※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
New52期Supergirl誌のVol. 3を読みました。滅んだ故郷、クリプトン星のために迷走してしまうSupergirl (スーパーガール、カーラ・ゾー・エル)の姿が描かれています。
Written by: Frank Hannah, Mike Johnson
Art by: Sami Basri, Mahmud Asrar, Various
Cover by: Mahmud Asrar
発行年 2014年
公式サイトはこちら。
サブタイトルの"Sanctuary (サンクチュアリ)"とは、スーパーガールの乗ってきた宇宙船の破片が海の底で基地のような形をとったものです。カーラを守り、クリプトン星の文化などの記録を残すのが使命のようです。この巻で、カーラはここを秘密基地としつつ大きな出来事に直面します。
以下、最後の展開までネタバレを含む感想です。
それはHe'lというクリプトン星の生存者との出会いです。彼は過去に戻って崩壊する前のクリプトン星を救おうと考えており、カーラに協力を依頼するのでした。当然、カーラも故郷を救うために賛同してさらには恋愛関係にもなるのですが、実は地球を犠牲にクリプトン星を救おうという計画だったことが明らかになり、カーラはHe'lと戦うことになります。
……と、とても盛り上がりそうなストーリーなのですがこの話、同時期に連載していたSuperman誌やSupreboy誌と共通のイベントだったらしく、このSupergirl誌だけで読んでいるとぽんぽんと話が飛んでいきます。というわけで、大雑把には流れが分かるけれど細かいことは分からない……という、なんだかとても勿体ない状態になっています。複数誌にまたがるイベントを単行本で追おうとするとこういうこともありますね。
He'lと戦ってクリプトナイトに毒されたカーラを助けたのはPower Girl (パワーガール)でした。彼女はEarth-2という別世界のカーラのはずなのですが、今は同じ世界にいるようです。しかし、カーラを守る基地であるはずのサンクチュアリは二人のうちのいずれかがクローンであると誤認し、クローンを排除しようと暴走します。結果、カーラはサンクチュアリを破壊するという事態に陥ります。
というわけでこの巻だけで、He'l, サンクチュアリというクリプトン星に縁のある存在にカーラは信頼を寄せ、その後対立して倒す――という展開になっています。故郷を失った人が、故郷に縁のある人や物を信じてしまうのは当たり前だと思いますし、こういう展開は正直読んでいて辛いですね。
赤ちゃんの時にクリプトン星を離れたSuperman (スーパーマン、カル・エル)ではできない展開であるために、Supergirl誌でこうしたストーリーを描こう――と制作陣が思うのは分かるのですが。
早いところカーラにも安心して頼れる存在ができてほしいものです。