2019年6月15日土曜日

Supergirl (2016-) Vol.1: Reign of the Cyborg Supermen 感想

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。

これまでザターナが好き→レニー・モントーヤも好き→……という流れでアメコミを読んできた結果、割とゴッサム市で活躍する女性ヒーローの話を読んでいました。ザターナはバットマンの幼馴染でもありますし、レニーはゴッサム市警の刑事ですし。ここで少し雰囲気の違うものを読んでみようというわけでSupergirlを読んでみました。

【基本情報】
Writer: Steve Orlando
Artists: Emanuela Lupacchino, Brian Ching
Cover by: Emanuela Lupacchino
発行年 2017年

公式サイトはこちら。



Supergirlの基本設定の説明と敵と戦うストーリーが描かれています。

基本設定としては、
・Karaはクリプトン星が滅びるので地球へと逃がされた
・Karaはクリプトン星のArgo City出身
・Superman (Kal-El, Clark Kent)は赤ちゃんの時から地球で育ったが、Karaは高校生くらいの姿で地球に来たので地球の文化ややり方について学ばなければならない
・Eliza Danvers, Jeremiah Danversの子供のKara Danversとして日常生活を送りTechnical High Schoolに通う
・SupergirlとしてのKaraの活動を管理するのは DEO (Department of Extranormal Operation) のディレクターCameron Chase

Cameron Chaseと言えばバットウーマン (2011-2015)でケイト(バットウーマン)を散々いじめていた……わけではないのでしょうが、何かと感じが悪かったCemeron Chaseですね。
当時はディレクター Bones の部下でしたがSupergirlでは本人がディレクターに出世している模様です。そして相変わらず感じが悪いので、上司の問題ではなく本人の性格の問題ですね。どこかで痛い目にあうと思います。

それはともかく。

Karaが地球に馴染めていないのが印象的でした。

Karaにはクリプトン星由来の豊富な科学技術の知識があるのですが現在の地球ではそれを生かすことができません。それは地球の科学技術が低すぎるからです。たとえるならば2019年にプログラミングをバリバリこなしている人が突然1960年代ぐらいにタイムスリップしてしまって、さてコンピューターを使えと言われても……という感じだと思います。

というわけでKaraには簡単にできるはずのことができないというフラストレーションが溜まります。
さらに養父母がクリプトン星の住居を再現してくれるのですけれど、それはクリプトン星のずっと古い時代のもので「これは何か違う」となります。養父母が100%好意的なのは分かるだけに私の求めているものじゃないとなるのは辛いですね。

そんなKaraの前に死んだはずの父がサイボーグとなって現れ、地球人を犠牲にしてクリプトン星のArgo Cityを蘇らせようとするので戦うSupergirlというのがメインのストーリーになります。

以下、ネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ***


Karaは過去に閉じこもることをよしとしないキャラクターなのだなと思いました。

クリプトン星は滅びました。Karaの両親は亡くなりました。

これは変えようのない事実であって、Karaは過去を懐かしく思うことはあっても過去を現在に蘇らせようという試みは拒絶します。養父母が地球にクリプトン星の住居を再現したようとし再現しようとしたことであったり、死んだ父のサイボーグがクリプト星の街とそこに住む人々を蘇らせようとしたことであったり。

この死んだ父の計画は、父の記憶に基づいて昔の街を模した箱庭を死んだ人たちの体を使って作ろうとしたという話に過ぎず、より一層グロテスクなものになります。

いずれにせよKaraはどちらも拒絶しこの現在に、今の環境に生きることを選択します。非常に若々しく強い主人公像だなと思いました。