2019年7月23日火曜日

Batgirl (2011-2016) Vol. 2: Family Business 感想

※Batgirl (2011-2016)の各巻感想へのリンクはこちら

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。

New52期バットガール誌、Brenden Fletcher, Cameron Stewart両氏の作品の二巻目を読みました。Vol. 1 (感想はこちら)同様、可愛い絵柄で賑やかにBatgirl (バットガール、バーバラ・ゴードン)を中心とした物語が描かれます。

【基本情報】
Writers: Brenden Fletcher, Cameron Stewart
Artist: Babs Tarr
Cover by: Cameron Stewart
発行年 2016年

公式サイトはこちら。



Vol. 1は一連の長いエピソードを描いていましたが、Vol. 2は短編集となっています。収録されているのは、
・新しいバットマンの話
・政府の女性エージェント、Helenaと共に活動する話
・昔のルームメイト、Alysiaの婚約者を助けて二人の結婚式に参加する話

などです。細かく分けていくとさらに、Spoiler(スポイラー、ステファニー・ブラウン)やBatwoman (バットウーマン、ケイト・ケイン)が登場し一緒に戦う話が出てきます。

作品自体のサブタイトル、Family Businessとは新しいバットマンの話でしょうね。どうもバットマンを務めていたブルース・ウェインが何らかの事情で活動できなくなったらしく、新しくバットスーツを着た誰かが登場します。この「誰か」がバーバラ・ゴードンに極めて近い人だったために話がややこしくなります――って、Comixologyのサイトのあらすじにも書いてあるので「誰か」の正体をばらしてしまうと、バーバラのお父さんのゴードン本部長です。

バットマンが活動できなくなったため、ゴッサム市警では新たに開発したバットマンスーツを着て活動する「バットマン」を作り出し、さらにかつてのバットファミリーを排除することでゴッサム市の治安を完全に警察の統制下におこうとしたのでした。
一方、ゴードン本部長自身はバットファミリーたちを好意的に見ていたので、しばらく身を潜めるようバットガールに忠告します。
バットガールのとった行動は――という物語です。

話の流れから言って、ゴードン本部長はバットガールの正体が娘だと知らないはずです。が、このエピソードではかなり長い時間バットガールと対面して話しているので娘だと気が付かないはずがない……と思ってしまいました。父娘、二人そろって「ゴードン本部長はバットガールの正体を知らない」というお約束で動いているようにも見えます。

それはそれとして、Gail Saimone氏のバットガール誌(感想はこちら)で父娘の関係がかなり難しいことになっていたので、このエピソードを読んでほっとしました。


ほかに印象的なエピソードは、Alysiaの結婚式に参加する話です。この時期、Batwing (バットウィング、ルーク・フォックス)と付き合っていたバーバラは彼と一緒に参加するのですが、そこに突然Nightwing (ナイトウィング、ディック・グレイソン)が登場! ディックは死んだと思われていたらしく、大変な衝撃をバーバラにもたらします。
そして、

"YOU ALWAYS REMINDED ME WHERE HOME IS."

「君はいつだって、僕の帰るべき場所を教えてくれるんだ」
とバーバラに告げるディック。前々から薄々思っていましたが、ディック・グレイソンはたまにバーバラにこういうことを言って彼女の心をつかんでおいてしれっと別の女性といい関係になっていたりしますよね……まったく。
バーバラがディックにどう答えるのかが見どころになっています。

以下、ネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ***
 
上記のようなにぎやかなエピソードを交えながら、ずっと進行しているのは「Frankieのバットガールサポートメンバー化」でした。彼女はバーバラの友人で、病院で出会っています。IT企業に勤めていることから様々な流れでVol. 1でバーバラの脳のデータを見ることになり、バットガールの正体を知ってしまいました。

そしてVol. 1, Vol. 2と情報技術を駆使しながら、時には身体も張ってバットガールを助けています。この、「身体を張って」というところが問題です。バーバラは当然、彼女を危険な目に遭わせることを望みませんので彼女には情報分析だけにしてもらおうとします。一方、Frankieはバーバラのために危険をも覚悟している状態です。
現実的に、この巻のバットガールはFrankieのサポートがなければかなり危うい状況だったため完全に彼女のサポートを断るわけにもいきません。恐らくVol. 3にかけて、Frankieの周りが動くのかなと思います。