2020年9月19日土曜日

Young Justice (2019-) Vol. 1: Gemworld 感想

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。


  Wonder Girl (ワンダーガール)として活躍するCassie Sandsmark (キャシー・サンズマーク)は多くの場合Teen TitansやYoung Justiceといった若手ヒーローチームに入って活動しています。2016年からのRebirth期ではYoung Justiceに入っているようなので、単行本の第一巻を読んでみました。

 

【基本情報】
Written by: Brian Michael Bendis
Art by: John Timms, Patrick Gleason
Cover by: Patrick Gleason, Alejandro Sanchez
発行年 2019年

公式サイトはこちら。

表紙は楽しそうなYoung Justiceのチームメンバー。若手ヒーローは元気いっぱいなのがいいですよね。



 2011年-2016年のNew52期にキャシーはTeen Titansというチームに所属していました。同じようにTeen Titansに所属していたRed Robin(レッドロビン、ティム・ドレイク)も今回のYoung Justiceのメンバーになっていますので、New52期Teen Titans誌(感想はこちら)の続きにあたる話だろう……と思っていたら、ちょっと違いました。どちらかというとNew52期以前のTeen Titans(感想はこちら)やYoung Justice(感想はこちら)につながる話という印象を受けました。

 考えてみればNew52期Teen Titans誌のSuperboyやKid Flash (キッドフラッシュ)はちょっと設定が特殊な印象を受けましたので繋げにくいかもしれません。

 

 とはいえ、キャシー・サンズマークに関してはNew52期の設定を踏襲しているようで、ギリシア神話の大神ゼウスの孫です。本作にはゼウスも登場します。孫に甘い優しいおじいちゃんです。なんでも、キャシーは神々の殿堂の未来となるべき存在なんだそうで。……いくらゼウスの血を引くとはいえ、あくまでも孫にあたるキャシーになぜそんな大役が回ってきたのかは謎ですが。ゼウスには子供が山のようにいるので、孫は更にたくさんいるはずです。その中でなぜあえてキャシーだったのか。詳細は良く分かりませんが、今後の展開で明らかになることと思います。

 

 ちなみにキャシーとゼウスの会話で、ゼウスがこんなことを言います。

"YOU'RE A GIANT PAIN, CASIE SANDSMARK... 

 ...JUST LIKE YOUR MOTHER."

「君は厄介だな、キャシー・サンズマーク。……お母さんそっくりだ」


 えーと、キャシーのお母さんであるヘレナ・サンズマークは普通の人間で、ゼウスの子であるLennoxとの間にキャシーを産んだはずですが。ゼウスはなぜ息子の妻のことをこんな風に言うのでしょう。まさか息子の妻に妙な真似をしたのではあるまいな……と思いますが、この件についても詳細は不明です。この謎は今後の展開でも明らかにならない気がしますが。

 

 

 さて。

 他のメンバーについても簡単に見ておきますと、Red Robin (レッドロビン、ティム・ドレイク)は恋人のSpoiler (スポイラー、ステファニー・ブラウン)と一緒にわずかな過去の記憶の謎を探っている状態です。ステファニーはお父さんとの間に面倒なことがあるらしく一時的にティムと別れますが、その間にティムは事件へと巻き込まれていきます。

 Impulse (インパルス)はそれまで何をやっていたのか良く分からないのですが事件に巻き込まれていきます。

 Superboy (スーパーボーイ、コナー・ケント)は今回の巻で戦いの主な舞台となるGemworldに一足先に行っていて、そこでメンバーたちと合流しました。

 

 スーパーボーイに関しては、New52期に存在しなかったことになっている? らしいのですが、この辺りの設定をどうしていくのかは不明です。これも今後の展開で明らかになっていくのだろうと思います。

 

 他に新メンバーとして、Jinny Hex、Teen Lantern、Amethystが加わってきます。Amethyst (アメジスト)は今回の部隊となるGemworldのお姫様で、Young Justiceと一緒に戦ってGemworldを支配しようとしていた悪を倒すのですが、今後もチームに入っていそうな雰囲気を感じます。

 

 物語としてはGemworldという世界から地球に侵攻してきた敵と戦っているうちにGemworldにテレポートしてしまったYoung Justiceメンバーが、Gemworldに巣食う悪と戦う――という展開になっています。

 またその一方、New52期の大規模設定リセットでなかったことになったはずの過去の記憶が特定の人物に残っているという問題があります。

 シリーズ全体としてはおそらくNew52期以前の記憶の謎の方を追いかけていくのだろうと思いますが、ストレートに進んでいくのではなくらせん階段を下りるようにしてその謎に迫っていきそうです。

 

 そしてこのVol. 1、登場人物も多く説明しなければならない設定も多く、敵との戦いも描かなければならない――という盛りだくさんの1冊ですが、非常にするすると読むことができました。

 各キャラクターの持つ謎や物語の背景といった情報を、読者を混乱させないように非常にうまく提示してくれている作品という印象を受けます。

 物語のメインであるバトルパートやGemworld内での権力闘争も面白かったですし、Vol. 2以降にも期待したいです。