2022年1月29日土曜日

Justice League Dark (Justice League (2018-) #59-#71, Justice League Dark Annual掲載分) 感想: ザターナの孤独

※このシリーズの各話感想はこちらをご覧ください。 

 2021年から連載されていたJustice League Dark (JLD)が一段落したようなのでここで一度まとめておくことにしました。

 この記事のタイトルがとても分かりにくいですが、2021年に始まったInfinite Frontier期ではJustice League DarkがJustice League誌のバックアップストーリー ――Justice League誌の後半に、毎月10ページくらい分のJLDが収録されるという形態になりました。その結果"Justice League Dark"というタイトルのコミックは発売されないことになりました。Amazon等で"Justice League Dark"で検索しても2021年3月からのJLDは出てきませんので気を付けましょう。 

 メインライターのRam Vのツイートによると、JLDはJLDのエピソードをまとめた単行本を発売するようなので今から読みたい方はそちらを待つ方が間違えないかもしれません。

 ストーリーの順番としては、Justice League誌 #59-70掲載分→Justice League Dark Annual→Justice League誌 #71掲載分です。

 

【基本情報】
Writer: Ram V, Dan Watters
Artist: Xermanico, Sumit Kumar, Jose Marzan Jr., Cristopher Mitten
Colorist: Romulo Fajardo Jr., Nick Filardi
Letterer: Rob Leigh
Cover:Sebastian Fiumara
発行年 2021-2022年


公式サイトはこちら (Justice League #59)


電子版の試し読み用ページでは本の後半に収録されているJLDの部分を読めないことが多いので、Justice League #59の時のRam Vのツイートを貼っておきます。こんな雰囲気なのです。



 2020年まで連載されていたJustice League Dark (感想はこちら)、未来世界でのJustice League Darkの活躍を描いたFuture Stateシリーズ (感想はこちら)でのメインライターだったRam Vが引き続きメインライターを務めているため、話としては2020年までのシリーズの直接の続編であり、Future Stateとの間を埋めるような展開になっています。

 

 Future Stateでは魔術師マーリンがその強力な魔力を用いて魔法の世界をほぼ支配した姿が描かれていましたが、今回のシリーズではマーリンの陰謀を止めるためにみんなで頑張る――というストーリーになっています。チームメンバーは、

  •  Zatanna (ザターナ)
  •  Constantine (コンスタンティン)
  •  Detective Chimp (ディテクティブチンプ)
  •  Dr. Fate (Dr. フェイト)

 

 という2020年までのシリーズでおなじみのメンバーに加えて、悪魔エトリガンと身体を共有する人間であるJason Blood (ジェイソン・ブラッド)、魔法のスーツを身に纏って戦うRagman (ラグマン、ロリー・レーガン)が加わります。

 

 2020年までリーダーだったWonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)は他の事件の影響で不在です。この、ダイアナの不在がザターナの精神を大変不安定なものにしているのはすぐに見て取れます。ザターナはダイアナに変わってチームリーダーになるのですが(彼女をチームリーダーにするときのバットマンやスーパーマンの応援の仕方が微笑ましいです)、結果としてメンバーに弱音がはけないと本人が思い込む展開になります。

 今は恋人なのかもしれないコンスタンティンにですら、自分が抱えている心配ごと――2020年までのシリーズ最大の敵だったUpside-Down Manを飲み込んだ結果、隙あらばUpside-Down Manが表に出てこようとしている――を伝えられていない状態です(※なお、コンスタンティンとザターナは付き合ったり別れたりを繰り返しているので、本人たちが明言してくれないと読者にも恋人なのかどうか良く分かりません)。

 

 一方マーリンの方は着々と計画を進め、古来より聖剣Caliburnusの守り手であった騎士Eternal Knightを裏切ったりアトランティスの創始者アリオンを手下にしたりと世界を支配するための手順を踏んでいきます。どうもマーリンの突然の異変にはDCコミックス界最大の敵ともいえるDarkseid――の、父が絡んでいるようです。Darkseid、お父さんいたんですね。自然発生的に突然誕生した存在なのかと思っていました。

 

 JLDチーム側のいい話としては、

  • ダイアナが帰還してきた
  • Mr. Eとの取引により、マーリンの子供の部分の魂を得た→これはEternal Knightに渡された


ということがあげられます。というわけで、今後はダイアナ、さらにはEternal Knightも含めたチームでマーリンに対抗するということになる――と思われるのですが。

 なんと、これまでメインライターだったRam Vは2022年1月いっぱいでJLDのライターではなくなります。しばらくはJustice LeagueとJLDのコラボストーリーが展開するようなので、JLDのメインストーリーがどうなるかは分かりません。Justice Leagueとのコラボが終わった後、JLDが続くのかどうか、その場合メインライターは誰になるのかも不透明です。

 

 さらには、2022年4月のJustice League誌は"Death of the Justice League"と銘打ち、ヒーローチームであるJustice Leagueのメンバーの多くが死亡することが予告されています。ニュースサイトの記事はこちら

 死ぬかもしれないというメンバーの中にザターナやダイアナも入っており、えーと、二人ともいなくなったらJLD続けられるんでしょうか……新メンバーを入れないと無理では……という状況になるかもしれません。

 筆者の今のところの予想では、

 ・ダイアナはつい最近まで不在の期間があって帰ってきたばかりなのでダイアナは死なない。ヒーローを引退することはあるかしれない。

 ・ザターナは死ぬかもしれない。

 と思っています。もしもザターナが死ぬなら、その時にはちゃんと彼女にスポットライトを当てたエピソードにしてほしいですね。他のヒーローたちが死んでいる横でいつの間にか死んでいました、みたいな展開は避けてもらいたいものです。

 

 

 JLDに関して言えば、これまでRam Vが展開してきたストーリーが非常に面白かったのでここでライター交代となるのは非常に残念です。これまでのJLDで描かれてきたザターナとダイアナの信頼関係は最高でした。Ram Vのツィートを読む限り、世界各地の伝説を取り入れた話にしよう、など今回のJLDに関してもストーリーをかなり練りこんでいたようなので書きたいものを書き尽くしてほしいと思っていたのですが……。

 ザターナやダイアナがいなくなるとしても、JLDが続くこと、また後任のライターがうまくストーリーを展開してくれることを願ってやみません。


※2022/08/27追記

現時点のザターナの状況についてまとめると、

・Dark Crisisでザターナは死亡ということになっている

・JLDは連載休止状態、再開するかは未定

ということでザターナがレギュラーとして登場するコミックの連載はなし、という寂しい状態になってしまっています。Dark Crisis関連が一通り終わってからまたJLDが始まるのかどうか、ということになりそうです。