2019年6月12日水曜日

Swamp Thing (2016) 感想

 ザターナが登場しているSwamp Thing (2016)を読みました。Swapm Thingが主人公の、全6話のミニシリーズです。
 
【基本情報】
Writer: Len Wein
Artist: Kelley Jones
Cover by: Kelley Jones
発行年 2016年

公式サイトはこちら。



 もともと優秀な植物学者だったAlec Hollandは、化学薬品の事故の影響で地球の植物や自然の意思であるGreenとつながる存在、Swamp Thingへと変貌した。強い力を持ちながら、彼の願いは常に人間に戻ることだった。そんな彼のもとにある日旧友のMatt Cableが訪れる。Mattは彼を人間に戻す方法を見つけたという。Alecは喜んで、自分を人間に戻してもらおうとするのだったが――というのがあらすじです。
 
 ザターナはSwamp Thingが人間に戻るための儀式のキーパーソンとして登場します。普段なら大抵のことをBackward Spellひとつふたつで済ませるところですが、さすがにSwamp Thingを人間に戻すとなるとそんなお手軽にはいかないらしく、結構大変そうなザターナに注目です。
 
 
 話の本筋としては、Alec Hollandの責任感を感じるお話でした。DCコミックス界における「地球の植物」の精のような存在である"Green"と更新し、時には"Green"の意思を代行するために行動するSwamp Thingですが、彼はなりたくてSwamp Thingになったわけではありません。
 しかしGreenはSwapm Thingを必要としますので、彼が人間に戻れば他の誰かがSwamp Thingになります。Greenの意思の代行者であるSwamp Thingは強い力を持つのですが、ではその人が邪悪な意思を持っていたら? というのがテーマになるお話です。
 
 Swamp Thingという存在は「Greenが良さそうな人をえらんでSwapm Thingにするのだろう」とこれまで何となく思っていたので、碌でもない人がSwamp Thingになってしまうこともある、ということ自体が意外でした。Alec HollandのSwamp Thing自身も、Greenの言うことを適当に聞き流していたりと必ずしもGreenの言葉にすべて従っているわけではない様子です。大いなる自然のおおらかさでしょうか。

 なおこの作品、ザターナのほかにDeadmanやPhantom Strangerも登場しますのでミニJustice League Dark的な味わいも漂っています。Swamp Thingを元に戻すために秘境Nanda Parbatから魔法のアイテムが勝手に持ち出されるという展開もあるのですが、意外と怒らないDeadman。起きていることは深刻な割に、登場人物たちの反応が全体的に穏やかといいますか、そんなにいきり立っていない作品です。