2019年6月8日土曜日

Birds of Prey (1999-2009) #56-59感想

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。


1999-2009年に連載されていたBirds of Preyの単行本化されたものをVol. 3まで読んだものの、チームはOracle (オラクル、バーバラ・ゴードン)とBlack Canary (ブラック・キャナリー、ダイナ・ランス)の2人だけでHuntress (ハントレス、ヘレナ・ベルティネリ)が出てこないぞ……と思っていたら。
ハントレスはシリーズ中盤、#56-59のエピソードでチームに加入するらしいのでこの4話を読んでみました。

【基本情報】
Writer: Gail Simone
Penciller: Ed Benes
Inker: Alex Lei
Cover by Ed Benes
発行年 2004年

Amazonのページはこちら (#56)。


100話以上の長きにわたって連載されたこのシリーズですが、この#56からメインライターがGail Simone氏に交代します。メインライターが変わるに伴って、雰囲気を変えるためにもハントレスを投入しようということだったのでしょうか。

お話としては、
相変わらず犯罪を阻止するための活動をしていたオラクルとブラックキャナリーだったが、オラクルを狙っていた犯罪者により逆にブラックキャナリーが誘拐されるという事態に陥る。彼らはブラックキャナリーとひきかえにオラクルにバットマンの正体を明かすよう迫るが、オラクルはハントレスにブラックキャナリーの救出を依頼するのだった――というのがあらすじです。

ハントレスはすでにバットファミリーの一員にカウントされているらしく、オラクル(バーバラ・ゴードン)が誰に救出を依頼すればいいか……と考える場面で、ロビンたちと並んでハントレスの名前も出ています。いつの間にかバットファミリーの信頼を勝ち得ていたのですねハントレス。
しかしバットファミリーとして活動しているということは毎日毎日事件の解決に追われているということで、バーバラからブラックキャナリーの救出を依頼されても、「まずは今起きている赤ちゃん誘拐事件を解決してから」ということになります。ゴッサム市のヒーローたちは本当に忙しいですね。

犯人はそんなゴッサム市のヒーローになりたくて能力を鍛え上げたものの、市民を守ろうという気持ちが弱いということをバットマンに見透かされてヒーローの道を断念した男です。バットマンに並ぶくらいの格闘の能力があるということで、かなりの強敵を相手にハントレスと囚われのブラックキャナリーが向かっていくというところが見どころの作品になります。


以下、ネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ***

バーバラがバットファミリーの他のメンバーではなく、あえてハントレスに救出を依頼する理由が印象的でした。
ブラックキャナリーは以前も敵に捕らえられたことがあったそうなのですが、その時かなりひどい目にあったらしく、
「蝙蝠のマスクをした『男』ではない人に助けてほしい」
というのがその理由です。細やかな心遣いですね。ハントレスも(すでにバットファミリーの一員だから?)あまりバーバラに冷たい態度をとらず、仕事を終えるとすぐにブラックキャナリーの救出に向かっていたのでほっとしました。

お話としてはブラックキャナリーが無事に救出されてめでたしめでたし――なのですが、オラクル(バーバラ・ゴードン)の危険性がちらほらと示唆されているエピソードでもあります。
様々な情報を収集し分析してそれを犯罪の抑止につなげようとするオラクルですが、彼女の行動は市民のプライバシーを守るという観点からは褒められたものではありません。
ハントレスも、ブラックキャナリーですらオラクルの情報収集のやり方には懸念を表明しています。次回以降に向けて不穏な余韻を残しつつ、物語としてはキャナリーが無事に救出されて幕となります。