2022年1月26日水曜日

Supergirl: Being Super 感想 -特別であること-

  Supergirl: Being Superを読みました。Mariko Tamaki による単行本書き下ろし作品です。普段のコミックのSupergirl (スーパーガール、カーラ・ゾー・エル)とは設定が少し違います。

 若者向け作品ということなのか、とても読みやすい作品でした。

 

【基本情報】
Written by: Mariko Tamaki
Art by: Joëlle Jones
Cover by: Joëlle Jones
発行年 2016年


公式サイトはこちら。試し読みページもあります。



 学校でJen, Dollyという親友たちと一緒に楽しく学生生活を送るカーラ。実は彼女には親友たちにも話していない秘密があった。彼女は小さい頃、宇宙船に乗って地球に来た後に現在の両親に拾われていたのだ。速く走れる、空を飛べるなどスーパーパワーにも気づいていたがずっと隠していた。だが親友たちに危機が迫り、カーラは力を使うことになるのだった―― というのがあらすじです。

 何と言っても、カーラの親友のJenとDollyがいいですね。章ごとの扉絵にはカーラと合わせた3人の姿がデザインされているのですが、いかにも仲のいい友人たちという感じで微笑ましいです (下図)。

 


 

 カーラの養父母もカーラを愛していることが伝わってくるので、カーラには地球にしっかり居場所があることが読者にも伝わりとても読みやすいです。やはり若いヒーローには保護者的存在がいてくれないと、読んでいて安心感がないのだな――と思います。

 とはいえ、お話はかなりハードです。カーラの親友たちにもひどいピンチが迫ります。カーラが彼女たちを助けることができるのか、そしてどんな人生を選ぶのか――というのがポイントになってきます。

 

 印象に残るセリフは、カーラが秘密を明かした後にDollyがカーラに言う

 "NEVER PRETEND TO BE NOMAL EVER AGAIN, OKAY?"

 「もう普通のふりなんてしないでね、いい?」

 というセリフです。物語の中ではもちろん、カーラが宇宙人であってスーパーパワーを持つことを指しています。ただ作品に込められたメッセージとしては、そういう宇宙レベルのことだけではなく「ちょっと人とは違うこと」を隠さなくてもいい、というメッセージになっているように感じました。

 

 これ一作で終わってしまうのがもったいないくらい、カーラの周りのキャラクターが良い作品だと思います。