2020年2月29日土曜日

Birds of Prey (2010-2011) #1-#6

※このシリーズの各話感想は以下をご覧ください。

2020年2月に、Harley Quinn(ハーレイ・クィン)と女性ヒーローチームBirds of Preyの活躍する映画が公開されました。日本では3月公開です。
というわけでComixologyの方でBirds of Preyセールが開催されていたため、これまで読んでいなかった2010-2011年のBirds of Preyシリーズ#1-#6を読んでみました。全15話と短いシリーズですので、#1-#6、それにVol. 2を読めば全話制覇できます。

【基本情報】
Writer: Gail Simone
Penciller: Adriana Melo, Ed Benes, Alvin Lee
Letterer: DC Lettering, Jared K Fletcher
Inker: Jack Purcell, JP Mayer, Ed Benes, Mariah Benes
Colorist: Nei Ruffino, Ed Benes, Cliff Chiang
Cover Color by: Nei Ruffino, Cliff Chiang
Painted Color by: Alina Urusov
発行年 2010年

公式サイトはこちら。


解散していた女性ヒーローチーム、Birds of Prey。だがチームを指揮するOracle (オラクル、バーバラ・ゴードン)はある危機の予兆を前にかつてのチームメンバーと新しいメンバーを集める。再会を喜ぶBlack Canary(ブラック・キャナリー、ダイナ・ランス)とHuntress(ハントレス、ヘレナ・ベルティネリ)。しかし敵はスーパーヒーローたちの正体をつかんでおり、それを明らかにすると脅迫する。対応するチームだったが、事態は思わぬ展開を見せるのだった――というのがあらすじです。

本シリーズでのBirds of Preyメンバーについて簡単にまとめておきます。

Oracle (オラクル、バーバラ・ゴードン)
かつてはバットガールとして活動していたが、ジョーカーに撃たれて下半身不随となる。この頃は情報収集・分析のスペシャリストとして活動しヒーローたちに情報を提供していた。Birds of Preyの頭脳。

Black Canary(ブラック・キャナリー、ダイナ・ランス)
格闘術と、Canary Cryと呼ばれる強力な叫び声を使って戦うヒーロー。オラクルと共にBirds of Preyを始めた一人。現場で戦うメンバーたちのリーダーである。以前のBirds of PreyシリーズではDCコミックス界随一の暗殺者として知られるLady Shiva といろいろあったらしく(筆者未読)、Shivaの娘であるSinを引き取ったりといろいろあった。Green Arrowとして戦うオリバー・クィーンとは恋人だが、この頃結婚したり離婚したりいろいろあったようである(筆者未読)。

Huntress(ハントレス、ヘレナ・ベルティネリ)
クロスボウを操って戦うヒーロー。Birds of Preyの初期メンバー。ヒーローとして活動しているものの、状況によって人を殺しかねないところがありいささか危険視されている。

Lady Blackhawk (ブラックホーク、ジンダ・ブレイク)
第二次世界大戦時にチーム・ブラックホークの一員として活躍していた飛行機乗り。飛行機の操縦、ピストルの扱いに長けている。色々あって現代で生きることになり、以前のBirds of Preyに参加していた。

Dove(ダヴ、ドーン・グランジャー)
平和の象徴であり、良心。Hawkとペアを組んでいるようである。本シリーズでBirds of Prey初参加。

Hawk(ホーク、ハンク・ホール)
戦争の象徴である。死からよみがえって現在の活動をしている。Doveとコンビを組んでいるようであるが、精神的にいろいろと不安定なようだ。


物語は、これまでBirds of Preyに参加していたBlack Canaryたちの再結集と、Hawk and Doveコンビの加入がまず描かれます。Hawk and Doveについては、たぶんもっと掘り下げる予定だったのだろうと思いますがシリーズが短く終わってしまったのであまり描けなかったのかな――と思います。

今回読んだ#1-#6で印象的なのは、ブラックキャナリーとハントレスの友情でした。
姿を現した強大な敵に対し、「自分で解決するしかない」と、チームを辞めたと言って一人で死地に赴くブラックキャナリーと、それを追いかけるハントレス。

この時、チームメンバーの一人ブラックホークは怪我を負って入院していたのですが、

"...I DON'T REMEMBER GIVING HER PERMISSION TO QUIT."

「チームを辞める許可なんて与えた覚えはない」
と病院から抜け出しハントレスと共にブラックキャナリ―を追います。彼女も格好いいです。

そして大怪我を負った体でDCコミックス界で最強ともいえる暗殺者Lady Shivaと決闘する羽目になるブラックキャナリー。ハントレスは彼女に代わって自分が決闘すると申し出ます。

ハントレスは子供のころに家族を失い、恋人もなく、自分は誰からも愛されていないからブラックキャナリ―の代わりに自分が決闘で死んだほうが良い――と思っているようなのですが、

"HELENA. WE LOVE YOU. WE NEED YOU. DON'T YOU KNOW THAT?"

「ヘレナ。私たちはあなたを愛してる。あなたが必要。わかってないの?」
と聞くブラックキャナリーという流れがまた良いです。

ブラックキャナリ―とハントレスはともに、お互いのことやチームのメンバーのことを思いやっています。一方で、二人とも自分のことをあまり大事にしていないように見えるのが印象的でした。他人から言われてやっと自分が愛されていることに気づく、というような。

ストーリーはハントレスとLady Shivaの決闘でクライマックスを迎えます。実力から言って絶対にかなわない相手に対し、ハントレスはどう対抗するのか。ブラックキャナリーはどうやってハントレスを助けようとするのか。二人が絶対的な危機をどう切り抜けていくのかが見どころです。



勢いでVol. 2も続けて読んだのですが、ハントレスの信仰心も印象に残るものでした。ハントレスは敬虔なクリスチャンであるという設定ですが、決闘の前に神に祈ったり、心の弱い相手にお守りとして自分の持っている十字架を渡したり――と信仰心が彼女の背骨になっていることがうかがえます。

その一方で、戦いで敵を殺してしまいそうになる危うさを持っているのも彼女なんですけどね。どこか矛盾をはらんでいるところも魅力的なキャラクターだと思います。