになるのでは――と思って読んでいたら、本当に顔を合わせてややこしいことになっていました。
ザターナのファンの筆者としては、この作品にもBombshellsバージョンのザターナが登場してバットウーマンたちと絡んでくれたのがうれしかったです。本家Bombshellsのザターナは魔法チームとの絡みは多かったもののほかの登場人物とはそれほどでも……という感じでしたので、ここで思わぬ形で読めてお得な気持ちになりました。