2022年1月23日日曜日

Supergirl (2011-2015) Vol. 4: Out of the Past 感想 -父の愛-

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。

 New52期に連載されていたSupergirl誌のVol. 4を読みました。相変わらず迷走しているSupergirl (スーパーガール、カーラ・ゾー・エル)ですが、この巻ではかつて滅亡の淵にあったクリプトン星からカーラを逃がした父、Zor-El (ゾー・エル)の愛が感じられるエピソードが語られていました。

 
【基本情報】
Art by: Various, Yildiray Cinar, Diogenes Neves
Cover by: Mahmud Asrar
Written by: Tony Bedard, Justin Jordan, Scott Lobdell, Michael Alan Nelson
発行年 2014年


公式サイトはこちら。



 この巻には、

・前巻でクリプトナイトにより汚染され、死が近いと感じたスーパーガールが地球を離れるが、離れた先でCyborg Superman (サイボーグスーパーマン)と戦う話

・前巻でクリプトン星の復活を計画していたHe'lの力の影響で時空に異変が起き、このままでは多くの犠牲者を出す可能性があるためSuperman (スーパーマン、カル・エル)、スーパーガール、Superboy (スーパーボーイ)の3人が過去に行きクリプトン星が正しく滅亡するよう活動する話


の、2つのエピソードが収録されています。後半のエピソードはVol. 3同様Superman誌やSuperboy誌との合同でのイベントだったらしく、この単行本を読んでいるだけではちょっと分かりにくいですね。

 前半のお話はスーパーガール誌だけで連載されていたので、この本だけで楽しめます。

 

 以下、ネタバレを含む感想です。話の核心部までネタバレしています。

 

 

 

 クリプトナイトに汚染されたスーパーガールは、地球ではないところで最後の時を過ごそうと地球を離れます。この時、地球で唯一の友人になったSiobhanに別れの挨拶をするのですが、これがあまりにもうまくない。結局は喧嘩別れになってしまいます。この辺は読んでいてしんどいところです。

 その後スーパーガールは「人の記憶から物を再現する」という能力を持った種族のすむ星にたどり着きます。自らの記憶からクリプトン星にあった家を再現し、さらにはおかあさんも産み出され――ということに困惑しながらも喜ぶカーラ。しかしその裏にはCyborg Superman (サイボーグスーパーマン)がいて、失われた自分の身体の代わりにカーラの身体を狙っていたのだった――というのが、前半の話の導入部になっています。

 

 サイボーグスーパーマンはクリプトン星人で、Brainiacにより改造されサイボーグになり、記憶を失ったという設定です。身体を手に入れたがっているのも、それにより記憶を取り戻すことができるからです。というわけでカーラと戦い、首尾よく彼女の身体を手に入れてそれをベースに自らの身体と記憶を取り戻すのですが――、なんと、正体はカーラの父、ゾー・エルであったことがここで明らかになります。

 ゾー・エルはカーラに身体を返し、自らは再びCyborg SupermanとなってBrainiacと戦い、カーラをBrainiacから逃がそうとするのでした。

 この辺り、実に意地悪な展開ですね。記憶を取り戻した後のゾー・エルの気持ちを思うと絶望感に襲われます。とはいえ、即座にカーラを助けるために次の一手を決断するゾー・エル。この話でカーラは何も真相を知らないままに終わるのですが、ゾー・エルのカーラへの愛が読者には強烈に印象に残ります。辛い話ではあるのですが、読み終えた後には救いを感じる話にもなっています。結果的に、Cyborg Supermanに身体を渡した時にクリプトナイトの汚染も消したようですし。

 

 なお、2016年から始まったSupergirl誌でもカーラのお父さんはCyborg Supermanでした (感想はこちら)。ここから続いていた設定だったんですね。

 後半の話は、上にも書いたようにこの本では完全なエピソードを読むことができないため分かりにくいのですが、スーパーボーイとスーパーガールの関係が印象的でした。スーパーボーイはクローンとして産み出された存在なのでカーラは一方的に嫌っていたのですが、同じ敵に協力して対応することで多少関係性がマシになった……と思ってみていたら、また悲劇が起きます。とはいえこの件についてはこの後のスーパーガール誌ではなくスーパーマン誌やスーパーボーイ誌の方で展開したんだろうな、と思いました。