2019年7月21日日曜日

Batgirl (2011-2016) Vol. 1: The Batgirl of Burnside 感想

※Batgirl (2011-2016)の各巻感想へのリンクはこちら

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。


New52期"Batgirl"誌のVol. 1を読みました。2011年から2016年のNew52期にバットガール誌は、まずGail Simone氏がライターを務めたシリーズが連載されそれがVol. 1~Vol. 5となり(感想はこちら)、その後ライターが Brenden Fletcher氏, Cameron Stewart氏に変更になって連載が続きましたが、その際に単行本のナンバリングをVol. 1に戻したようです。

というわけでNew52期のバットガール誌にはVol. 1が2種類あるということになりますが、表紙を見ると絵柄が全然違うので区別はつけやすいです。

【基本情報】
Writers: Brenden Fletcher, Cameron Stewart
Artist: Babs Tarr
Cover by: Cameron Stewart
発行年 2015年

公式サイトはこちら。


Barbara Gordon (バーバラ・ゴードン、バットガール)はゴッサム市から近郊のBurnsideに引っ越し、そこで大学に通いながら新生活を始めようとする。もちろんバットガールとしてBurnsideの治安も守るつもりだった。しかしパソコンの盗難など様々なアクシデントが彼女を襲い、ついには彼女がバットガールであると誰かに知られているという恐怖に陥ることになるのだった――というのがあらすじです。

Gail Simone氏のシリーズではかなりリアルタッチだった絵柄がぐっと可愛くなりました。お話自体もバーバラの新生活で読みやすくすらすら読めるのですが、気が付けばとても怖い話になっているという大変面白い展開でした。

また、下半身が麻痺していたバーバラが歩けるようになった手術の詳細もここで明らかになります。身体の中にプレートを埋め込んで、脳からの信号が下半身につながるようにしたそうです。この治療のころに出会って友人となったFrankieと、今回のシリーズではルームシェアしています。以前のシリーズでAlysiaとルームシェアしていたころは基本的に二人しかいない家でしたが、今回は友達が良く転がり込んでくる家になっている様子です。

その転がり込んでくる一人がDinah Lance (ダイナ・ランス、Black Canary)です。バーバラ・ゴードンとは親友と言っていい存在ですが、この話の少し前に喧嘩をして会話をしたくない関係になっているそうです……って、前のバットガール誌にそんなエピソードありませんでしたが!? 別の雑誌で語られているのでしょうか。
(※2020/01/02 追記 この二人の喧嘩についてはNew52期Birds of Prey誌 (感想はこちら)で語られていました。)

ダイナ・ランスは持ち物一式を置いていた家が火事で住めなくなってしまったので、仕方なくバーバラのもとに来ました。なお、バーバラはこっそりダイナの家に持ち物を置いていて、その持ち物が原因で出火したようです。それはちょっとひどくないかバーバラ。

ダイナとバーバラはストーリーの中で大げんかしますが、最終的には仲直りします。なお、ダイナはこの本でのエピソードがもとでレコード会社からスカウトされたらしくバンド活動を本格的に始めるようです。たぶんこれが、New52期"Black Canary"誌 (感想はこちら)へと続いていくのでしょうね。

と、このように賑やかなストーリーで楽しめました。以下、ネタバレを含む感想です。最も重要なポイントもネタバレしています。

***ここからネタバレ***
 
賑やかで明るい味付けの下に、深刻な状況が隠れているお話でした。
この巻で戦う最大の敵は、新たなるバットガールと言っていい存在です。バーバラ・ゴードンの過去をすべて知り尽くし、真のバットガールになろうとする何者か――その正体は、バーバラの脳内データがもとになっているのだった――という話でした。

ちらちらと、バーバラのパソコンが盗まれたという話があったり伏線は張ってあるのですが、単なる「新生活が大変だ」というエピソードだと思っていたので真相が明らかになったときはかなり驚きました。

バーバラがもともと分析していたデータが流出したことでの敵の出現、というのも真面目に考えるとかなり深刻な事態だと思います。たとえばバーバラが収集していた様々なヒーローたちのデータが流出すれば大変な事態になるのは想像に難くないわけで……セキュリティの重要性を感じさせるお話です。