2020年2月22日土曜日

Wonder Woman by John Byrne Vol. 1 感想

※Wonder Woman (1987-2006)の各シリーズの感想はこちらをご覧ください。

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。

最近、Donna Troy(ドナ・トロイ)やArtemis(アルテミス)といった、Wonder Woman(ワンダーウーマン、ダイアナ)の仲間ともいえるアマゾン族の人たちが登場する作品を読んでいますが、調べてみたところJohn Byrne氏がメインライターを務めた時期のWonder Woman誌でかなり各キャラクターについて突っ込んで描かれているようなのでまずVol. 1を読んでみました。

【基本情報】
Writer: John Byrne
Artist: John Byrne
Cover by: John Byrne
発行年 2017年 (※単行本の発行年。連載されていたのは1995年頃)

公式サイトはこちら。


Artemisとの一件以来(※Wonder Woman by Mike Deodatoで描かれていたエピソードのこと。感想はこちら。)失意のワンダーウーマンはそれまでホームタウンにしていたボストンを去り、Gateway Cityで改めて活動を始めるのだった。しかしすぐに平和な日々が訪れるはずもなく、Darkseidや偽物のFlashが彼女の前に現れる。彼女は新しい仲間たちと共に戦いを続けるのだった――というのがあらすじです。

大体2-3話くらいで終わる中編エピソードがいくつも収録されている構成です。ストーリー自体が分かりやすく、各エピソードに次のエピソードにつながる展開が入っているためどんどん続きを読んでいける構成になっています。

この巻で注目したいのは、
・女王ヒッポリタの現在の状態
・Cassandra Sandsmark(カサンドラ・サンズマーク、後のWonder Girl)初登場
です。

(1) 女王ヒッポリタの現在の状態
ダイアナの母にしてセミッシラ島のアマゾン族の女王ヒッポリタは、Wonder Woman by Mike Deodatoのエピソードでダイアナを守るためにアマゾン族の一人であるアルテミスを犠牲にするという決断をしました。
この時のエピソードの感想で、筆者は「どうせこんな陰謀を計画するくらいなら女王はもっと精神的に強く! 開き直るくらいの性格で!」とか何とか感想を書いたのですが、コミックに描かれたヒッポリタ女王はもう少し弱い人で、罪悪感でいっぱいになっていました。
さて、このストーリーで彼女は何をしているのかというと。これまで自分を支えてきたPhilippusにセミッシラ島の統治を任せ、どこかに行ってしまったようでその行方はしれません。
確かに、あれだけの罪悪感を抱いていたならばその選択はありかもしれません。
この本の後半まで読み進めると、どうも彼女はアメリカで皿洗いか何かのバイトをしながら暮らしているらしく――基本ファンタジーの世界のワンダーウーマンですが、ここでいきなり「家族とトラブルになって家を出て行ったお母さんが、実はそんなに離れていない町でバイトをしながら生計を立てている」という妙なリアルさが出てきたと感じました。

(2) カサンドラ・サンズマークの初登場
2019年の現在では若手ヒーローチームYoung Justiceの一員として活躍している彼女ですが、この巻に収録されているWonder Woman #105が初登場みたいです。
今のイメージとはだいぶ違っていて、ボーイッシュでやんちゃな印象が強いですね。博物館で働くお母さんのところに働きに来たダイアナと仲良くなり、なんだかんだでヘルメスのサンダルを借りたりアトラスの籠手を持ち出したりして戦うようになっていく彼女ですが、ダイアナは若いヒーロー志願者に対してかなり鷹揚なのだなという感想を持ちました。
John Byrne氏のWonder Womanは3巻までありますので、今後の彼女の成長にも期待したいです。