2020年2月23日日曜日

Wonder Woman by John Byrne Vol. 2 感想

※Wonder Woman (1987-2006)の各シリーズの感想はこちらをご覧ください。

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。

Vol.1に引き続き、John Byrne氏によるWonder Woman誌のVol. 2を読んでみました。Artemis(アルテミス)やDonna Troy(ドナ・トロイ)も登場し始め、にぎやかになってきています。

【基本情報】
Writer: John Byrne
Artist: Various, Dave Cockrum, John Byrne
Cover by: John Byrne
発行年 2018年 (※単行本の発行年。連載されていたのは1996-97年頃)

公式サイトはこちら。


前巻に引き続きGateway Cityを守るWonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)だったが、謎のヒーロー、チャンピオンが現れるなど不思議な事件も起きる。そんな中、ダイアナの体が徐々に石に変化していくという症状が起きるのだった。ダイアナは原因を探るため、悪魔のEtrigan(エトリガン)を体内に持つJason Blood(ジェイソン・ブラッド)に助けを求める。ダイアナに起きた異変は、彼女の務める博物館の同僚であるHelena Sandsmark(ヘレナ・サンズマーク)やその娘のCassandra Sandsmark(カサンドラ・サンズマーク、キャシー・サンズマーク)をも巻き込んでいくのだった――というのがあらすじです。


この本は大きく3つのパートに分かれ、
・Vol. 1からの続きでダイアナがヒーローとして様々な敵と戦うエピソード
・ダイアナの体が石になっていくエピソード
・上記エピソードでダイアナに協力したエトリガンを対峙するためにアルテミスが現れるが、関係者一同がみんな揃って死後の世界に落ちるエピソード

が描かれています。3つ目のエピソードはこの巻では終わらず、Vol. 3へと続いていきます。アルテミスやドナ・トロイが登場するのもこちらのエピソードです。

2つ目のエピソードでダイアナが石になっていく原因を調べる過程で、ダイアナがこれまで経験した様々なエピソードを語るシーンがあります。これが読者にとって大変親切な設計になっています。なにしろ、このJohn Byrne氏のWonder Womanの物語を楽しむ上で必要な基本情報を提示してくれているわけですから。その中で、Wonder Woman by Mike Deodato (感想はこちら)で描かれていたアルテミスとのエピソードがかなり重要なものらしいというのが印象的でした。Vol. 3でどんな風にダイアナとアルテミスの関係が描かれていくのか、期待したいです。

第3エピソードは前述したようにVol. 3に続いていく部分なのですが、おそらくVol. 3でスポットライトが当たると思われるアルテミスやドナ・トロイについての導入になっています。

アルテミス:Wonder Woman by Mike Deodatoで死亡したが、復活したらしく現在は悪魔退治をしているらしい。

ドナ・トロイ:彼女の最初期の設定(感想はこちら)とは違う設定になっている模様。アマゾン族の女王ヒッポリタとは初対面らしい。ダイアナの仲間であることはヒッポリタも知っており、ヒッポリタと共にダイアナを助けるために死後の世界に乗り込んでいく。

Wonder Woman by Mike Deodatoでアルテミスが死ななければならなかったのははっきり言って女王ヒッポリタさんの陰謀のせいなのですが、どうもヒッポリタさんがアルテミスのいる場に来ることでその時のあれこれについても語られるようです。Wonder Woman by Mike Deodato、素晴らしいストーリーでしたが最終盤でのヒッポリタさんの描かれ方についてはやや不満もあったので、この作品でもしかしてアルテミスとヒッポリタさんが対決してくれるかも! という期待が高まります。



そして、この巻はキャシー・サンズマークが着実に(勝手に)Wonder Girl(ワンダーガール)への道を進んでいく話でもあります。
前巻ではダイアナにヘルメスのサンダルを借りるといったやり方でスーパーパワーを発揮し、ダイアナを手伝っていた彼女です。今作ではダイアナといつも一緒にいたため、ギリシア神話の大神であるゼウスの前に行ったり、死後の世界に行ったりすることになってしまっています。
それでもひるむことなく、ゼウスに直接「スーパーパワーを使えるようにしてください」と頼みに行く彼女。ゼウスもこういうストレートなタイプが嫌いではないらしく、結局は彼女の言うとおりにスーパーパワーを授けます。ということで、ダイアナや母の賛同は得られないままにスーパーヒーローへの道を着々と歩んでいく彼女。
Vol. 3ではドナ・トロイの物語も語られるようですので、先代Wonder Girlであるドナとのあれやこれやも描かれるのかなと期待しています。

それにしても、キャシーがいるおかげで話の深刻さがだいぶ軽くなっているのも確かですので、読者としては感謝したいです。